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渋谷で人気の路上占い師は、あなたの「60代の幼なじみ」になる


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:浜川友希(ライティング・ゼミGW特講)
 
 
夜6時頃の渋谷の文化村通り、三井住友銀行のシャッター前に彼は現れる。彼は鍋田さん、今年60歳になる。紺色のベレー帽に丸眼鏡をつけ、漫画家のような見た目だ。しかし彼は漫画家ではない。約25年間、路上の占い師として生計を立てている。
 
鍋田さんはホームページなどネット上でPRを行っていない。それでも彼のもとにはひっきりなしに多くの人が訪れる。
若い女性やカップル、若い男性をはじめ、時にはアパレル企業の社長や、同業者の占い師が「自分は占い師としてやっていけるか」と相談に来ることもあるという。
彼の占いはよく当たると評判だ。しかし「よく当たる」だけが彼の人気の秘密ではない。
 
当たる占いはこの世にいくらでもある。
占い師のもとへ行かなくても、自分ひとりで質の高い占いもできる。
手相占いなどであれば、本やネットの情報をもとに自分で調べるのも可能だ。
そのほかにも生年月日や氏名など数少ない情報だけで、性格診断や相性診断ができるサイトは数多くある。今やスマートフォンから無料で気軽に、当たる占いが楽しめるのだ。
 
当たる占いを受けたいなら、わざわざ人目にさらされる路上で占いを受けに来る必要はない。
ではなぜ人々は鍋田さんの占いを受けに足を運ぶのか。
それは鍋田さんが利用客にとって、「60代の幼なじみ」のような存在となるからだ。
 
人は占いを受けるとき、人に言えない悩みや本音をさらし、無防備な状態になる。
悩み相談があまり得意ではない人にとって、占い師とはいえ初見の相手に弱みを見せに行くのは抵抗があるだろう。
 
しかし鍋田さんの占いは、悩みを打ち明ける抵抗感が少ない。どんな時も自分の味方でいてくれる幼なじみのように感じるからだ。
 
鍋田さんの占いが幼なじみと話すように感じるのは、彼の占いに秘密がある。
利用客が余計なことは話さなくていいのだ。いや、正しくは話せないのかもしれない。
氏名と生年月日のたった2つの情報を伝えただけで、鍋田さんは勢いよく利用客の特徴を語りだす。
 
印象的な出来事がある。わたしが鍋田さんの占いを受けに行った時のことだ。
わたしの名前と生年月日を伝えると、利用客であるわたしの表情を伺うことなく、性格や特徴をどんどん話し出した。そして5分程度鍋田さんが一人で話し続けた後、わたしと恋人との関係について語りだした。
 
びっくりした。鍋田さんに恋人がいるなど、一言も伝えていない。
確かにかわいいキラキラ女子なら、恋人がいて当然かもしれない。でもわたしは違う。
高校時代、「わたしが中3の時に元カレがいた」という事実がクラスの女子全員を驚かせ、しばらく元カレの名前があだ名になった時期があった。
いまでも繁華街で声をかけてくるのはキャッチくらいで、ナンパされずに通り抜けできる。
 
わたしはモテないのだ。だから初見でわたしに恋人がいるなど判断できるはずもない。
わたしは鍋田さんのマシンガントークをどうにか遮り、なぜわかったのか尋ねた。
 
「え、名前見れば一発でわかったよ」
 
すごい。名前と生年月日だけで、初見ではわかりにくい事実まで見抜いてしまった。
他の利用客の占い結果までは分からないので、当たらない人もいるかもしれない。
ただ余計な質問は聞かれずとも、自分自身を知ってくれているのは居心地がいい。長年の幼なじみのような安心感があった。
 
利用客の特徴を話す中で、長所だけではなく欠点もでてくる。
ただ語り口調はやさしく、欠点や弱みを指摘されても素直に受け止めてしまう。
鍋田さんの得意分野は、不倫や離婚など人間関係がドロドロしているジャンルだ。
常識やモラルに反する相談がくることもあるだろう。そうした重い相談も日々受け入れているからこそ、話し方にあたたかみを感じるのかもしれない。
 
わたしは記事の取材がしたいと思い、鍋田さんのもとを訪ねた。軽く占いをしてもらい、占いがどんなものか分かればいいと思っていた。
ただ何も言わずとも自分を理解してくれている安心感と、やさしい口調から、ついつい話すつもりのなかった悩みまで打ち明けてしまった。
気付けば1時間半経過しており、後ろには20代くらいの若い男性が順番待ちをしていた。
 
占いは信じない人もいるだろう。信じるか信じないかは自分次第だ。
ただ殺伐とした社会の中で、幼なじみのように自分を受け止めて話を聞いてくれる存在がほしいとき、渋谷の路上へ行くことをおすすめする。
60代の幼なじみがあなたの話を待っているから。
 
 
 
 
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2019-05-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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