fbpx
メディアグランプリ

地図アプリはたまに女神さまの位置を教えてくれる素敵なアプリだ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:加藤 智康(ライティング・ゼミ木曜コース)
 
 
「本当に予約ありませんか?」
3回目の質問である。私は、会社の職場の歓迎会会場のお店を一人で探していた。数日前に、職場に中途社員が入社してきた。遅れたくない場面だ。雨が降る中、大きな駅の近くでさまよっていた。お店の名前は違うが、スマートフォンの地図アプリが何度調べても私を同じお店に連れていく。体にも表情にも疲労感がにじみでていたはずだ。しかし、3回目の今も店員さんはすまなさそうに「予約はありませんよ」という。どこなんだ!?
 
遡ること数時間前。私は、会社の有休休暇をとって朝から秘密のセミナーに参加していた。会社の仕事とは関係ないセミナーで、誰にも理由を告げずに休んでいた。どうしても聞きたかったのだ。有給休暇取得を決めてから歓迎会が飛び込んできた。少し心の葛藤はあったけど、さすがにセミナーの後の親睦会後にどこかで会社の人とばったり会うのも嫌だったので、歓迎会に参加することにした。そのため、夜の歓迎会参加も見据えて、スーツで参加していた。浮いている。8時間近くもセミナーを受けると疲れもたまるし、空き時間もそんなにないので、夜の会場の場所は最寄り駅に着いてからスマートフォンで調べようと思っていた。
 
朝は晴れていたのに、帰りは雨が降っていた。9月になると18時でも薄暗くなり、雨雲がさらに薄暗さを演出し、少し寂しい感じがした。セミナー参加者との親睦会にも参加できず、一人だけ輪を離れて別の場所へ急がないといけなかったことも寂しさを倍増させていた気がした。
 
目的の駅に着いた。雨はやんでいない。早速スマートフォンでお店名と地名で検索した。お店のサイトから地図アプリを起動して歩き始めた。駅から2分の距離だった。歓迎会開始まで10分。余裕だと思った。目的の場所に着くと、確かにお肉をメインにした居酒屋があった。でも、お店の名前が違う。念のためドアを開けて聞いてみた。「予約の者ですけど」
 
店員さんは他の店員さんにも確認してくれたが、「予約はないよ」と答えてくれた。
 
場所が違うのかなと思った。でも、間違ったお店が同じお肉をメインにするお店なのだろうか? できすぎた間違いだと思ったが。以前もスマートフォンの道案内で全く違う場所に連れていかれたことがあったのを思い出した。
 
自分は今回もスマートフォンのGPSが誤作動をしていると思った。店員さんにお礼を言って、外でスマートフォンの地図アプリをみた。やっぱり別の場所が目的地になっていた。なんだよ。歓迎会開始まで数分だったので、急いで新しい目的地に向かった。
 
しかし、いけどもいけども、それらしいお店はない。寂しくなってきた。地元なのに、道に迷うなんて。事前に確認しておけばよかった。ありきたりな後悔だった。次の目的地のお店も違っていた。もしかして知っているかもと思ってお店の名前を出してお店の人に聞いてみた。返事は「知らないよ」だった。そっけなかった。
 
2回目、「やっぱりここのお店に着くんですけど?」と再度スマートフォンで検索した結果と、歓迎会のお店の名前を店員さんに見せた。お店の名前も知らないという。近くなら店員さんも知っているはずなのに。焦りとともに冷たい雨と汗が背中を濡らしてくる。
 
お店に電話してみよう! 会社の人に聞いて馬鹿にされるのも嫌だったので、お店に電話した。道順を聞いてやっとお店に着いたと思ったら、3回目の訪問となった違うお店だった。もう泣きたい気分だ。でも、懲りずに聞いた。「予約本当にありませんか?」
 
お店を後にして、しばらくあてもなく歩いて、あるビルの軒下に入った。一旦冷静にならねばと思ったからだ。会社の人へのいいわけも考え始めていた。
しばらくすると、3回も間違えてご迷惑をおかけしたお店の店員さんが来た。
 
少し息をはずませながら、「心配になって様子を見に来ました。わたしも一緒に探しますよ。大変ですね」
 
その瞬間時間が少し止まったような気がした。少し離れた場所に移動したのに、金曜日の忙しい時間の中来てくれたのだった。しかも、大通りから離れる方に移動していたのに。しばらく探してくれたのか、ユニフォームが雨でぬれていた。店員さんとそのお店になんのメリットもないのに。不意に感動と感謝と一緒に申し訳ない気持ちが込み上げてきた。
 
そして、スマートフォンを一緒に見て探してくれた。少し時間がかかったけど、正しいお店の位置がわかった。駅の反対側だった。
 
店員さんも安心したのか、「よかったですね。見つかって」と笑顔で言ってくれた。本当に見つかってよかった。
 
しかし、不思議な私のスマートフォンの地図アプリだ。お店の名前と駅名を入れて検索したのに間違えるなんて。セミナーからバタバタして来たこともあるけど、不思議な感じがした。
 
その後、心の温かくなった私は無事に駅の反対側の会場に向かった。そして、近い日に、あのお店に行くだろう。地図アプリがみつけた女神さまにお礼を言うために。

***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜《9/21までの早期特典あり!》

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2018-09-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事