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人生を変えたスパルタンレース


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:なつむ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「なんで、出ようと思ったの?」
「いやぁ、なんか、楽しそう~! と思って」
そう答えると、だいたい、ちょっと変わった人だと思われるらしい。
 
ちびっこの、ひょろひょろ。
体力、筋力、持久力、多分すべて平均以下。
体を動かすことは嫌いではないけれど、キャッチボールを顔面で受けるような運動神経。
 
そんな私が、「世界最高峰の障害物レース」スパルタンに出た。
5km以上のコースに20個以上の障害。身長を遥かに超える壁をよじ登り、泥水に潜り、有刺鉄線をくぐって泥の中を匍匐前進し、数十キロの石を運び、火を飛び越え、泥まみれになりながら、2時間以上に及ぶ、大人の本気の障害物レースだ。
 
今更ながら、あとから考えてみると、よく、出られたな、と思う。
 
最初にレースを知ったのは、5月、知人のFacebookの投稿だった。
「今日はスパルタンレースの本番です! AROOO!!!」
知り合ったばかりで「普通のキレイなOLさん」だと思っていた人が、その日は全く別の世界を満喫していた。
初めて聞く「スパルタンレース」という言葉。
WEBで調べて、何かとんでもないことをやっているらしいと知り、面食らいながらも、「すごい!羨ましいな」というのが、第一印象だった。
 
私は、昔から体力がなかった。
太りにくいのはありがたいが、逆に気を抜くと、やつれていく。
大学でダンスをしていたが、社会人になると運動する習慣がなくなった。
営業の時も展示会で立っているのが辛かったし、デスクワーク中心の生活で一層体力は落ちた。
体力の維持にと週末にウォーキングをすると、遊ぶ元気が残らない。
何のための運動かわからなくなりつつあった。
人生100年の時代、このままでは、絶望的にまずい。
 
そんな私に、スパルタンレースのお祭り騒ぎはとても眩しく、楽しそうに見えた。
「みんな、運動のできる人たちなんだろうなぁ」
機会があれば話を聞いてみようと思って、画面を閉じた。
 
1ヶ月後、次にその人に会ったとき、私はもう、話を聞いてみようと思った事自体を忘れかけていた。
偶然、帰り道に二人にならなければ、永久にそのままだったかもしれない。
帰り道をご一緒しながら、ふと思い出して、軽い気持ちで話を振った。
「そういえば、先月、スパルタンレースなるものに、出ていましたよね? 投稿、すごく楽しそうでした。あれって何ですか?」
人一倍面倒見の良い彼女は、レースのこと、チームのこと、色々と丁寧に教えてくれた。
聞けば、9月に次のレースがあり、希望するなら出られなくもないという。
 
「いつか、出られたら」くらいに思っていた私は、初めての出場機会と突然対峙することになって、びっくりした。
 
興味津々だけど運動経験がほとんどなく、たっぷり戸惑っている私に、彼女はアドバイスをくれた。
「チームで助け合うことはできるけれど、自分でやらないといけない障害もある。何もできないのは多分、自分も苦しい」
「見に来るだけの選択肢もある」
「出るなら、体を鍛えることは必要。今からなら間に合うのではないかと思う」
 
もし話を聞いたのがその次の時だったら、間に合っていない、そんなタイミングだった。
 
「どうする?」「どうする??」「どうしよう???」
迷いながら、教えてもらったレースの申込みサイトを見た。
画面を進んでいくと、恐ろしい誓約書が出てきた。
要約すると、自己責任で鍛えて出ます、怪我しても死んでも文句言いません、という内容だ。
 
まだトレーニングも始める前。
まったく、未知の世界。
緊張で、心臓が高鳴った。
 
今考えると、おそらくマラソンでもスキューバダイビングでも、体を使うイベントではお決まりの内容だ。
OKしないと何も始まらない。
しかしそういう経験も乏しい私は、真剣にその重さに向き合い、しばし唸ってしまった。
 
WEBでスパルタンの情報を見れば、どこもかしこも筋肉ムキムキの人たち。
「お呼びでない」気がして、ならない。
それでも、では諦めるのか、というと、それは悔しい気がした。
 
確かに、今でなくても良いのかもしれない。
でも。
 
ずっとこんな体力のままだと、生きること自体を楽しめなくなってしまう。この人生を、変えたい。
 
ずっと待っていたチャンスのような気がした。
苦手だった運動を、圧倒的に楽しいプラスなものとして捉え直せる機会かもしれない。
チームでスパルタンというお祭りに向かって鍛える方法は、「大勢で何かをする」ことが好きな私にとっては最高の形に思えた。
 
チャンスの女神は前髪しかない。
このタイミングで話が来たことがそれだとしたら。
 
清水の舞台から飛び降りる気持ちで、申込み手続きをした。
 
それからの3ヶ月は怒涛だった。
仲間の支えもあったし、専門のレッスンも体験した。
何もかもが初めてのトレーニング。
まともな方法を理解して鍛えられた時間は、2ヶ月もなかっただろう。
前日は不安と興奮で寝るのが大変だった。
 
はじめての、緊張と不安、そして、楽しすぎるレースは、無事に終わった。
 
そして、最近、強くなった自分を実感している。
本気で走った時、重い荷物を運ぶ時、明らかに、今までより力があるし、余裕がある。
生活自体が楽になってきた。
これが同じ自分なのかぁ、と、しみじみしてしまうくらい、気づけば、変わっていた。
トレーニングを続けて、次のレースはより楽しめるといいなと思っている。
 
 
スパルタンレースは、期待した以上に、私の人生をガラリと変えてくれた。
 
さぁ、次はこのライティング・ゼミで、人生、変わるかな?

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2018-09-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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