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メディアグランプリ

誠に勝手で個人的な美術館の楽しみ方


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:山谷里緒(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
私は美術館や博物館に行くのが好きだ。
一人の時間が出来ると、ふらっと足が向く。見たい企画展示がある時はもちろんだが、常設展もあるのでいつ行っても楽しい。
会社に向かう電車の中で急に思い立ち、踵を返して(サボって)上野まで行き、フラフラと美術館をも何館も回ったこともある。
 
絵が好きな母の影響で、小さいころから美術館には行く機会が多かったように思う。また中学生以降は父の影響で、お寺巡りに付き合わされるうちに、不思議と仏像を見ると心が落ち着くようになった。
そんな環境で育ったためか、大学では東洋美術を専攻した。日々触れ合う仏教美術や哲学思想に心躍った。完全に趣味だけで勉強なんてものはほとんどしなかったけれど。
 
大学に入って時間ができると、しょっちゅう美術館や博物館に足を運ぶようになった。
仏像や曼荼羅、密教美術なんかの展示がある時はどんなに混んでいても何時間待っても並んで観に行くが、普段は平日にフラフラと目当てなく回る。雨なんかだとより空いているので最高である。
ほとんど人のいない、静かで適温の空間の中でポツンとするのがいい。自分の足音がこつこつと鈍く響く音が聞こえるくらいの感じがいい。
 
ここでのポイントは、「一人で行くこと」である。
家族であろうが、どんなに仲の良い友人だろうが、恋人だろうが、他人と一緒ではその醍醐味は味わえないと思っている。
 
なぜなら。
 
美術館や博物館に何を観に行くか。「作品と自分を観に行く」からだ。
何言ってんだ? と思うかもしれない。
もちろん、何年振りかに来日した有名な絵画や、ほとんど住んでいる地域ではお目にかかれない仏像が企画で東京に来るなんてことがあったら、目的はそれを観にいく事なのは間違いない。
 
ただ、展示されている作品は同じでも、観に行くたびに感じ方が異なるのだ。
その日の自分の気分や、目的の作品のお目当て度に合わせて回るペースは変わる。
晴れの日はどことなく軽やかになるし、雨の日や湿度が高い日は足取りもゆっくりになる。
仏像や彫刻なんかは特に、後ろからとか、横から観るとなお楽しい。
どの位置から見ても美しく、ひとつも手を抜かず細部まで細かく彫ってあるのを見ると、作者の情熱というか、執念まで感じる。美しいものはどの角度でも美しい。
 
これを他人と回ると、なかなか気を遣ってしまう。
簡単に言うと、「乱される」。
 
家族:「いつまで後ろからじろじろ観てるの、早くして!」
私:「だって後ろからなんて実際に美術館に来てみないと観られないじゃん!」
人の見方にイチャモンつけてくる家族にイライラしてしまう。
 
友人1:「早くメインの絵を観たいのに、なんでこんなところでジッとして動かないの?」
私:「メインに至るまでの作者の過程に興味ないの?」
価値観の違いと、回るペースに違いが出てしまう。
 
友人2:「足疲れたから、座ってていい?」
私:「休憩スペースに居座られてもなぁ。そりゃヒール履いてりゃ疲れるよね」
回るペースの違いもでてくる上に、相手の体調や疲労度も配慮しないといけない。
 
彼氏:「ねぇ、そろそろここ出て2人でゆっくりしない?」
私:「……。は?」
そもそも美術館デートはおすすめしない。あわよくばイチャコラしてくるような人だと最悪である。全く集中できない。普段たとえラブラブであっても、急に鬱陶しくなってしまう。
 
絵画や仏像を観る時は、一人がいい。
細部の色彩の違いを楽しむようにじーっと見たり、またある時は360度ぐるっと回って後姿もチェックする。ある時は全体を俯瞰して眺めてみたり、またある時は細かい描写や彫りの精密さを確認したり。
まるで姿見に映った自分を観察するようだと思う。
今日は顔色悪いな、浮腫んでいるな。ちょっと飲みすぎたかしら。少し太ったかな? やばい、なんか姿勢も悪いぞ? 疲れているのかな、今日は早く寝よう。
 
鏡に映る自分は、思い描いている自分の形といつも少し違う。
だからゆっくり観察したいのだ、自分を。他人と一緒に鏡に映ってみたところで、比較対象にはなれど、乱されてしまい自分の些細な変化を見つけることは難しい。
そして自分を観察すると、求めているものが見えてくる。
ダイエットなのか、疲労回復なのか、アンチエイジングなのか。こうありたい、と自分で目標を立てることができる。
 
美術館にふらっと一人で出かけると、今自分の心は何を求めているのかを確認できるのだ。
心が疲れている時は、美しい絵画や仏像を観て癒される。
現実逃避したい時は、描かれた時代や作者の心に寄り添い、世界観に飛び込む。
悩み事で頭がこんがらがった時は、作品が並ぶ空間に溶け込み、無になる。何も考えない。
そうしていると、自分の心がどうありたいのかが見えてくる。
自分の内面を観察できる鏡のような存在。
 
敷居が高そう、とか身構えなく大丈夫。
別に絵画や彫刻に興味がなくても大丈夫。
その空間で自分が何を思うのか、感じるのかが大事なんだと思う。
本来の美術館の楽しみ方とはちょっと違うのかもしれないが、ぜひ、そんな楽しみ方もあると足を運んでみて欲しい。
きっと今の自分が、そしてなりたい自分が見えてくるはず。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2019-05-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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