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メディアグランプリ

ぼくらの未来は古代ギリシア


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:北 堅太(ライティング・ゼミGW特講コース)
 
 
近い将来、AIが人間の仕事を奪うらしい。現在人間が担っている仕事の約半分がなくなる、なんていう研究もある。
 
最近流行りのAI。特に日本では、脅威として語られることが多い。仕事を「奪われる」という表現をよく見かけるように、AIが人間をおびやかすイメージが広がっている。また、AI反対とまではいかなくとも、AI時代を生き残れるよう、人びとを過剰にあおる表現も散見される。
 
なぜ、みんなそんなにAIがこわいのだろうか。嬉しいじゃない。面倒な仕事は機械がやってくれる。ありがたいじゃない。人間は働かずとも済む。けっこうなことだ。それとも、みんなやっぱり働きたいのだろうか。
 
べつにぼくも、労働の楽しさを否定する気はない。仕事が楽しいのは、いいことだ。どうせ働くなら、つまらないより楽しいに越したことはない。ただ、AIは、その「どうせ働くなら」の前提をぶっ壊しにきている。どうせ働く必要もないのである。労働は、すべてAIが代行する。なかば強制的に。なぜならAIの方が効率的だから。コストパフォーマンスの最大化を考えれば、人間よりAIに仕事させた方がいい。AIなら文句も言わずに24時間働いてくれる。常識的な経営者なら、AIを積極的に採用するはずだ。
 
ここまで言っても、納得いかない人は多いだろう。AIに可能なのは単純作業であって、新しいなにかを創造するクリエイティビティは人間にしかない。そんな主張もある。ぼくも全面的に同意。AIは過去のデータの集積を元に動く。真面目だ。過去にない斬新な発想、データとかそんなものを気にせず考えたアイデア。そういったものはAIには生まれない。
 
でも、それは人間も同じだ。人間だって過去にしがみついて生きている。働いている。一部の天才を除き、ほとんどの発想は過去の模倣と焼き直し。ビジネスの世界は特にそう。すきあらばエビデンスを問われる。「なんか俺はそう思ったんです」では誰もみとめてくれない。AIとは人工知能。つまり人間の知能を元にしている。人間の知能も、AIと同様、過去の集積からの判断をしているに過ぎない。だからべつに、人間が取り立ててAIよりクリエイティブなわけじゃない。
 
が、これは今現在の話。ぼくは、将来はそうではなくなると考えている。そう、AIが人間の労働を肩代わりすることによって、逆により人間がクリエイティブになる。新しい発想がポンポン生まれるようになる。そんなふうに考えている。
 
古代ギリシアを想像してほしい。古代ギリシアにおいて、哲学、数学、文学、音楽など、現代にまで通じる文化の素地ができあがった。ソクラテスやプラトン、アリストテレス、ピタゴラスなどの名前は聞いたことがあるだろう。特に哲学や数学などは、義務教育で習うレベルはほとんどあの時代に完成したといってもいい。めちゃくちゃクリエイティブな時代だったのだ。
 
それはなぜか。それは、古代ギリシア人がとてつもなく暇だったからである。暇で暇でしかたがないから、みんなで集まってワイワイ話したり、部屋でひとりでこもったりしながら、生活とは直結しないむずかしい哲学を考えていた。数学や文学、音楽も同様だ。生きるか死ぬかには直接関係はない。やらなくてもいい。でも暇だから、やった。そうしたら、発展した。
 
どうして暇かというと、実は古代ギリシアは奴隷制度を採用していた。民主制度が有名なのだけれど、それは一般市民だけでの話。ギリシアはたくさんの奴隷を抱えていた。生きるか死ぬか、食えるか食えないかにかかわる労働は、すべて奴隷が担当していた。だから市民は終日ずっと暇。その時間を使って、政治や哲学などが発達していった。
 
今の時代、もちろん奴隷は使えない。でもAIがある。AIが、生きていくのに必要な労働を肩代わりしてくれる。それで、人間は暇になる。暇になると考える時間が増える。直近の問題でないからおろそかにしていたことを、いくらでも考えていい。政治制度が改善されるかもしれない。思想や文学の世界で、大きな変革が起きるかもしれない。一部の天才にしかできなかった自由なアイデアを考える時間が、全員に与えられるのだ。
 
簡単にいえば、老若男女みんなが学生のように、サークル活動に本腰をいれることができるようになる。こんなハッピーなことはない。忙しくて忙しくて、好きなことができないなんてことはなくなる。むしろ暇で暇でしようがなくなる。だから自然と、新しく好きなことを探さないといけない。そしてその化学反応が、新たな発見や発明を生む。いやあ、ハッピーだね。
 
そんなふうに、ぼくは考えている。だからぼくは、もっともっと早く、AIに発展してもらいたい。近い将来なんて遅すぎる。早くぼくの仕事を奪ってくれ。そうしたら、毎日天狼院にも通えるかもなあ。

 
 
 
 
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2019-05-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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