メディアグランプリ

書き手の在りかたで、文章に力が宿る


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:矢内悠介(ライティング・ゼミ日曜コース)

「この文章を読んで、私はこの企画を応援したくなりました」

先日、アーティストの友人が挑戦する企画をシェアしたところ、知人ではあるもののほとんど話したことのない方からコメントがあり、友人の企画にお金で支援をいただいた。私は、人を動かすことができた事実にただ驚いていた。
 
書いたことは、友人がこれまで取り組んできたこと、抱いてきた葛藤、そして幾度となく挑戦してきたチャレンジである。人の人生について触れ、今回の企画に支援をいただくということは、自分にとって大きな出来事だった。友人は私に心温まるお礼のメッセージをくれた。
 
文章を書き始めたのはいつからだろう。大学生の頃に始めたブログが初めてだと思う。当時のブログは、日記のようなものであり、ただのグチの吐き出し口でもあった。自分をすっきりさせるために必要な手段だったのであろう。テーマもわからないし、話があちこちに飛んで、何が言いたかったのかまったくわからなかった。
 
社会人になって、ブログは事実だけを書く場所になった。どこかに行ったこと、本を読んだこと、誰かの話を聞いたこと。最後に締めるのは、「とても勉強になりました」である。本当に勉強になっていたのかはわからない。そう言うことで自分の糧となっていることを認めたかったのだと思う。メモ代わりでもあったので記されている事実を復習して、改めて勉強することはできた。しかし、あいにく勉強することは一度もなかった。
 
2017年からは、はてなブログからWordpressに移行した。この頃、ようやく「誰かに役立つ記事を書く」という意識が芽生え始めた。自分のためだけに書いてきた文章から、読者を意識したものへと変わっていった。
 
しかし、いざ意識して書いてみても反応は薄かった。ある友人のアドバイスでは「意味がわかりづらいし、難しい言葉が多いから途中でやめてしまう」ということだった。確かに、誰かに読んでほしいという思いは強かったものの、読者が読みやすいものを書いていたかというと、決してそうではなかった。それにも関わらず、私は「なんでこの程度のことが読解できないんだ! 本を読め!」と逆ギレをしていたほどである。絶対に役立つはずなのに、理解しようと努めないから人生が変わらないのだと、心の底から思っていた。
 
その後も、ネタはたくさんあり書きたいことは溢れた。しかし文章は低迷した。どのように表現すればいいのかわからなくなっていた。難しいことを簡単に感じてもらうために、キャラクターを用意して会話形式にしてみるなど工夫をした。ポイントに枠を使ってみたり、箇条書きにしてまとめてみたり、少しでも理解が進むようにデザインを整えた。
 
しかし、私には違和感があった。どれだけブログのデザインを装飾しても、視覚的に読みやすくなっただけで、結局は伝えたいことが伝わっていないのではないか、と。そのことを完膚なきまでに確信させたのは、著者であり編集もされている、ある人の言葉だった。
 
「書き続けられるのは本当にすごいと思うし、見やすく工夫されたブログだ。でもあなたの文章で心は動かない。そこには感動がなく、ただ文章を量産しているだけだからだ」
 
ショックだったけれど、自分で感じていたことを改めて突きつけられただけであることはわかっていた。私は自分の文章が読まれないことを認めたくなかったのだ。以前、友人に「わかりづらい」と言われた時点で、胸の奥でざわついている自分に耳を傾け、行動に移すべきだったと思う。
 
「このままではいけない」
 
 
固執していたこだわりが崩れ、すべてを受け入れる体制ができていった。そして、2018年からは言葉にとても気を使うようになった。日々、手帳に自分がやったこと、感じたことを書き続けた。背伸びしたかっこいいことを書こうとする自分には喝をいれ、純粋な自分の言葉を残した。ブログに記すことは、誰に向けてどうなってほしいかを意識した。読んでほしい人の層を考え平仮名の比率を多くすると、閲覧数は少しずつ伸びていった。
 
読まれないことを読者のせいにしていた最低な自分から一転し、「この表現で果たして伝わるだろうか」と、一文への読者目線を自然に考えられるようになっていた。友人からのコメントも増え、書くことがどんどん楽しくなった。
 
そして2018年末、いよいよ天狼院のライティング・ゼミに通うこととなった。本を読んでいるだけではたどり着けなかった目から鱗の情報で溢れていた。習ったことを取り入れながら文章を書くことで、まだまだ改善できることがあるとはいえ、自分が伝えたいことを伝わるように書けるようになっていることに気づいた。
 
想いを読者に届けるために、そして読者にとってメリットのある文章にするために、これからもたくさんの葛藤を抱えながら書き続けたい。美しい桜吹雪と新しい時代の訪れと共に、私もこれまでとちがう新しい自分と向き合い、読者の背中を押せるような文章を届けられるようになりたい。
 
 
そんな書き手になることが、文章に力を与えてもらった私のせめてもの恩返しなのである。
 
 
 
 
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2019-04-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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