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メディアグランプリ

出逢いのカタチ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:今泉まゆ美(ライティング・ゼミ木曜コース)
 
 
ある日突然、私はその世界に足を踏み入れる事になった。
 
事の発端は友人の夫が立て続けに海外勤務となり、仲良し同期3人組が
イギリス、中国、日本の3か国へと散り散りになったことだった。
 
時間を合わせてSkypeを繋ぎ、それぞれお酒を飲みながら語るのも楽しかったが、
一人が「何か一緒に遊べるものはないか」と言い始め、数日後には「いいのがあった」と
言ってきた。彼女の友人が誘ってくれたのだと言う。
 
 
その内容を聞いて、私は躊躇した。
なぜならば少し前に2時間ほど、それを体験したことがあったからだ。
それも一緒にやろうと誘われたものの、「下手くそ!もう二度と一緒にやらん!」と
開始早々に激怒されてキャラクターを封印されたという、若干のトラウマ付きの体験だ。
 
 
「なんかすごく楽しいらしいよ!」とワクワクする彼女。
それに反して「また怒られたらどうしよう……」と不安でそれとなく抵抗する私。
もう一人の友人はどんなものか全く想像もつかない様子。
 
 
半ば押し切られるようにして始めることになったそれは、「オンラインゲーム」だった。
 
物心ついた時からゲームをしていた私にとって、そのタイトルは非常に
馴染みのあるものだったし、他のシリーズはほぼ遊んだことがある。
だから世界観のイメージや基本的な知識は十分なほど頭に入っている。
 
だが、「オンラインゲーム」は2時間体験したとはいえ、ほとんど未体験だ。
私の中では、「廃人」と呼ばれる人が沢山いて、正しい装備や道具を持っていなかったり
ミスをしたりすると、激しく怒られるような超体育会系な世界だというイメージであった。
 
私は自分の分身となるキャラクターを作り、ドキドキしながらその世界に足を踏み入れた。
どうか怒られませんように……と願いながら。
 
 
開始早々に、誘ってくれた友人のグループに加えてもらい、挨拶をする。
私たちアラサー女性3人は、キャラクターに付けた名前を「ちゃん付け」で呼ばれる事に
なった。
中身は全員大酒飲みのおっさんなのに、その呼び名はなんだか申し訳ない感じがしたので、
せめて「ちゃん付け」に合うよう、ちょっとかわいい振舞いをしようとサービス精神が
芽生えた。
 
その心がけの効果なのか、グループの人たちは私の想像に反して皆親切で優しかった。
もう自分には必要ないからと装備や武器をもらい、いきなり着ているものが豪華になった。
レベルを上げに行こうと誘われ、戦いの最中は絶えず強化魔法や回復魔法がかけられ、
後ろから近づいてきた敵は即座に倒されていた。
これを持っていなさいとアイテムをカバンいっぱいに渡された。
ログインするたび、ポストには誰かから何かしらのプレゼントが入っていた。
どこかのお姫様のように大事にされ、至れり尽くせりのVIP待遇をしてもらったのだ。
 
 
思い出もたくさんできた。
夏はみんなで船に乗って島へ行き、水着に着替えて魚を釣ったり花火をしたり。
ハロウィンやクリスマス、バレンタインなどのイベントも楽しんだ。
綺麗な景色があるからと雪山や砂漠、洞窟などに連れて行ってもらったこともあった。
 
 
でも、私にとって一番の楽しみは他にあった。
グループの人たちとの交流である。
 
一緒に入った2人はネット環境の問題や、操作が難し過ぎたという理由で開始して
3ヵ月もしないうちに辞めてしまっており、当初の目的は果たせなくなっていたが
私は辞めなかった。そのグループでチャットをしているのが楽しかったのだ。
 
 
家にいるからどんなに夜遅くまで話していても帰りの時間を気にする事もない。
顔が見えず、リアルの世界で繋がりが無い分、本音や悩みを打ち明けやすい。
 
だから毎日のように、私たちは恋愛や仕事などについてリアルの友人には言いにくい、
深い話をしていたのだった。
 
 
徐々に仲が深まっていき、そのうちSNSで繋がるようになった。
そしてついに、「オフ会やろうよ」という話が出てリアルの世界で会う事になったのだ。
 
普段あのイケメンキャラクターを操作している人はどんな人なんだろう……
いつも遅くまで一緒に恋バナをしている子は、口調通りの雰囲気なのかな……
 
自分を差し置いて、いつも見ているキャラクターの「中の人」をあれこれと想像するのが
楽しくもあり、ドキドキ・ワクワクしていた。
 
 
集まってしばらくは緊張しながらお互い様子を窺っていたが、ゲームの話をし始めると
たちまち盛り上がり、長年の付き合いがある仲間のように話が尽きなかった。
どの人も見た目はキャラクターと似ていなくても、会話の雰囲気通りの人たちであり
やはり親切で優しかった。
 
 
ゲームは卒業してしまったが、今でも彼らとは繋がっている。
近くに来ることがあれば連絡をくれて、食事でもしようと誘ってくれる。
会って語れば話は尽きず、時間があっという間に過ぎていく。
一方、一緒に始めた友人たちとはもう付き合いが無い。
出逢いがリアルでもバーチャルでも、その後の繋がりの深さや長さは別の話なのだ。
 
 
友人だけでなく、恋人もできた。仲間の中には結婚までした人もいる。
一度はトラウマになったオンラインゲームが、こんな効果をもたらすなんて
思ってもみなかった。
 
もしも本音で話せる友人が欲しいとか、人柄重視でパートナー探しがしたいと私が相談を
受けたなら、SNSや結婚相談所よりも先にこちらを勧めてしまうだろう。
 
***

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2018-12-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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