メディアグランプリ

ムニムニトロトロ作りはプログラミング?挑戦する大人になれ!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:川鍋祥子(ライティングゼミ・土曜コース)

小学生女子の間で流行っている「ムニムニ」「トロトロ」なものをご存知だろうか?

今や低年齢化し、若者を通り越してちょっと背伸びしたい小学生女子で溢れている原宿竹下通りを少し歩いてみれば、それはすぐにわかる。
答えは「スクイーズ」と「スライム」。竹下通りには様々な種類の「スクイーズ」と「韓国スライム」を売る店が軒を連ね、これらを求めてやってくる小学生でいっぱいだ。
小学生の娘のいる私は、娘から「スクイーズ」と「スライム」についてよくレクチャーを受ける。きっと、自分の好きなものを私に知ってほしくて、あれやこれやいろんなことを教えてくれるのだろうと思う。
「スクイーズ」と聞いて、飲み物を思い浮かべた私はかなり時代から遅れているらしい。あまり興味が持てないからか、何度聞いてもあまり頭に入ってこないのだが、大まかに言うと、まるで本物と思うくらいにスイーツなどに似せて作ったムニムニとした触感の玩具で、触っていると癒されるのだそうだ。
もう一つの流行り物「スライム」は、私が知っていた40年前に流行ったバケツ型のケースに入ったものとは違い、「韓国スライム」という名で、キラキラのラメが練りこんであるものや、触感、透明度、弾力性、硬さ、柔らかさ、色、艶の違いで無限に種類があるらしい。たくさんある種類の微妙な違いを説明してくれる娘に、うんうんと頷きながら、バケツスライム世代の私には娘が力説する素晴らしさが今ひとつ理解できない。(そもそもこれが何になるのか?!)これらの知識は、タブレットで見た動画サイトで得ているようで、韓国の「かわいい女の子のファッション」や「コスメ」などと一緒に全国に拡散しているようだ。
今、日本中の小学生女子がこの二つにはまっているということが、にわかには信じられなかったが、クリスマスの連休に娘にせがまれて竹下通りへ行ってみて、この現象に納得した。あちこちの店で
「あ!! これ、欲しかったやつだ!」
と叫んでいる小学生を何人も見たのだ。
私の娘も例外ではなく、少し前まで夢中だったレゴには目もくれなくなり、学校から帰るとずっとスライムを触って遊んでいる。サンタさんからのクリスマスプレゼントもスライムセットだった。「セットとは何?」と思うが、数種のスライムに、中に入れるラメやビーズ、それを混ぜるヘラ、混ぜて作ったオリジナルのスライムを保存する容器まで入っている。
クリスマスから時を経ずして、ドラッグストアと100円ショップへ連れて行ってと言う娘。そこで、洗濯のり、プリンター用のインク、シェービングフォーム、ぬいぐるみ用の緩衝材、数種のビーズ、洗濯洗剤(銘柄指定)、ベビーパウダー、ホウ砂という不思議な組み合わせの材料を買い、娘はなんと自分でスライムを作り始めたのだ。作り方はタブレットで動画検索。そこに上がっている出来上がりの動画を見ては日々研究。指でスライムをつぶす「音」も重要なようで、「透明で泡のない、理想的な弾力の、理想的な音の出るスライム」になるまで、作っては捨て、作っては捨てを繰り返し。何日か寝かせてみたり、それぞれの材料の分量を微妙に変えてみたりして、ついに「目指していた究極のクリアスライム」ができた時の娘の喜びようと言ったらなかった。正直、
「ね、ママ、いい音するでしょ?」
とスライムに指を突っ込んでは抜き、突っ込んでは抜く時に出る音に酔いしれる娘の喜びを共有することはできなかったけれど、納得するものができた娘の喜びは共有できた。
ただ、どんなに説明をされてもスライムの楽しさを理解できない私には、スライム作りなど無駄な時間にしか思えず、早くこのブームが去ってくれないかと、内心思っていた。

それから数日後、娘の通うプログラミング教室で保護者のためのプログラミング体験学習があった。普段子ども達が学習しているレッスンと同じことを親が体験するというもの。レゴで組み立てたロボットに簡単な命令のプログラムを組み合わせて与えていき、スタートからゴールまで移動させるというミッションをクリアする。違う家庭の保護者と二人チームで協力して取り組み、先生はそれぞれの子どもが務める。簡単な命令の組み合わせだが、試しながら数値を微妙に変えていく。ゴールさえすればいいので、答えは一つではない。コースを走らせてはプログラムを書き換え、壁にぶつかり、また分析して書き直す。初めは義務感で出席していたが、だんだん熱中してくる。書き直したことにより徐々に前に進むのが快感になってくる。考えて、直して、良くなる。単純なことだが、小さな達成感がまた次への活力になる。

おや?これはどこかで見た光景。
そう、娘がスライムを作っていた時のことだ。

「トライアル アンド エラー」
どうやって作るのか?(調べて)
どんな種類のスライムがあるのか?(分析して)
この失敗の解決策は何か?(考える)

スライムを作っていた時の娘は、ものすごい集中力でこの3つを繰り返していた。
そして、この先にあるのは「挑戦」だ。

時間の無駄だと思っていた「スライム作り」は、実は「挑戦する思考回路」のトレーニングになっていたのだ。

「子どもが、好きで熱中しているものは、親の尺度を押し付けずに見守っていくことが大事である」ということを学んだ。知らないところで、思いがけない成長をしているかもしれない。「その芽を摘み取らないようにしなければ」と心にしっかりメモしたのだった。

*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。 http://tenro-in.com/zemi/66768

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


2019-01-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事