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メディアグランプリ

仕事で大切なことは、中学校で教わった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:吉田 史香(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
社会人になって4年目となり、これまでの間で後輩ができたり転職までしたりして、なんだか自分も大人になったんだと、今さらしみじみ思う。
新社会人だった頃は4年目の先輩など大ベテランだと思っていたが、実際自分がなってみるとなかなか上手くいかないもので、未だにつまらない失敗をしたりしている。
 
何となく上手くいかなかいときや、なんでこんな簡単なミスを……と落ち込んでいるとき、前にも同じようなことを言われたな、とふと思い出すのだ。
仕事で大切なことは全部、中学校で教わっていた。
 
提案書がまとまらず、期限が来ても思うように形にならないとき。中学3年生の2学期初日のことを思い出す。
私が通っていた学校では、夏休みの宿題が多かった。8科目の先生からのレポートやら問題集やら、美術の作品作り、家庭科の授業では裁縫の課題と料理の課題がそれぞれ、それから作文。
7月中に宿題は終わらせて8月は遊ぶぞ! と意気込んで、実際ちゃんとやっていても結局8月末までかかる、というのが恒例だったし、実際すべて提出できない生徒も多かった。
私も例に漏れず、地理のレポートが終わらずに提出できないでいた。アフリカの食文化に関して調べてまとめる、というレポートだ。インターネットだけでは駄目だという指示を忠実に守って、せっかく図書館に通って調べたのに、調べるのに時間を取られてしまい肝心のレポートが書き終わらなかったのだ。
そんなとき、先生は私に言った。
「最後まで書けていなくても、完璧な結論が書けていなくてもいい。綺麗に清書できていなくてもいい。今の段階で提出できるものを出しなさい。途中まででも書いているなら私たちはそれを評価できるでしょう。途中までどんなに立派なレポートを書いていても出さなければ0点ですよ」
私は勘違いをしていた。別に100点をとれなくても良かったのだ。20点でも30点でも、できるだけ高い点数をとる努力さえすれば。
 
大人になって、提出するものが宿題のレポートから企画書や提案書に変わっても、結局何も変わらない。どれだけ徹夜をしたって、100点満点の提案書なんて作れっこない。いくら残業してもいいという訳でもない。限られた時間の中でベストを尽くすことが求められているはずだ。
 
時間がないと焦るあまり確認作業を怠って失敗したとき、思い出すのは中学1年生の春のことだ。
家庭科の調理実習でキュウリの酢の物を作っていた。授業の時間は限られているから、素早く切らなくてはいけない。
包丁の扱いに慣れていない生徒も多く、さらに焦って切るため厚さ1cmもあるような”輪切り”がごろごろと混ざっていたりする。そんなときに、先生が私たちに言ったのだ。
「時間は確かに気にしなくてはいけないけれど、だからと言って間に合えば雑でもいいなんてことはない。こんなに分厚いキュウリに酢が染み込むと思いますか? これは全部切り直してくださいね。最初から丁寧にやる方が、やり直しよりよっぽど短い時間でできるんです」
私たちは分厚いキュウリを全部切りなおすことになり、結局時間内には終わらなかった。もう切ってしまったキュウリをさらに薄く切ろうとすると、手で押さえられる部分が少ないのでどうしても時間がかかるのだ。
 
仕事をしていて、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃと思っていると、つい確認の作業を省略してしまったりする。いつも大丈夫だし今回も大丈夫、と思って省いてしまって、そういう時に限って大事なことを見落としている。結局そのミスをカバーするためにあちこち電話を掛けたりメールをしたりと、本来なら必要ないはずの業務に時間を取られて泣きたくなったりする。
焦るときこそ、丁寧にする。これも、中学校で教わっていたことだった。
 
もう一つ、家庭科の授業で大変叱られたことがあった。
「四喜丸子(スーシーワンズ)」という、中華風の肉団子入りスープを作ったときのこと。
ひき肉をハンバーグのように焼いて、それをスープに入れるのだが、私たちがこっそりハート形に丸めていたのを見つかった。今日は授業なんだからちゃんと丸くしなさいと言われたのだが、当時は生意気盛りの中学2年生。「焼いてしまえば先生が怒ろうが何だろうが形を直すことはできない、焼いたもの勝ち」と、先生の目を盗んでどんどんハート形の肉団子をオーブンに入れた。
焼きあがったハート形肉団子を見て、先生は想像以上の剣幕で怒った。多分、中学3年間で一番大きな声で怒られたのではないかと思うほど怒られた。
「四喜丸子は、丸い肉団子を入れるからこういう名前の料理なんです! それをあなたたちは勝手に違う形にして!!」
中学校で教わった、仕事における教訓。上司の言うことは、素直に聞いた方が良いこともある。
 
 
 
 
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2019-06-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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