メディアグランプリ

天狼院書店に騙されるな。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【6月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:akko(ライティング・ゼミGW特講)
 
 
「ライティングが初めての人もいますよ」
「日頃、文章を書いてなくても大丈夫です」
「文章レベルは一切関係ないし、苦手だからこそ参加してみるといいですよ」
 
騙された……
 
天狼院書店のライティング・ゼミ。
何とかなると信じた私が単純だった。
 
天狼院書店。
それはマニアしか知らない書店。
変わった名前の書店だ。
店名にどんな由来があるのか聞いてみたい。
きっと変わった人が店長なのだろう。
 
世間は10連休だと言うのに、しかも18時という中途半端な時間に、
私は天狼書店に向かっている。
それも今日で3回目になる。
 
天狼院書店は池袋駅から徒歩10分ばかりのところにある。
駅からの道を辿ってみよう。
池袋駅東口には「ジュンク堂書店」という大きな本屋がある。
 
「本屋なら、ここで十分じゃない?」
 
なのに、わざわざそれを横目に小路を入って行く。
途中には「布袋尊」がある。七福神の神様の一人だが、いかにも幸せが訪れそうな可愛いお顔をしている。
その斜め向かいには「老眼めがね博物館」がある。
天狼院書店に負けず劣らずインパクトのある店名だ。
ゴチャゴチャしている外壁は、よく見ると眼鏡で出来ていた。
店先にも眼鏡がびっしり並んでいるが、老眼鏡とは程遠いカラフルさが違和感を醸し出していた。
 
さらに奥へ進むと店もまばらになり、薄暗くなっていく。
池袋なのにうら寂しい。
そんなところに天狼院書店はある。
インパクトのある店名を、控えめな看板に掲げていた。
 
店内に本があるのは本屋だから当然である。
コーヒーを飲みながら本が読めるスペースがあるのも、最近では珍しくない。
狭い店内に、やけに幅を利かせているものがあった。
こたつだ!
 
あの、こたつである。
やはり店長は変わっている。
書店にこたつ。
それがなければ、もっと本が置けるだろうに。
書店なのに本を売ることが目的とされてないようだ。
 
縁がない人は、この先もここを訪れることはないだろう。
それでいいと思う。
 
しかし、私は天狼院書店にいる。
私にとってこのGWは「苦手意識克服週間」だからだ。
令和になった今年、私は50歳を迎える。
新たなことにでも挑戦しないと日常に忙殺され、漫然と生きてしまいそうな焦りがあった。
だからこそ、避けて来たことに挑戦することで何かが変わるのではと目論んだ。
苦手なことと言って真っ先に浮かんだのが、「書くこと」だったのだ。
 
こうして私は天狼院書店へと迷い込んでしまった。
「ライティング・ゼミ」に参加するために。
おっと忘れてはいけない。
 
「人生を変える」
 
がついていた。
「人生を変えるライティング・ゼミ」である。
随分大きく打って出たものだ。
 
店内は受講生でひしめき合っていた。
シェアリングでは活発な意見交換が行われ、熱気に満ちていた。
書き方を教わるのは初めてだったので、講義の内容も面白かった。
読んでもらうことを意識する、という視点は目新しかった。
とは言え、私はブログやメルマガを書く予定もない。
誰かに向けて書く予定などないのだ。
 
その点を気付いていたら、申し込まなかったかもしれない。
もはや、あとの祭りだ。
 
このゼミには課題提出が課されていた。
書き方のコツは習った。
でも、いざ書こうとしてもネタがないのだ。
50年間、私は何をして生きて来たのだと呪いたくなった。
締め切り時間が刻々と迫り、恐怖との闘いだった。
1日目は課題を書き終えるのに3時間を要した。
いや、その後も3時間かかっていた。
 
「頑張って書き続けてください」
 
明るい口調で背中を押されている。
講師は20代と思われる可愛らしい先生だった。
この明るい笑顔の裏に潜む呪縛力があった。
布袋尊か? はたまた狼か?
やはり天狼院書店には狼がいるのだ。
 
何回提出しても、返って来るコメントは無情だった。
惨いのだ。
 
「リーダビリティが弱い」
「冗長」
「サービスのスタンスが弱い」
 
没コメントの嵐である。
 
「そもそも、私は誰かに読んでもらう予定ないし」
 
毒づきたくなった。
騙されるんじゃなかった……
 
脱落
 
頭に過ったが、なぜか今も脱落していない。
良い文章はHPに掲載してもらえるシステムになっていて、80名の受講者の投稿も見られる。
みんな、次々と掲載されていた。
ひとりだったら、脱落していただろう。
でも、他の人も頑張っていると思うと易々とは脱落できなくなる。
チームの良さであり、競争心の煽りでもあった。
これが密かに効いていた。
 
このことは、マラソンでも体験済みだ。
 
「もうすぐゴールだよ~」
 
苦しいときに声をかけて来る仲間がいる。
「ゆるゆる詐欺」と呼んでいる。
リタイアが過っても、もうすぐゴールだと騙され導かれるのだ。
 
「初心者でも大丈夫ですよ」
「みんなもやれているよ~」
「読ませていただきました。惜しかったですね」
「書き続ければ、いつか掲載されます!」
 
このゼミにも「ゆるゆる詐欺」が横行している。
私はこの手の詐欺には滅法弱い。
しかも、はじめは他者に読んでもらうことなんて念頭になかったのに、今では最後まで読んでもらえるかを気にしながら書くようになっているのだ!
 
書くことが苦手な私が、今日で7日目に突入した。
辛いと言いつつ、きっと明日も書いているだろう。
人生が変わり始めた。
 
天狼院書店は騙しのプロである。
 
 
 
 
***
 
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http://tenro-in.com/zemi/82065
 

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2019-05-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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