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メディアグランプリ

絶対に休んではいけない勉強会


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:藤田雅樹(ライティング・ゼミ 日曜コース)
 
 
「絶対に休んだらあかんねん、その勉強会」
すでに会員だった知人がそう言った。
冠婚葬祭と病気以外は休んではいけないという、その理由のわからない大変厳しい入会条件に興味を持ち、知人の紹介で2009年にその勉強会に入会した。
 
毎月1回、第2木曜日午後の数時間開催されるその経営勉強会は第6回の例会を迎えていた。そこで出会った先輩経営者たちはみな個性的で、また堂々として、格好よくて憧れるような存在であり、会社で専務の役職に就いていた自身にとってはどこか引け目を感じる存在でもあった。
 
毎月の例会は、課題や議論があり、先輩方の発表や発言は新鮮で刺激のあるものだったが、いざ自分の番になればまとまりのない話をし、厳しい指摘を受けることばかり。
「あなた、悔しくないのですか? 同世代の会員がこんなに勉強しているのに」
「成長しない人は飽きられますよ」
そんなことはないはずだ、と心の中で反発しながらも、そのように見えるのは事実なのだと、鏡を見なくても自分の顔がみるみる紅潮していくのがわかる、辛くて長い毎月第2木曜日。
 
それは5年間変わらなかった。
 
今思えば、何かいい戦略が見つかるのではないか、とか、絶対に休まなければ自然に経営力がアップするのだ、と勘違いしていたのだと思う。
 
2014年1月に会社の代表に就任した。これといった戦略も目標もないけれど、もう逃げ場のない大きな責任と覚悟から、気持ちだけはどこかすっきりとし、堂々とできた。
その月の例会で、何名かの会員から「あなたの良いところはこういうところだよ」と言っていただいた。
自分の人柄や姿勢についてのことだった。
そのとき初めて、何かとてつもなく大きな自信を得た。自分にとって当たり前で、ほかの人も同じだと思っていたことが、実はなかなか特別なのだということに気づかされた。
これまでよく耳にしてきた「自分らしさ」とはこのことか。
 
そこで、今までの自分と仕事とを振り返ってみると、戦略が見えた。
 
私は工務店を経営している。家を建てる。改造する。修理する。それは作業である。私や会社に求められているものは「安心」である。だから、安心につながることは何でもしたいと考えた。網戸の張替え、割れたガラスの交換、トイレ詰まりの修理、家に侵入したイタチの捕獲。新築・リフォームといった目立つ仕事もたくさんしているけれど、そんな「誰に頼むの?」ということもするのである。
「近くにあってよかった」
「あんたが頼りやわ。これからもお願いね」
そのお役立ちの質を高めて増やしたい。
 
振り返れば、網戸もガラスも、ずっと以前からやっていたことである。
ただ「安心」を求められているという本質に気づかずに、小さな作業としてしか捉えていなかった自分がいただけだ。
 
創業者の祖父、2代目の父、3代目の私、そこに一貫している考え方と、今、周りから求められるもの、自分と会社が世の中に提供できるものがはっきりとし、磨くべきものが見えた。
同時に、それはとても地味なものだとも思った。何だか自分に合っているなと思った。
 
私はどちらかというと控えめで、派手ではない。色に例えるなら、土色か。でも好きな色がある。いぶし銀である。いぶし銀(燻し銀)は「燻して表面の光沢を消した銀」または「そのような色」を意味し、表面の光沢が消え、渋くて味わいのある質感をもつ。ここから転じて「見た目の華やかさはないが、渋くて味わいのある人やものごと」という意味でも使われる。そういえば、大工道具のカンナの刃や玄能(金づち)もそんな色をしているな、というのも良い思い込みだろう。
 
ふと思い立って10年前の入会当初からの課題や発表の記録を読み返した。
自信のない、軸のない、気づきのない5年間に書かれていたことに共通していたことは、「そこに自分がない」ということだった。ほかの会員の発言のポイントの記録、こうあるべきだというメモ、小手先で考えた一夜漬けの課題、本当に自分が書いたのかと思うほど、その時の心境も浮かばないような、実践しないただの記録の束である。
しかし、自信を持ってからの書類は違った。そのどれもが「ああ、あの時こんな風に考えていたな」「時間がかかったけれど今これはできるようになったな」という魂のこもった意義のある記録の束である。
 
そして、ひとつだけ誇れると感じたのは、どうしても別の場所に行かなければならなかった2度の機会を除いて10年間欠席しなかったことだ。毎月1回10年間、約120回、記録と記憶でたどれば、そこには自身の成長が克明にあらわれてくる。
例会を通じて、他の会員の経営哲学、生き方を感じ、自分と比較し、参考にする。指摘されることで自分の課題を見つけ、成長の度合いを確かめる。反対に、仲間の成長も観測し、課題を見つけ、支援する。一流を目指すというコンセプトのこの経営勉強会において、例会は経営者の成長の定点観測の場なのだと感じる。
 
今ようやく、土色の自分から、仲間の支援によって銀の鉱石を見つけたところだろうか。
ここから、良質な経験の煤を纏ったいぶし銀になるには、努力の継続と成長の定点観測が必要だ。
 
だから、私にとってこの勉強会は絶対に休んではいけないのである。
 
 
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2019-01-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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