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メディアグランプリ

クレーム対応で心が折れないたった一つのコツ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:山谷里緒(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
毎年4月は、勤めている会社の大きな組織異動がある。前年と同じ仕事を続ける人もいれば、まったく異なる職種に異動となる人もいる。当然お断りはできない。それは会社員のさだめである。
 
「え……。CSに異動ですか?」
CSとは「カスタマーサービス」つまり、お客様相談室のような部署である。
DVDやCDのレンタル・本屋を展開する会社に勤めて8年目。店舗は全国にチェーン展開している。入社後は店舗に向けて新サービスの企画や、新業態の店舗の立ち上げをしてきた。新しいサービスを企画して形にし、世に放つ。お客様に楽しんでもらいたい。きっと喜んでくれているはず。
これは私が関わったお店だぞ! なんて鼻が高い気持ちで仕事をしてきた。そんな達成感こそが仕事の醍醐味であると信じていた。
 
まさか私が、CS。正直この異動宣告には、テンションが一気にダダ下がった。
なんでまた、クレーム対応の処理ばっかりやるような部署に異動なわけ? こんな日の当たらない部署には行きたくない。好きな映画や音楽の情報をもっと発信したい。新しい企画でお客様に喜んでもらいたい! それをやれる力が私にはあるのに……。悔しい思いでいっぱいになった。簡単にいえば左遷されたような気持ち。完全に折れた心で異動した。
 
お客様の声は、コールセンターや、ホームページの書き込み欄に日々寄せられる。大半はサービスに対する質問か、クレームが多い。だいたい月に2万件ほど。
それらに目を通す毎日が始まった。来る日も来る日も、「こんな会社つぶれてしまえ!」とか、「もう二度とお店は利用しません。接客が最低でした!」とか「無料と言って申し込ませておいて勝手に有料になってるけど。詐欺じゃねぇか、訴えるぞ!」
そんな声を集めて担当の部署にフィードバックする。今月もこんなに苦情が来ましたよ、と。直接電話を受けるのは外部に委託しているコールセンターなので、私が直接電話を取ることはなかったが、それですら気が滅入る毎日だった。
 
当然クレームがあったサービスを担当する部署においても、ネガティブな意見に対して前向きに改善しましょう! なんて取り組む部署は少ない。そんな意見聞かされても責められたような気持ちになるし、誰だって自分たちが自信を持って送り出したサービスに文句を言われたくないものだ。
 
配属当初ですら低かった私のテンションは、半年でもう息絶え絶えとなった。
「なんでこんな仕事しているのだろう。新しい企画を立てるような部署に戻りたいな。もう疲れた……。全然楽しくないし、仕事やめようかな」
惰性でお金の為だけに働き、やりがいとか達成感という感情は一切生まれなくなっていた。
 
そんな日々が続いていた頃。休日にボーっとしながらなんとなくテレビを見ていた時、ある番組に目がとまった。
それは一般人の持っている「お宝」にプロが値段をつけていく番組だった。
家に眠っていたただの茶碗に50万円の値段がついて歓喜している人や、またある人は、著名な画家が描いた絵だと信じて鑑定を依頼していたが、結果2,000円の価値しかつかずガックリとうなだれていた。
数ある持ち込まれたものの中から、鑑定のプロはシビアに値段をつけ価値をつけていく。単純だけどそれが楽しくて、気づくとその番組を最後まで観ていた。どんな値段つけられた人もなんだか嬉しそうに笑っていたのが印象的であった。価値を与える側も、与えられる側も目がキラキラしていた。
 
ふと。そうか、私はクレーム対応のプロになればいいんだ! なんとなく目の前がパッと開けた感覚になった。お客様は電話代をかけて、またはホームページに書き込む手間をかけて、わざわざサービスの至らないところや、店舗で感じた不快だったことを教えてくれている。それを単に「また苦情だよ。クレーム対応なんてメンドクサイ。心折れるわ」と受け止めるから疲弊していたのだ。
お金や手間暇をかけてまで伝えてくれたそのクレームは「宝」だと思ってみると、今まで気づかなかったことがたくさん見えてきた。
ある声は、キラリと光る新しい企画のアイデアの種であったり、またある声は、今あるサービスの改善点を鋭く指摘するものであったのだ。
私がするべき仕事は、そこに価値をつけて新しい企画を提案したり、サービスを改善していく、つまりCSのプロになることであると。
 
あのテンションがダダ下がった異動から3年が経ち今もCSの部署にいるのだが、以前とは仕事に対するスタンスが全く変わった。
クレームをネガティブにとらえ無視し続けると、せっかく電話代をかけて、もしくはホームページに書き込む手間をかけて意見を伝えてくれていた人たちは離れていく。どうせ言っても改善されないのだから、と。だから声に寄り添うことをまず心がける。不快な思いをさせた理由はなんだったのだろうか? 原因は何? それは我々が提供しているサービスを改善すれば解決できることなのではないか? と。
 
お客様の声は、宝の山である。数ある宝の中から「これは!」と思うものを見つけ出していくことに私はプロ意識を持つようになった。
またそんなスタンスは社内のサービス担当者にもその熱意が伝わり、改善のスピードもあがってきた。
 
もちろん、理不尽なことばかり言い続けてくるクレーマーもゼロじゃない。そこは「理不尽な言いがかり」なのか「宝」なのかの判別する目利きの能力は必要になるが、最初から全てをただのクレームとして斜に構えてしまうと、心が疲弊していくばかりで目利きとしても成長できなくなってしまう。
 
「好き」の反対は「嫌い」じゃなくて「無関心」だといわれている。
お客様に愛されるサービス、お店になるためには「無関心」だけは避けなければいけない。常にお客様の声に耳を傾け、宝を探し出すこの仕事。心が折れるどころか案外楽しいと知ったのである。自分の達成感だけが仕事の醍醐味と思っていた頃とは、少し違う視点で。
 
 
 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2019-05-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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