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ウクレレを習えば、あなたも私もゆるキャラになれる


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:臼井裕之(ライティング・ゼミ土曜コース)
 
 
「ウクレレって簡単ですか」
「簡単だよ、ギターをやろうとして挫折した人でも大丈夫」
ウクレレを習いだして3年余り、この私が何やら偉そうにこう答えるようになった。
 
私は5歳の頃に母親に無理やりピアノをやらされたことがあった。とても嫌ですぐやめてしまった。それ以降は、学校の音楽の授業以外で楽器を習ったことはない。だからギターなんて今に至るまで触ったこともないくらい。
 
それなのに「ギターより簡単」なんて言っていいのか。いいのである。ウクレレはゆるキャラ系の楽器だから。
 
海外で生活していると、日本ではしようとも思わなかったことをすることがある。私も北京に住んでいなければ、ウクレレを始めることはなかったはずだ。
 
日本にいる間は大学の校友会なんて興味もなかった。しかし北京で発行されている日本語のフリーペーパーには、校友会やら県人会やらのお知らせがあふれている。それでほんの出来心で、校友会なるものに出かけてみた。
 
行ってみたら、私の対面にウクレレ講師を名乗る女性が座っていた。
「ウクレレって簡単ですか」
開口一番、私もこう訊ねたことは覚えている。師匠の答えは忘れてしまった。しかし十中八九、肯定的な答えだったはずだ。だから次の週には、体験レッスンに出たのである。
 
こうして週1回、土曜の午後にウクレレを習いに行く生活が始まった。
 
11月に始めたばかりなのに、1か月後にはホテルのバーを会場にした発表会に参加した。いや、師匠に参加させられた。数十名の人が集まって、会場は満員御礼。私も演奏したが、ただ無我夢中だった。
 
こういう習い事はプロを目指すわけではないので、余禄がないと続かない。いつの間にかクラスが終わると、みんなで夕飯を食べに行くのが習慣になった。クラスメートには私を含めて単身赴任している男性が3人いたから、この面々は寂しかったのである。最初の頃、我々に付き合ってくれるのは女性2人、つまり師匠と日本人の留学生だった。
 
まもなくこの食事会に師匠の旦那さんも加わるようになった。旦那さんはかつてセミプロのバンドでギターを弾いたそうで、ビデオを見せてもらったことがある。カッコいい! でも彼もそのうち、発表会で一緒にウクレレを弾くようになった。
 
みんなで一緒に何回か中国国内を旅行した。日本の正月の時期、みんな日本に帰らず北京にいたので、一緒に年越ししたこともある。師匠は笑いながらこう言った。
「土曜クラスって、なんか大学のサークルみたいね」
さすがゆるキャラ系の楽器、ギターではこうはいくまい。ギターだと誰が一番上手いかで競い合って、人間関係がギスギスして……。もっともこれは、ギターに触ったことのない私の偏見に基づく妄想である。
 
せっせとみんなで食事には行ったが、家で一人の時にはあまり練習しなかった。これでは上達しない。レッスンについていけないこともよくあった。そういう時はずいぶん焦ったが、ある時、不思議なことに気がついた。
 
焦っているのに、ストレスを感じない。レッスンが終わっても、疲れたという感覚が残らない。楽器を演奏したりすると、人は普段あまり使わない右脳を使うと聞いたことがある。多分そのおかげで、仕事をしているときのようなストレスや疲れはないのかもしれない。
 
ゆるキャラを眺めて、なごむのと似ている。やっぱりウクレレはゆるキャラ系だ。
 
ここまでいいことばかり書いてきたが、実は一回本当に冷汗をかいたことがある。日本に一時帰国して、妻にウクレレを弾いて聴かせたときのこと。聴き終わった妻はこう言い放った。
 
「あなた、いい声しているし歌はうまいけど、ウクレレは下手ね」
何だとこの野郎、と怒りがこみ上げてきたが、次には嫌な冷汗が体から噴き出してきた。図星だと思ったからである。
 
過去のいろいろな些細なことがフラッシュバックしてくる。そういえば、師匠は私の歌ばかり褒めていた。別なときには、クラスメートとは違う簡単な奏法を私にだけやらせた。自分だけ気づいていなかったが、私は単にクラスの落ちこぼれだったんじゃないか。知らぬが仏とはこのことである。
 
しかししばらく考えてみると、そういう見方はウクレレらしくないと思った。上手い下手で競い合うようでは、ギターみたいである(何かと目の敵にして、ギターさん、ごめんなさい)。
 
もちろんウクレレだって惚れ惚れするような、上手な弾き手はいる。そういう人の演奏は素晴らしくて、私にはとても及ばない。しかし上手い人は上手く、下手な人はそれなりに、これこそがウクレレの精神ではないか。
 
そもそもウクレレが上手い有名人に高木ブーとか牧伸二とか一見、ゆるキャラ系に見える人が多いのも偶然ではないはずだ。
 
実はウクレレ自体がゆるキャラ系の楽器ではない。弾き手を(たとえ私のように下手でも!)ゆるキャラに変身させてくれる魔法の楽器が、ウクレレなのである。だからこそ下手な演奏でも場がなごむ。ギターではこうは行くまい。石を投げられるかもしれない。
 
だからあなたもウクレレを始めてみませんか。華麗なゆるキャラに変身できますよ。
 
 
 
 
***
 
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2019-05-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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