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落語ワンダーランドの年間パスポートを探すハメになった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:山本さおり(ライティング・ゼミ日曜コース)

「ほんとにしょうがねぇガキどもだな」
高校3年生の修学旅行で言われた言葉である。言葉の主は、三遊亭小遊三師匠。
私と落語との初めての出会いである。
高校3年生の時の修学旅行の行き先は浅草。浅草ビューホテルでのテーブルマナー講習と浅草演芸ホールで落語を聞くのが、修学旅行のメニューだった。
食べることしか興味のない女子高生の私としては、テーブルマナーを学びがてら、おいしいフランス料理が食べられることが一番の楽しみだった。
しかし、今となっては、全く料理のことなど覚えていない。せいぜい、テーブルマナーで、外側からフォークを使うことくらいしか記憶にない。一番記憶に残ったのが、小遊三師匠の高座だった。
演芸ホールは、私たちの学校の生徒で埋め尽くされた。
小遊三師匠は、当時から「笑点」に出演されていたので、高座に出た師匠に対して、
「よ! 歌丸!」などと好き勝手にヤジが飛ぶ。
それに対しての小遊三師匠の返しが、「ほんとにしょうがねぇガキどもだな」である。
本当にしょうがねぇガキどもだったと思う。
食べることにしか興味のない女子高生や、ヤジを飛ばして目立ちたい男子、興味なく寝ていた生徒もいたはずだ。
しかし、このしょうがねぇガキどもを相手にした一言で爆笑が起こった。そして、落語が一席始まった。
正直なところ、そこで何の噺がかけられたのかは覚えていない。でも、とにかく笑ったことだけは覚えている。その場の全員が笑っていた。
小遊三師匠の落語は、ディズニーランドの入り口だった。いつでも笑えて、様々な時代の住人になれる落語に、私はすっかりハマってしまった。
てけてんというお囃子を聴くと、すっかり江戸時代の長屋住まいの住人の気分になれる。
いつでもその世界の住人になって、ご近所の熊さん、八っつぁんの噂話を聞くようなトリップ感だ。時間は、1つの噺で20分から30分くらいなので、ちょうど長屋の井戸端でご近所さんと話をするくらいの時間だろうか。
古典落語で有名な「時そば」はご存じの方も多いかもしれない。蕎麦屋のお客の「今、何どきだい?」という台詞で得する男と損する男の噺である。
落語に出会った高校生の頃から、数学が苦手で、最低得点2点を叩き出すような私は最初、オチの意味がわからなかった。オチがわかったときは、「ためしてガッテン」よろしく、ガッテンボタンを何度も押してしまうほどの爽快感だった。
私は絶対に間抜け側の役で登場してしまうと思うが、それで自分がその蕎麦屋で損をした男になった気分でへなへなと笑ってしまう。
そして、「なんて間抜けなんだ!」と、悪いことはそうそうできるもんじゃないと心にとめるような教訓も学ぶのだった。
落語にハマったとはいえ、飽きっぽい性格の私は、何回か「笑点」を見て、こっそり小遊三師匠の座布団の枚数を応援するくらいになってしまった。高校の修学旅行の後は、大学生の時に浅草演芸ホールに一度行ったきり、しばらく離れてしまっていた。
小遊三師匠の後に、ワンダーランドの入り口を開いてくれたのは、鈴本演芸場の寄席だった。
社会人になり、鈴本演芸場に足を運ぶ機会ができた。飲み会だけでは飽きてしまった私と先輩は、いつかは足を運んでみたいと思っていた寄席に行ってみようということになったのだ。
私も本格的な寄席は久しぶりだった。しかも、鈴本演芸場は、お酒もおつまみも持ち込めて、笑って楽しめる。食べ盛りでしかなかった女子高生の私も、「飲めるし、食べられるし、しかも笑えるなんて、大人はいいなぁ」と思うことだろう。
寄席の内容は盛りだくさんだった。初めて見た「紙切り」は、まさに紙とはさみ1本で客からの声に応えて、紙を切っていく芸である。その時は「花魁道中!」というお題に3分もかからないくらいで、見事な花魁道中を切り出していた。他にもマジックや漫才もあり、そして落語は4、5人の噺家さんから聴くことができる。それらを3,000円そこそこで楽しむことができる。
その時の寄席で、トリを努めた林家たい平師匠の「井戸の茶碗」を聴いて、爆笑と同時にあまりの見事さに感動した。
それからは何人もの噺家さんの「井戸の茶碗」を聴いた。あらすじは一緒でも、笑いのポイントであるくすぐり方が少しずつ違うことを知った。
他にも、この人の落語はトリッキーだな、と思ったり、この噺はあの噺家さんだと違うオチだったな、と思い出したりと聴けば聴くほど、面白くなってくるのが、不思議な落語の世界である。
まだまだ「落語好き」と言うには到底及ばないが、その落語ワンダーランドの魅力に、年間パスポートを買うことを検討したいほどである。年間パスポートは、見つかるだろうか。
年末年始のテレビ番組で落語をテーマにした番組があり、それを見ていたら、高校の時の落語との出会いを思い出した。私にまた落語ブーム到来の予感がする。まだまだ聴いたことのない名人もいるし、知らない噺もある。
明日の通勤時間には、春風亭昇太師匠の「ストレスの海」をもう一度聴いてみようと思う。

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2019-01-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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