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それは、おせっかいな母親の世話焼きのようなものかもしれない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:外園 佳代(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「袋はいりますか?」
と、英語で聞かれた。それは先日、初めて訪れた台湾旅行で、スーパーマーケットで買い物をした後、レジで支払いをしたときだった。
 
そこで初めて
「あぁ、レジ袋は有料なんだ」
と気づいたが、エコバッグも持っていなかったので、レジ袋を頼んだ。大型のもので一枚約20円。
「ずいぶん高いなぁ」
と思ったが、そのレジ袋は、リサイクルできるようにしっかりと厚みがあり、公共のゴミ袋としても使えることを表すシールが貼られていた。
 
日本でもレジ袋が有料のスーパーマーケットはふえてきたので、
「台湾でも同じなんだな」
とそのときは思った。だが、同じどころではなかった。台湾のほうがずっと進んでいた。
 
スマホで調べてみたら、台湾では、環境保護の一環として、2018年から基本的にレジ袋の無料提供が法律で制限されているとのこと。
「台湾では、日本より環境に対する意識がずいぶん高いんだな」
と、おどろいた。
 
コンビニでも、パン屋でもレジ袋は無料ではなかった。
「袋はいりますか?」
と聞かれることはあったが、それは、こちらが観光客だとわかって気を使ってくれたのだろう。地元の買い物客たちは、当然のように品物をそのまま受け取っていた。そして、日本のように買った品物にいちいちシールを貼られることもないので買い物がとてもスピーディーだった。
 
さらに、台湾のレジの店員さんは基本的に無愛想で、
「520!」
などと、合計金額を言うだけである。最初は
「この店員さん、怒ってるのかな?」
と思ってしまったが、そのうちそれが標準なのだとわかった。そのうち、レジ袋なし、レジの店員さんの愛想なし、という状態に清々しささえ感じるようになった。
 
わたしはけっこうこまかいことを気にしてしまうタイプで、日本でレジの店員さんにつっけんどんにされると、
「わたし、何か悪いことしたかなぁ?」
「どうしてこんなに冷たくされるんだろう」
と、いちいち考えてしまっていた。
 
でも、台湾でのレジでの淡々としたやりとりを重ねる中で、
「この人たちは、この状態がふつうなんだ」
ということがわかると、そこに変な意味付けをすることもなくなった。
 
ほしい品物を買って、お金を払う。手持ちの袋がなければ、レジ袋を買う。ただ、それだけのことなのだ。それ以上でもそれ以下でもない。
 
三泊四日の台湾旅行で、そんなシンプルな買い物がとても心地よくなったころ、日本への帰国日がやってきた。
 
今回、台湾への往復のに使ったのはLCC(格安航空会社)。LCCを利用するのは初めてで、出発時のときは荷物の預け入れは有料だとカウンターで知らされておどろいた。機内サービスは一切なく、水も有料、毛布の貸し出しも有料。そのときは
「サービス悪いなぁ」
と思ったが、帰国のときは、
「これも、有料のレジ袋のようなものだな」
と、納得ができた。それが必要なら、買えばいい。ただそれだけのことなのだ。
 
そして無事日本に帰国して、空港のコンビニで買物をした。
「216円になります。はい、500円お預かりします。284円のおつりになります」
と、店員さんはにこやかに、そして手早く品物をレジ袋に入れてくれた。
 
にこやかな店員さん、ていねいな金額説明、無料のレジ袋。ほんの数日前まではあたりまえだと思っていたこの光景は、実はものすごい「サービス」のかたまりだと気づいた。
 
考えてみると、こういった日本の「サービス」は、考えてみると、「おせっかいな母親の世話焼き」のようなものではないだろうか。おせっかいな母親は、子どもに対して、
「あなたのためを思って」
とあれこれ「お世話」をしてくれるのだが、そのお世話に慣れてしまうと、世話をされるのがあたりまえだと思ってしまい、ありがたみもなくなる。そして、世話をされないと
「どうしてやってくれないの?」
と、文句すら言い出す。
 
こういったお世話に慣れた子どもと同じで、日本では、
「レジ袋、どうせ無料だし」
と、レジ袋のありがたみに気づくことはほとんどない。店員さんの笑顔もあたりまえだと思っている。そして、行きつけのスーパーで急にレジ袋が有料化されようものなら、
「サービスが悪くなった」
と不平が出ることもある。また、店員さんがぶっきらぼうにしようものなら、
「あそこのスーパーのサービスはひどい」
と、すぐに評判がたつことだろう。
 
でも、おせっかいな母親というのは、
「あなたさえ幸せなら、わたしのことはいいの」
と、我慢に我慢を重ねているものだ。これと同じで、無料のレジ袋、店員さんの笑顔やていねいな対応といった「サービス」のかげでも、環境に対する負荷、「がんばって笑わなくては」という心理的負担がどんどん積み重なっていることを忘れてはならない。
 
そしていつか、我慢に我慢を重ねた母親が
「もう、やってられない!」
と爆発するように、日本における無料の「サービス」も、その提供者たちから、いつか手痛いしっぺ返しがくるだろう。それは、環境の悪化かもしれないし、「こんな仕事やってられない」という店員の人手不足かもしれない。
 
そういう事態はもうすでに起こっているが、さらなる悪化が進む前に、少しずつでも、「母親の世話焼き」から自立しよう。
 
台湾から帰ってきて、わたしは決めた。
レジ袋は基本的にないものと思ってエコバッグを持とう。
店員さんが無愛想だったとしてもそれがあたりまえだと思おう。いちいち傷つかないようにしよう。
そしてもし、店員さんがちょっとでもほほえんでくれたら、それに対して心からの感謝をしよう。
 
大切なことを気づかせてくれた台湾旅行に感謝の気持ちでいっぱいだ。
謝謝!!
 
 
 
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2019-04-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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