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メディアグランプリ

どんな形でもいいから想いを届けたい


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:唐土大毅(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「しばらくはこのお店を担当して、仕事を覚えてもらう」
 
2018年6月1日、入社して二か月、初めての担当店を持った。1個上の先輩も2個上の先輩も入社してから部署変更などなく過ごしていた。だから僕も少なくとも3年は、部署変更はないだろう。
 
そう思っていた。それが3月の頭、1年も経たず突然の部署変更。担当店から上司へ苦情がとんでいる様子はない。なにかを派手にしくじったこともない。中には
 
「担当が唐土さんになってよかったです、ここ数年で一番真剣に向き合ってくれるので」
 
と言ってくれている人もいた。
 
直接上司から説明を受けたときも
「何かダメな点があって部署変更になったわけではない」
と言われる。ただ今回の異動はステップアップというわけでもない。ますます謎が深まり不満がたまる。
 
僕がそのお店を担当してからは仕事を教わってばかりだった。8,9か月経って、だんだんとお店の力になれていると実感していたのに。これからは今まで仕事を教えてもらった以上に恩返ししようと思っていたのに。たいして力になれず、自分が情けない。心に霧がかかった感じがする。
 
そんな気持ちをずっとひきずっていた。
 
 
そんな迎えた2019年3月30日、僕の23歳の誕生日。土曜日の誕生日は久しぶりだ。けれども休日出勤。
 
北海道で迎えた初めての誕生日。会社に出勤してきた。異動先の部署は3月の休日出勤が当たり前。ひと月の休みは4日しかない。肉体的にも精神的にも疲れていた。
 
なんで誕生日にまで休日出勤しなければいけないんだ。
 
愚痴がたまっていく。
平日なら仕事でも何も思わなかったのだろう。今ではバースデー休暇制度を実施している会社だってあるのに。せっかく誕生日と休日が重なったのだから休ませてほしい。
 
仕事を終え疲れ果てた僕はまっすぐ家に帰った。
何もする気力がない。夜ご飯もコンビニ弁当で済ます。なんて味気ない誕生日なのだろう。
 
弁当を食べ終わりビニール袋に閉じようとしていたその時、インターホンがなった。ヤマト運輸だった。差出人は東京にいる大学時代に出会った一番仲の良い親友だ。
 
家に届いたのは、ひと箱の段ボール。開けると中にはプレゼントが。こだわりの革製品で人気を博している「kissora」の定期入れ、全国の希少な日本茶を取り扱っている「煎茶堂東京」のお茶の葉と茶菓子、言わずと知れた和菓子の名店「とらや」の羊かん。これだけで十分嬉しい。本当に祝っている、という想いが伝わってくる。けれどこれだけではなかった。すべてのプレゼントを取り出したその下に、どんなプレゼントもかすんでしまうようなものがあった。
 
お手紙だ。
 
こう綴られていた。
 
「kissoraは一家全員が気に入っている革製品のお店だからあげたくて。それと最近忙しそうだから息抜きしてほしくて日本茶とお菓子も入れました。次会う日が楽しみです」
 
はたから見たら紙切れ1枚。
 
でもその1枚は世界でここにしかない。その人が自分のために書いた手紙は、2つとしてない。
僕の胸に強く響いた。疲れなんて一気に吹き飛び、心にかかっていた霧が一気に晴れた。
 
人が持っている想いって、単純にすごい。誰かを幸せにできる。でも想いは伝えようとしなければ伝わらない。
 
 
今はどんなに離れていても、電話がある。どこでもドアはないけれど、言葉のどこでもドアがある。伝えたいことはすぐに伝えられる。
 
電話以外にも想いを伝える方法はいくらでもある。
 
文章で伝える。
音楽で伝える。
絵で伝える。
 
これ以外にももっともっとあるはずだ。人の数だけ表現の仕方はあるし、想いはある。
 
もちろん勉強や運動に向き不向きがあるように、伝える方法にも向き不向きはある。
 
だけど大事なのは想いを伝えることだと、親友から届いたお手紙から教わった。
 
もしかしたら想いを伝えないまま、ふとした瞬間に別れが来るかもしれない。
急性心筋梗塞で倒れるサッカー選手、病気で容態が急変した亡くなる俳優、通り魔事件で殺害される女子高生。人はいつ死ぬかわからない。
 
突然訪れた永遠の別れに、その人への想いを伝えられなかった人たちは後悔するだろう。
 
僕にも軽井沢スキーバス事故で亡くなった幼馴染がいた。年は二つ上。同じマンションに住んでいて小さい頃よく一緒にサッカーをした。お互い大学生くらいになってからマンションでしか会わなかったが、すれ違ったときは必ず話しかけてくれたし面倒見のいいお兄ちゃん的存在だった。お酒を飲みに行けるようになってからは、一緒に飲みに行こうと誘うタイミングをうかがっていた。でも言えないままもう二度と会えなくなってしまった。
 
面倒見てくれたお礼を言えなかった。とても後悔した。後悔していたはずなのに。親友からのお手紙が届くまで、想いを伝えることが大事だってことを忘れていた。
 
僕は恥ずかしがり屋だ。だから直接相手を目の前にしたら、上手く想いを伝えることはできない。ただ、自分ができる最大限の表現方法でいい。目の前にして想いを伝えようとすると緊張して、どうしてもうまく伝わらない。だから僕もお手紙を書こう。じっくり相手のことを考えて、自分の想いに向き合って。これなら伝えられる。
 
プレゼントを送ってくれた親友に“ありがとう”のお手紙を書こう。勇気が出たら、“ありがとう”と電話で伝えよう。伝えたいことが何かひとつでもあるなら、それは伝えたい。もう二度と後悔したくない。
 
 
 
 
*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

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2019-04-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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