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インドに行くと人生観は変わるのか?


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記事:江口雅枝(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「インド人と結婚する」
 
妹からそう聞いた時のことは、人生で驚いたことベスト3に入る出来事だった。
 
海外で仕事をしている妹は、いつか外国人と結婚するのかなぁと思ってはいたけれど、インド人とは想像もしていなかった。
発展途上国の支援などを行う国連機関の仕事で出会った妹たちには、外国人の友人も多く、たくさんの人を招くことができるように、結婚式を日本とインドの両方で行うことになった。
 
 
生まれて初めてのインド。
空港に着いて、ホテルへ向う前にトイレに行っておこうと思い、空港内のトイレのドアを開けた。最初の衝撃を受け、ドアを開けたまま5秒くらい固まっていたと思う。とりあえず便座らしきものはあった。床に、水を入れる容器のようなものが置いてあった。使用方法がわからない。開けたドアを閉めて、ホテルまでトイレを我慢することにした。
 
空港の外には、ライフルを構えた兵士。人、人、人、人、人の渦と、何語なのかさえわからない言葉が無数に飛び交い、近くにいても声がなかなか聞き取れない。インドのすさまじいエネルギーを全身に感じた。
 
送迎に来てくれた車でホテルまで向う。道路へ出て、交通ルールという概念を見失う。日本では車に乗っていてクラクションを鳴らすことはめったにないけれど、もはやクラクションで会話しているのかと思うほど、鳴りっぱなし。何車線の道路なのかわからないくらい、ひしめき合う車。この車間距離でこのスピード! ビュンビュン飛ばす車の間を、バイクがすり抜けていく。赤信号とか青信号とか、関係ない。渡りたいから渡る。バイクに、4人乗り? アクロバティックなシーンが続く。
 
やっと辿り着いたホテル。ドアの鍵がガタついて壊れそうだったけれど、トイレは日本でも見慣れた洋式トイレに近く、ほっとして無事に間に合った。
 
 
翌日の朝は、窓の外から聞こえる車のクラクションで目が覚めた。
さあ、今日から数日間続くインドの結婚式。中には1週間続く結婚式もあるというから、スケールが違いすぎる。
 
花嫁だけでなく招待客も、ヘナという植物を使った色素で、手や腕、足などに模様を施していく。魔除けなどの意味もあり、数日間で落ちる痛くないタトゥーのような感覚だ。そして、皆この日のために用意したきらびやかなサリーを身にまとう。
インドの民族衣装サリーは、服のように仕立てられているのではなく、数メートルもある長い布を体に巻きつけながら、所々ドレープを付けるように折りたたみ、ピンで留めて、最後に肩から流れるように布を垂らして着付けるものだと知った。
 
 
結婚式は、新郎新婦を出迎える演出の後、祈りの儀式から始まる。火を焚いたり、神様への言葉を述べたりしながら、お供えものや花で彩られた祭場で、私たち家族も、幸せを祈った。気づくと会場には、300人を超える人々が集まっていて、お祝いの品を新郎新婦に渡すセレモニーが行われた。
集まっていたのは親戚や友人だけでなく、結婚式があると聞いた近所の人たちも大勢いた。主役のふたりも「誰だかわからない」という人が次々に訪れていた。ご近所さんの範ちゅうが日本と比較にならないくらい広く、1,000人規模になる結婚式もあるという。4回に渡るお色直しに、バンドの生演奏、もはや街のお祭りのような華やかさに圧倒された。
 
 
神聖な儀式の次は、バナナの葉っぱをお皿にして、スパイスの効いた手作りの料理がふるまわれた。右手でキレイに食べるインドの人たちの所作には思わず見とれてしまう。
 
そして結婚式のメインイベント、お待ちかねのダンスタイム! とにかく皆、よく踊る踊る踊る! そして歌う。誰ともなく歌い始めると、まわりの人たちもハモり出し、踊り出す。夜通し続くダンス。宗教上のこともあり、アルコールは一切提供されていないにもかかわらず、すさまじいテンションの上がり方と持続力。
 
日本の結婚式のような、分刻みのタイムスケジュールは無く、招待客の受付や席次表も無く、ただひたすらに「おめでとう!」を伝えたい人たちが集い、心からの愛と祈りを表現する。家族である私にも、言葉が通じなくても、この日がいかに素晴らしいかを、歌や踊りで伝えてくれる。生きていることそのものへの、喜びに満ちた笑顔が、あふれている。
 
 
インドの人たちにとっての「おもてなし」は、「あなたがここに来てくれて嬉しい」という思いそのものなのだと感じた。
 
 
よく旅行記事などで「インドに行くと人生観が変わる」と言うのは本当だろうか? と思っていた。私が過ごしたのはほんの数日間、それも結婚式という特殊な場面だったから、インドへの旅、とまでは言えないかもしれない。
それでも「あなたがここに来てくれて嬉しい」というインドで感じたシンプルなおもてなしの思いは、私の自己肯定感をすこぶる高めてくれた。
 
国籍や宗教、年齢、様々な立場を超えて集う場だったからこそ、余計なフィルターを通さずに受け入れ合うことができたのだと思う。
 
 
日本では騒音にしか聞こえない車のクラクションでさえ、会話のように聞こえてしまったインド・マジック。
 
13億人のエネルギーが生み出す光と影、愛と祈りの国、インドは、また行きたいと思わせる魅力に満ちている。

 
 
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2018-09-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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