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寝坊をしたら大成功


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:山口祥平(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
会社に遅刻した。
 
今の会社に入社して5年が経ち、初めての遅刻だ。
その理由が、寝坊である。
社会人としてやってはいけないランキング上位に入るだろう。
目が覚めて、ヤバいと直感で思った。いつも起きている時間の雰囲気と違っていた。
無意識のうちにiPhoneに表示されている時間を見たら始業時間の10分前だった。
1回、6時ごろに目が覚めたのに布団の温かさに負けて、フランダースの犬の最終回のようにいつの間にか目を閉じていた。
アラームを30分おきに設定しているのに、全く気付かずに爆睡していたようだ。
 
どう頑張っても始業時間までに会社に着けないので、もう一眠りしようかと思った。
さすがにそれはできるはずもなく、慌てて飛び起きた。
先ずは会社に連絡しなければならないと考え、iPhoneを手に取った。
直属の上司に電話をかけてみると、なかなかつながらない。接続音が鳴り続け、留守番電話へのガイダンスになった。
次は会社の電話にかけようとしたが、誰が出るかもわからないし苦手な人が出たら嫌だと思ったので止めた。
寝坊して会社行きたくないと思っているのに、傷口に塩を塗られるようにチクチク言われるのは辛い。遅刻した自分を暖かく受け止めてくれる人は誰かいないかと会社の人を一人ひとり思い浮かべていたら見つかった。いつも面倒を見てくれる上司だ。
早速電話をかけてみるとすぐにつながった。受け止めてほしい気持ちが伝わったのだと歓喜した。
「ちょっと1時間くらい遅れてきます」
と、何事もないように遅れる理由はあえて伏せて言った。そうは言っても、壁に向けて投げたボールのように、やはり理由を聞く言葉は当たり前のように聞き返される。
上手くごまかせるような言い訳もないし正直に言った。ひそひそ話をするように小さな声で伝えた。
 
「寝坊しました……」
 
すると、電話の向こうからは大きな笑い声が聞こえてきた。
怒られるようなことはなくて期待通りであった反面、笑われるとそれはそれで何か切ない気分になった。
 
直属の上司に伝えてくれるということで電話を切り、数秒間ほど放心状態となった。
遅刻して申し訳ないと思いつつ、ライティング・ゼミでも講師の三浦さんが、どんなことでもネタになるって話していたし、この寝坊もネタにできるだろうとほくそ笑んでいた。
 
それでも、電話で連絡したとおり1時間後には出社しなければならないという試練がある。
みんなから冷ややかな目を向けられるかもしれない。視線がナイフのように私の心に突き刺さるかもしれない。
遅刻した罪悪感と会社に着いた時に待ち受けるであろう恐怖感を抱えながら、いつもより重く感じる玄関のドアを開けて会社に向かった。
 
会社にある2階の駐車場に着き、階段を降りると事務所でみんなは仕事をしている。
午前中の慌ただしい時間ということもあり、事務所はピリピリしているかもしれない。
冷たい滝に飛び込む時のような思い切った覚悟で階段を下りて行った。
何も言わずに自分の席に座ることもできないので、おはようございます、と申し訳ないように言った。
 
すると、高校球児のような大きな声で、
「おはようございます!!!」
と返ってきた。
普段から誰もそんな元気な挨拶をしないのに、社長に対してもそこまで元気にしないだろうと心の中でつぶやいた。
電話で連絡した相手である上司は私が寝坊したことは内緒にしていたようだが、バレていたようだ。
寝坊したのをいじるかのように大きな挨拶だった。
私は、ただ苦笑いをするしかできなかった。
 
特に注意されるようなこともなかったが、遅刻したことは非常に大きな問題である。
本来であれば、いつものように始業時間より20分前にでも10分前にでも机にいて仕事の段取りを進めるなどしなければならない。
1時間遅れで出社すると仕事が遅くなるし周りにも迷惑をかけてしまう。
次からは絶対に遅刻しないと、ひそかに決意表明をした。
 
次の日は、前の日と同様に6時に起きた。それでも、誘惑には負けず眠眠打破を飲んだかのように目がパッチリ覚めて起き上がった。
歯磨きや着替えなど出勤の準備をしても時間が余るので、本を読むこともできた。
遅刻して以降、毎日早起きができている。早く起きて気持ちにも余裕ができるし本を読めることで有益な情報を浴びて1日をスタートすることができている。
遅刻という失態を犯してしまったが、自分が成長できるきっかけを得ることができたと思っている。
 
「失敗は成功のもと」という言葉がある。小さなころから何回も聞いてきた言葉である。
失敗することで落ち込んだりやる気がなくなったりしてマイナス思考になってしまう。
マイナス思考を切り替えていけば何かプラスになることが見つかるかもしれない。
失敗してもそこで終わりではないのではないだろうか。
マンガ『スラムダンク』に出てくる監督の有名なセリフが出てきそうである。
 
 
 
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2019-04-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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