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自分を変えたい人のためのとっておきの秘法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:臼井裕之(ライティング・ゼミ土曜コース)
 
「お前はもう中国人だよ」
中国人に何度こういわれたことか。
そんなとき、口には出さないが思う。
「こんなに中国語の下手な中国人がいるかよ」
そして口ではこう答える。
「半分、いや4分の1くらい中国人ね」
 
自分を変えたい人は、外国へ行って住めばいい。
住んでいるうちに、どうしても以前の自分とは変わってしまう。
変身の術一丁上がりだ。
海外生活とは、自分を変える魔法なのである。
 
もちろん変身しきれないところが少しは残る。
人に化けた狸に尻尾が残っているようなもの。
日本人の知り合いで奥さんが中国人、北京に住んで10年の人がいる。
中国では、個人商店では値切るのが当たり前だが、
彼はどうしても値切れないといっていた。
実は私も同じである。人には得意不得意があるものだ。
 
私は2012年3月から北京で暮らしはじめた。
海外旅行の経験はあった。
十数か国行ったことがある。
でも海外に住むのは初めて。
「異文化適応」ということばを聞いたことはあった。
でも異文化の中で住んだら、どう具体的に自分が変わるのか、
まるでイメージがわかなかった。
 
「あなたの中国語には『請(チン)』が多すぎる」
中国に住み始めて数か月、こういわれてビックリした。
「請」というのは「~してください」、
英語でいえばPleaseだ。
例えば「請坐(チンツォ)」で「お座りください」。
どんな言語でも、丁寧な言い方はある。
しかし中国人は極めて率直である。
日本人みたいな虚礼はあまり使わない。
単刀直入、いきなり命令形を使うことが多い。
 
日本人は中国にいても見かけ外国人に見えない。
だからけっこう道を訊かれる。
中国に慣れない頃は、バカ丁寧に
「すみません、外国人なので分かりません」
と答えていた。
あまりの丁重さに、訊ねた中国人が恐縮する。
「それはこちらこそ、外国の方に失礼いたしました」
中国人がこんなに恐縮したのを、ほかで見たことがない。
ここは中国人同士なら、「知らない」の一言で済ませるだろう。
それもできるだけぶっきら棒に。
今なら私も、不機嫌そうに答えられるようになった。
「不知道(ブーチータオ)」。
 
逆もまた真なり。
かなり日本語が上手な中国人でも、日本で暮らしたことがないと、
ビックリするような日本語が飛び出してくる
いつもSNSで「おはようございます」と挨拶してくる女性。
ある時、彼女のメッセージに目をむいた。
「これでいいか?」
と訊いてきたのである。
……よくない!
日本語では「おはようございます」というメッセージを
送る相手には、その他の場面でもそれ相応の敬語が必要だろう。
「これでいいですか」
「これでいいでしょうか」
でも考えてみれば、中国語にはそんな細かい敬語の区別はない。
相手が年上だろうが上司だろうが、たとえ習近平であろうが
「可以マ(クーイーマ)?」
で問題なし(「マ」は口に馬)。
 
お次の違いは行動パターンに関するもの。
 
北京に住み始めたばかりのある日、コンビニでレジに並んでいた。
買いたい商品を手にしっかりと握りしめている私。
すると……後から来た中国人が、
私を抜かして計算を済ましてしまう。
一体なぜなのだ!
しばらくして気が付いた。
順番を待っているお客はみな、カウンターに買う商品を「ドン!」と置いている。
「次は私の番」と主張しているのである。
 
だいたい中国人はせっかちである。
飛行機に乗っていても、飛行機が着陸したら、
いっせいにガチャガチャと音が響く。
中国人がシートベルトを外す音だ。
勇猛果敢な奴に至っては、立ち上がって、
頭上の棚に入れてあるものを取り出そうとする。
「まだ席を立たないで!」
外国の航空会社ならば、客室乗務員が怒鳴って注意するところだ。
 
中国人は路上でもせっかちである。
北京では横断歩道の近くに
「信号が青になったら渡りましょう」
というスローガンが掲げられていることが多い。
でもまずそれに従う人はいない。
やっぱりとてもせっかちなのだ。
車が来なければ、赤信号でも渡る。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」
往時のツービートのネタのようだが、中国人はもっとすごい。
一人でも渡る。車が来ても渡る。
車を器用にかわし、道の真ん中で
車の列が途切れるのを待ったりもする。
 
もっともたまに例外はある。
あるとき、上記の「これでいいか?」のお姉さんと歩いていた。
横断歩道に来た。赤信号だが車は来ない。
「車来ないから渡ろう」
私がこういったら、彼女が答えた。
「だめよ、信号が変わるのを待たないと」。
私が黙って彼女を見つめた。
「お前は中国人か?」
こう訊ねたかった。
 
「朱に交われば赤くなる」
こういう環境に6年も住んでいたので、
日本人である私も次第に自分が変容していった。
 
ある時、ズボンを買おうとレジの前に並んでいた。
H&Mだったと思う。
割り込みを狙っていると思しき中国人女性を発見!
負けてなるものか、と私の鼻息が荒くなる。
結局どうしたか?
前のお客がレジを離れた瞬間、ズボンをレジに向かって投げた!
レジのお姉さんはビックリ。
でも作戦大成功、割り込みを無事阻止した。
うはうはである。
何だか自分が違う人になったようで快感。
病みつきになりそうだ。
いや、確実に病みつきになっている。
 
困ったのはそんな「中国仕様」の自分が、
日本に一時帰国したときも出て来てしまうこと。
あるとき、京都駅の新幹線ホームで列に並んでいた。
前の紳士があまりにも間隔をあけている。
中国の感覚で割り込んでしまい、文句をいわれた。
「だったらもっと間を狭くすればいいじゃないか!」
私の反撃に一緒にいた妻がびっくり。
「あなた、中国に行ってたくましくなったわね」
以前なら他人に食ってかかることなんてなかった、と驚いている。
「しめしめ、変身の魔法が効いているぞ」
と、ほくそ笑んだ。
 
やっぱり海外生活は、自分を変える魔法。
かつての私のように、引っ込み思案な人には特にお勧めだ。
見違えるように、たくましくなれることはず。
ただ日本に帰って来たときに、やたらと割り込みや喧嘩をしないように。
それだけはくれぐれも気を付けてくださいね。
 
*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。 http://tenro-in.com/zemi/70172

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2019-03-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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