メディアグランプリ

「ロシアンルーレット」と思ったものは「宝物」だった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【3月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《火曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:葉田さつき(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「あれ?」
 
先週の水曜日、天狼院の「論文ゼミ」の初日終了後のことだった。
PCを鞄にしまおうとしたら、メモリーカードのポートの下にメモリーカードがあった。
 
一瞬、あれっと思ったので、カウンターの前にいたスタッフさんに
 
「これは?」
 
と聞いてみたが、その一言だけでスタッフさんは私が何を言っているか判るわけがなく、返事がなかった。後から考えると、私が独り言を言っているように見えたと思う。
 
私はPCに読み込んだメモリーカードを、きちんとはめないで、そのままそのポートにおいておく癖がある。
カチッとはめるとアクセスしてしまう恐れがあるからである。
メモリーカードは、本来はカードホルダーに戻すべきで、それを面倒くさがりの性格なため、そのままにしているということだけである。
 
「32GBだし、私がおとしたのだろう」
 
PCのメモリーカードポートに入れて持ち帰ってしまった。
 
電車の中で、
「アメリカとカナダの旅行の写真がいっぱい入っていたものだろう。またそのままにしていて、私って駄目だなあ」
 
「いや、ひょっとしたら別の人のかも」
 
「ゆるく入れてあるだけだけど、ポートからメモリーカードおちるかなあ」
 
このメモリーカードは「私のもの7割、他の人のもの3割」のように思えてきた。
 
疑いだしたら 次から次にいろんなことが浮かんできた。
 
「他の人のだとしたら、どうして確かめたらいいのだろう?」
「PCで開いてみるしかない?」
「メモリーカードにウイルスが入っていると怖いよ」
 
「そういえば、職場の機器でウイルス騒動があったなあ。修理業者さんが使っていたUSBメモリーから機器にウイルスが感染して、そこからデータを移したので職場のPCが感染して大騒ぎになったよね」
「そうそう犯人探し、感染経路追及がすさましかった」
 
「この前も知らされずに、ウイルス対策の危機管理訓練があって、メール添付のURLを開けた人が注意されたよね」
「URLをクリックすると、『これは訓練メールです。安易にURLを開けずにウイルスが入っていることを想定してクリックしてください』ってやつね」
「その訓練、9割以上の人が引っ掛かったよね」
 
「意図的なウイルスもあるかも。例えば天狼院さん、今、勢いあるから、ライバル会社さんがウイルスをばら撒きに来たかも。本屋さんだから誰でもはいれるし」
 
「まさか? でも、気が付かないでウイルスに感染していることはあることよ」
 
「ウイルスも嫌だけど、見たらいけないようなデータは入っていたらどうしよう? 秘密文書とか個人の趣味のあれこれとか」
 
「開けるのこわいよね」
 
自分でも不思議なぐらいいろんなことが浮かんできた。
どうやったらいいのだろう。でも怖い!
 
なんかロシアンルーレットゲームでどこ引き当てるか 悩んでいるときの気分だった。
 
次にどのPCでメモリーカードの内容を確認するか? と考えた。
自分の個人PCではウイルスが怖くてできない。
職場のPCは?
セキュリティ厳しくて、もし何かあった場合は責任取らなければいけない。
 
じゃあ どうしよう?
 
ロシアンルーレットゲームを手にしながら、怖くて引くのを引き延ばしていた。
 
次の日は1日出張で、朝早くから出かけ、仕事で終わってしまった。
 
その翌日の金曜日、私は「先延ばし撃退ゼミ」参加するため天狼院に行った。
終了後、講師の先生とスタッフさんと雑談した。
 
「水曜日、論文ゼミに出たら、「先延ばし撃退ゼミ」の前の受講者さんがいらっしゃったんですよ。教わったことをきちんとやっていて、とても成果がでていますってお伝えくださいって言われました」
 
「それは最高ですね」
と先生とスタッフさん。
 
そのあと、スタッフさんが聞いてこられた。
「論文ゼミでメモリーカード 持ち帰りませんでしたか?」
 
「はい、どなたかが忘れたって言ってこられたのですか」
 
「はい」
 
間違えない。
 
あのメモリーカードは名乗り出てきた人ももので、私のではない。
あんなにあれこれ考えたのに、こんなに簡単に解決するとは、と気が抜けてしまった。
 
メモリーカードがPCのポートの中に入ったままであることを思い出し、スタッフさんに渡した。
 
あれこれ考えていたのに、あんなに悩むなら、なぜ、天狼院さんにメモリーカードのことを問い合わせることを思いつかなかったのかな? と思った。
 
ともあれ、私の中でロシアンルーレットと化してしまったメモリーカードは、無事、持ち主さんのところに帰ったのだろう。
 
メモリーカードさん。良かったね。
本来の持ち主さんに戻って良かったね。
いろいろ考えたり、ロシアンルーレットと思ったりしてごめんね。
 
もし、私が持ち主さんだったら、メモリーカードを落としたら、真っ青になって必死に探したに違いない。私にとってメモリーカードは「大切なデータや思い出がいっぱい入っている宝物」なのである。
 
落とされたメモリーカードは、持ち主さんにとってもちろん宝物だったのだろう。忘れたと思って、慌てて問い合わせられたのでしょう。
持ち主さん、心配されて申し訳ありません。天狼院のスタッフの皆さま、お時間をとってお店の中を探されたのでしょう、申し訳ありませんでした。
 
メモリーカードは小さなものだけど、「仕事をはじめ自分のやったことがいっぱい入っている大切な記録」であり「自分の思い出がぎゅっと詰まった宝物」
 
「宝物はしっかり管理しよう!」
 
私、これからはメモリーカードをポートに入れたままにしないで、カードホルダーに戻します!

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2019-02-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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