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メディアグランプリ

プロ意識~ダンスイベントでの発見~


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【6月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:タンツ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「キゾンバフェスティバル? 何それ?」
週末に話題のホテルでお茶をしようと誘ってくれた友人に、私が行けない理由を話すと、彼女は怪訝そうな顔をした。
「1年に1回しかない、キゾンバってダンスのイベント! 春は過ごしやすいシーズンだから、国内外からたくさんのプロダンサーがこのフェスティバルに集結するんだって」
「それ、参加して何するの?」
「世界的に有名な先生からレッスンを受けて、デモストレーションっていう、先生たちのショーも見れるんだよ。すごくない?」
「そっか。でも、プロのためのイベントなんじゃない? 趣味レベルで参加して、何かメリットあるの?」
「うーん、とにかく楽しいよって誘われて! 3日間あるし一緒に参加する?」
「踊ったり出来ないし、いいや。そもそも、いくらかかるの?」
「今から申し込んだら、3日間で2万5千円くらい? お得だよ」
「高っ! 2万あれば、春服でも買うわ~!」
 
ダンス関係の友人以外は、初心者が何でまた、その様な大それたイベントに参加するのか理解できないようだったが、思い立ったらノリで動いてしまうのが、私の癖だ。4月はダンスのイベントが毎週の様に開催され、有難い出資もあり、3週間続けて毎週末参加できた。
 
まずは、アフリカのアンゴラが発祥地であるペアダンス、「キゾンバ」のフェスティバル。
「キゾンバ」は、曲がヒップホップベースのものもあるからか、先生の雰囲気もどこか、ポップシンガーやラッパーの様な風貌だったりする。
性格も、真面目一辺倒なタイプではなく、極めてフランクな感じの人が多い。
 
たまたま道で出くわすと、
「ヘ~イ! 今からレッスン? 昨夜踊り明かしたから眠いね~」
と、至ってフレンドリーでオープンな彼ら。
自分が教えるレッスン以外では、今時の若者らしい格好で、待合室で楽しそうに歓談していたりする。
少し奇抜な服を着ているけれども感じのいい、やんちゃな兄ちゃん姉ちゃん達、といった所か。
 
しかし、いざレッスン、そしてデモストレーションとなると、彼らの目の色は変わる。
表情がサッと引き締まり、顔が一気にプロの顔へと風変わりする。
これが、「プロ意識」というものなのだろうか!
 
それは、夜を明かしてしまうだけの勢いがあって、実際に彼らは全員、夜の5時まで踊り明かすのだ!
ただ、クラブで自分がハイな状態の時だけ楽しく踊り明かしているのとは、訳が違う。誰と踊る時でも、彼らは踊り始めたら音楽や相手と一体になろうと努め、集中しきっている。これもきっとプロ意識が、そうさせているんだろう。でも、彼らのプロ意識って実際、どこから来ているんだろう?
私は3日間、彼らを観察した。
 
そんな彼らは踊る時だけでなく、踊りを語る時の表情もまた、特別なものがある。
何気ない事を話している時とキゾンバの事を語っている時では、目の色や表情が明らかに違う。
「キゾンバは、ただステップを踏めばいいってもんじゃない。音楽を聞いて、パートナーを感じて踊ってこそ、このダンスは楽しめるんだ」
彼らのレッスン時の目の輝きと、熱心なメッセージに引き寄せられる、参加者。
軽い気持ちで参加した私ですら引き寄せるパワーが、彼らにはあるのだ。
 
ステップや技術的な事はそれぞれのダンサーによって特徴が出るが、どのダンサーも参加者に呼びかける事は共通している。
「今かかっている曲を聞いて、今目の前にいる相手を感じよう」
ということ。
それは、普段パソコンと格闘したり、老後の経済を充実させるために、無になって働くばかりになっている私達にとって、意外と難しい事だった。今を感じ切れていない自分に、気づかされた。
「もっと、踊りを楽しんで。ダンスは運動じゃなくて、踊りなんだ」
彼らから見ると、技術が優れている参加者ですら、踊りとしては未完成なようだ。
 
そういう彼らのダンスは、では一体どこまで「踊り」になっているのか。
レッスンの最後に行われる、彼らのデモストレーションは、参加者が注目し、楽しみにしている事の1つでもある。
まずは音楽なしで、彼らは1つ1つの細かい動きを丁寧に説明した後、
「それじゃあ、音楽付きで見せるね」
と、自分達のデモストレーションで使う音楽の準備をする。
私達参加者は、急ぎ彼らの動画を撮る準備をして、ドキドキしながら彼らの踊り、つまりデモストレーションを待つ。
 
愉快かつ熱心にレッスンをしてくれていた彼らは、レッスンでの「先生」の顔から、「プロダンサー」の顔へと変わる。
この表情の変化や身体の動きを見るのが、私は好きだ。レッスンと時以上に、彼らのプロ意識は高まり、表情はますます真剣で崇高なものへと引き締まっていく。
 
音楽が鳴り出す。その緊迫された空気の中では、音楽もますます貴重なものと思われる。ただ、リズムに合わせて身体を揺らしたり、動かすだけではない。稲妻の様な効果音一つとして、彼らは聞き逃さない。
ベース、効果音、その一つ一つを集中して聞き取り、それを身体で見事に表現する彼らを見る時間。
短い曲で2分位、長い曲だと4分位だろうか。会場のエネルギーは、全てダンサー2人へと注がれる。世界各国から集まって来た、ダンスを愛する人々が熱い視線で彼らに注目するから、2人のダンサーのプロ意識はますます高まって行く。会場にいる者が見事一体となる、その時間。その時は将来の事や、今の現状や全てのことが吹っ飛んでしまい、もうその空間と彼ら以外は、何もない。
 
彼らが会場と一体化している事が、ビックリするほど伝わって来る。
「ああ、彼らはこのダンスが、心から好きなんだなあ」
それが表情や身体の動きから、痛いほどに伝わって来る。
プロ意識って、何なのだろう?
その答えが、私は分かった気がした。
それは、どれだけ自分が打ち込んでいるものを好きになれているか、つまり愛せているかで、そのプロ意識はますます膨らむのだと。
プライドとは違う「愛」を、そこからは感じ取れた。
 
デモストレーションが終わった後、その会場がなんともいえない熱気で包まれているのを、初心者の私でも全身で感じる事が出来た。
その一週間後、今度はタンゴでプロのショーを見る機会に恵まれたが、その時も同じ種の熱気が空間に漂ったのを、五感で覚えている。
 
私達は日々の仕事を、一応「その職種のプロ」という意識でやっている。誰だって社会人になった以上、同じだと思う。私もこれまで色んな職種のプロと関わって来たが、今回ほどプロである事が素晴らしい事だと感動したのは、社会人6年目にして初めてだ。
 
「プロも目指してないのに、なんでそんな大それたイベントにお金を出して参加するの?なんか、意味ある? そのお金、貯蓄に回した方が良くない?」
周りの友人や知人は、そう言って首を傾げる人もいた。
 
確かに私は、ダンスを極めようとも思わないし、極めるには今更遅いのも分かっている。でも、プロ意識を持って仕事をする事、「今」をもっと感じて仕事をする事、何より、今自分が取り組んでいる事をもっと真剣に愛する事を、彼らは踊りを通じて私に教えてくれた。年度始まりである4月、あえて趣味のダンスで世界の頂点を極めているダンサーと触れ合え、彼らの踊りを見れた事は、決して無駄使いでなかったと確信している。
 
この感動と発見を、これから夢や仕事にもっと生かして行きたいと思う。
 
 
 
 
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2019-05-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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