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毒親に育てられた私が、親に内緒で半年間のワーホリを実現させた件


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ちなみ(ライティング・ゼミGW特講)
 
 
「本当に海外に行くなら、親子の縁を切る!」
そう言われたのは、3年前の大晦日のことだった。
 

もともと海外に興味のあった私は、いつか、旅行ではなくある程度長期間で海外に住んでみたいと思っていた。

 
いつか、いつか。

 
それがいつになるかはわからないが、死ぬまでに一度、海外で暮らしてみたい。
 
漠然とそう思ってはいたものの、ただぼんやりと思い描いているだけで、実際行動に移すところまではいかなかった。

 
きっかけは、友人との会話だった。
留学経験のある彼女は、次の転職について、海外で就職するか「ワーホリ」に行くかで悩んでいると言った。
それまで「ワーホリ」という単語を聞いたことはあったものの、実際のところそれが何なのかを知らなかった私は、家に帰って調べてみた。
「ワーホリ」とは、「ワーキングホリデー」の略で、言ってしまえばなんでもありのビザだ。通常海外への滞在は、観光、就学、就労など、それぞれ決まった目的でのみ許されており、例えば留学と同時に働くことはできないことが多い。しかし「ワーホリ」を利用すると、海外で語学の勉強をしながら働き、さらに旅行もできる、というスーパービザなのだ。

 
ただし、条件があった。
 
年齢制限だ。
30歳までの限定ビザだった。正確にいうと、31歳の誕生日を迎えるまでにビザを申請し、許可が降りなければならない。(※国によって条件の違いがある)

 
当時の私は29歳。ギリギリだ。
 
しかし、その年齢制限のおかげで、火がついた。
将来、結婚も出産もしたい。でも結婚して家庭を持ったら、海外に長期で行けるのっていつだろう? ……老後?

 
そこでハッとした。
今、行かなければ。
これを逃したら、私はこの夢を叶えることはできないかもしれない。

 

そう決意してからの行動は早かった。
まずワーホリについて調べ、無料エージェントに登録した。説明会に参加し情報収集しつつ、会社へ辞職を申し出た。英語でのビザ申請も全て一人で行った。
 
当初、家族には内緒で行くつもりだった。
父、母、兄との4人家族だが、母がいわゆる毒親だった。上京し実家を離れてからもその影響は変わらず、過干渉で娘の私を思い通りにしようとする圧力は大きかった。悩んだ末、家族全員に内緒で行くことにした。

 
しかし、職場の上司から「悪いことは言わないから、親にはきちんと話しなさい」と説得され、年末年始の帰省のときに伝えたのである。

 
反対されることは覚悟の上だったが、「縁を切る」までは想像していなかった。「ああ、やっぱりか」と思うと同時に「さすが、考えることが違うな」と思った記憶がある。

 
やはり、無理か。

 
母なら本当に縁を切りかねない。それどころか、実家にある私の部屋ごと火をつけて燃やすくらいのことはしそうだ。
一旦は諦めようかと考えた。

 
しかし。
 
ここで諦めたら、私は一生、母を恨むことになる。
 
今まで散々、母のせいにしてきた。
母の育て方が悪いからとか、あのとき母にこんなことを言われたからとか、私はうまくいっていない自分の全てを母のせいにしていた。
でも、そんな自分に嫌気が差していたのも事実だ。

 
そろそろ、終わりにしよう。

 
本当は、母のことを恨みたくない。
どんな母であれ、私にとってたった一人の母親だもの。

 
だから私は、やらない理由を母のせいにするのをやめた。
 
意地でも実現させよう、と決めた。

 
だから、内緒にして行くことにした。

 
幸い、父と兄は理解してくれ、母に内緒で行くことに賛成し協力してくれた。

 
反対する人もたくさんいた。「説得しなよ」という人もいた。
しかし、説得する時間とリスクを考えて母には内緒で行くことにした。
強行突破だ。

 
それからは、内緒で行くための方法をひたすら考えた。
それまで母との連絡手段であった電話とメールを、「無料だから」と全てLINEに切り替えさせ、海外に行ってからの時差を考慮し、私からの返信は時間を置く癖をつけた。
家を引き払い、家具はトランクルームに預けた。住民票を抜くと万が一母が戸籍謄本を取り寄せたときにバレるため、そのままにした。代わりに海外転出だと免除される年金や住民税の支払いを続けなければならず、どうしたらよいか聞くために市役所に足を運びまくった。

 
本来なら、他に使うべき労力を、全て内緒で行くための方法に費やした。
もちろん、大変だった。
海外に行ってからも大変だった。
うまくいかないことの方が多かった。

 
それでも、行ってよかった、と心から思う。

 
行かないことで母を恨んだかもしれない時間。
強行突破で突き通すための苦労と学びの時間。
どちらも苦しいものには変わりないが、「やる」と決めて実現させた私が得たものは計り知れない。

 
私は今でも、母に対して思うことはたくさんある。
しかしこの「内緒でやりたいことを実現した」という事実は、少しだけ私を大きくさせ、今までは心を突き刺す矢のようだった母の小言を、足の小指によじ登ってくるアリくらいの感覚にする。

 
母は今でも、私が海外で過ごした半年間を知らない。
ほんの少しの背徳感と、優越感。
きっとこれは、今後も母と私をつなぐ架け橋となるのだろう。

 
でも、と私は考える。

 
いつか話せる日が来るだろうか。
「私、たった一人で海外に行ったんだよ」
「半年間住んだんだよ」
「海外でこんなことがあったんだよ」
もしかしたら、その日が本当の意味でこの旅の終着点なのかもしれない。

 
 
 
 
***
 
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2019-05-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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