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メディアグランプリ

魔法使いになるためには


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
記事:遠藤淳史(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「しまった。40分も寝てた」
 
少しの休憩がてら、初めて訪れた喫茶店で私は間抜けな居眠り姿を晒していた。
居心地がとてもよく、本を読んでいたらいつの間にか眠ってしまった。
だらしなく崩れた体勢をゆっくりと元に戻す。
 
よりにもよって休日の午後という、一番の混み時に寝てしまったので、
店員さんに白い目で見られてなかったか心配だった。
けれどももはや確認のしようがない。
 
そのまま読書を続けようかと思ったが、
豪快に身体を歪めて寝ていたためあちこちが痛い。
そしてあれほど爆睡をかましておきながら何食わぬ顔で本を読み続けるのは気が引ける。
早く帰って寝ろよとか思われてそうだ。
 
「何だか申し訳ないから早く出よう……」そう思い、席を立った。
そそくさと荷物をまとめ、レジへ向かい財布を取り出す。
すると店員さんに、思ってもみないことを言われた。
 
「ゆっくりくつろいでいただき、ありがとうございました」
 
「え」
 
思わず声が出た。驚いた。
予想外だったのだ。
「ご利用ありがとうございます」くらいは言われるだろうと思っていたが、
「ゆっくりくつろぐ」つまり私が周りの目も憚らず爆睡していたことに対してお礼を言ってくれた。
 
店員さんからすれば、私はただの客。
そのため、いつも通りの対応をしたに過ぎないと思う。
けれどもその一言で、私が直前まで感じていた、寝てしまったことに対する引け目や申し訳なさは綺麗さっぱり消え去った。
 
私が店を利用したことに加えて「寝た」という事実を踏まえてその言葉を投げかけてくれた。
”私”個人を見て、声をかけてくれた。そのことが何だか嬉しくて、些細なことだけれどとても心に残った。
店を出た後「また来たい!」と純粋に思った。
あの一言が無ければ、きっとモヤモヤした気持ちのままだっただろう。
 
そのおかげで
何気ない一言のチカラってすごい……! たった一言付け加えるだけで、こんなにもお互いの気持ちがハッピーになる。魔法みたいや……ハリーポッターや……と感動していた。
店員さんのさりげない、それでいてテクニカルな魔法にまんまと私はかけられたのだ。
 
同時に「これって、誰でも使いこなすことができるのでは?」と思った。
そう、誰でも魔法使いになれる。
 
だって考えてみて欲しい。店員さんがとった行動は何か特別なことだろうか。いや違う。
私の店内での様子を見て、会計時の決まり文句をちょこっと変えただけだ。
セリフを私専用のものに変えた。それだけ。
この“私専用”という点が肝で、
私を「大勢来店している客の中の一人」と認識していれば、このような対応はできないだろう。
 
私たちは「余計な一言」にすごく敏感だ。
触れられたくない過去に、うっかり触れてしまった。
せっかく皆で盛り上がっていたのに、口を滑らせて白けさせてしまった。
良かれと思って言ったつもりが、逆に怒らせる結果になってしまった。
どれも「そんなつもりはなかった」のだろう。
この場合「地雷を踏む」という言い方が正しいのだろうか。一度踏んでしまった地雷はもう爆発するしかない。爆風に身を任せるのみで、コントロールは不可能。
どこに地雷が潜んでいるか分からないから、とにかく慎重に進むしかない。
だから相手の地雷を踏むのが怖くて干渉を避ける。
曖昧な言葉で濁らせる。
お互いに心の予防線を張って、それ以上は近づかないようにする。
そんな宙ぶらりんな関係が増えつつあるのかなと思わずにはいられない。
 
けれどもあの店員さんは、地雷を恐れず私の中に踏み込んできてくれた。
結果、私の心のモヤモヤは払拭され、喫茶店のリピーターになりつつある。
 
人間関係を一歩前に進めるのは、ほんの小さな心配りと勇気だ。
それらを忘れなければ、人は誰でも魔法使いになれる。
 
だからこそ、魔法を“かける”立場でありたいと強く思う。
人との関わりを恐れずに毎日を過ごすことができれば、たとえ失敗したとしても、一歩踏み込んだ自分を誇りに思えるはず。
 
何よりも魔法は“かけられる”よりも“かける”方が純粋に楽しい。
これは紛れもない真実であり、もっと大事にすべきことだと思う。
 
だってその魔法は、必要不可欠なものではないから。
別になくたって、関係に溝が入ったり亀裂が生じたりすることもない。
1は1のまま、100は100の状態のままでマイナスになることはない。
その安定した状態を維持したい人も中にはいるだろうし、もちろんそれはそれで構わない。
けれども1が急に10になったり、100が1000なんかになったら、すごく嬉しくないだろうか?
これまで過ごした時間とか、ずっと同じスピードで歩んできた流れを、一気に飛び越える力を持つのが魔法なんだと思う。
そんな裏ワザみたいなことを自分で起こせるなら、私は積極的に使っていきたいと思わずにはいられないし、駆使できればそれほど楽しいことはないだろう。
 
小さな心配りと勇気。
自分と相手をハッピーにする魔法使いになるための第一歩。
いくつか決めた2019年の目標に「魔法を使いこなす!」と追加した。
 
*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。 http://tenro-in.com/zemi/66768

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2019-01-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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