メディアグランプリ

応援される人は先に出す人


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【6月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:三上弘恵(ライティング・ゼミ火曜コース)
 
 
私は「ギブ・アンド・テイク」という言葉が嫌いだ。以前、一緒にビジネスをしたいと言ってきた人がいた。細やかなことをされる方で、お弁当を作ってくれたり、資料をまとめたり、自分とは違う得意分野があったので、私は補い合っていると思っていた。
それが、ある時彼女から、「いつも自分ばっかりする方で、何か虚しい。してもらったらお返しするのが普通だよ。私はそうやって人間関係を築いてきた……」と言われた。
私は驚いた。その都度「ありがとう」を言っていたので、それでこの件は完結したと思っていたし、自分がしたいからするので、見返りを求めるのは違う、そう考えていた。
この件だけではないけれど、考え方の違いから、彼女とは離れることになった。でも今考えると、彼女のやり方や考えも受け止めて、築いてきたことを尊重すれは良かった。彼女の言葉は、ただ単にモノが返ってこない不満というより、それ以前の私の感謝の気持ちが届いてなかった。彼女に伝わるように言ってなかった私の未熟さもあると思った。
もっと本音で話し合える自分であったのなら、関係性は変わっていたのかもしれない。
そうして私は、応援してもらえない人になった。
 
ところが、応援してもらえる人は、すごく身近にいた。
 
「わぁ~、こんなに大きいそらまめ、誰かな~」
 
「これはお隣の石川さんよ」
 
こうやって旬の野菜が、数日おきに母の家の庭に置いてある。
 
スナップエンドウ、春キャベツ、セロリ、たまねぎ……。
 
お向かいの山田さんは、自分で蓮畑も作っているので、レンコンが採れる。それを庭にある流し台の下の大きなバケツに入れておいてくれる。何ともありがたいことだ。
今では畑仕事が出来なくなった両親のために、お隣さんとお向かいさんが、日常的に野菜を届けてくれる。もちろん無料で!
 
しかし、最初からこのようになったわけではない。
 
20年ほど前、両親が老後に向けて家庭菜園をしたいと今の家に引っ越し、沢山の野菜作りに取り組んでいた。
 
海の近くの田舎で、周りには田んぼがあり、少し先には山がある。ウグイスの鳴き声もよく聞こえる自然に溢れた場所。街灯が少ないため、星空がものすごく綺麗で、まるで星が降ってくるように沢山見られる空気の綺麗なところ。
 
外から来た者は、自然に囲まれて、環境の良さばかり目に付くけれど、中に入れば良い所ばかりではない。もともと住んでいる人は、どんな人がやってきたのか、変な人ではないのか、という目で見ている。表面上は当たり障りのない日常会話をしているが、本心は分からない。
 
住んでみてわかってきたことだが、田舎は、それぞれの家庭のことをよく知っている。家族構成、職業、関係性、いつどんな人が訪ねて来ているか……など。どんな事件に巻き込まれたとか、付き合っている人のことなど、立ち入って欲しくなくても、情報は把握されている。週刊誌顔負けの伝播力なのである。
 
そういう田舎ならではの人間関係の中で、よそ者だった両親は大変だったのかもしれない。
年を重ねてきて、経験も豊かになったとはいえ、ゼロから始める人間関係だ。父は、老人会の役員を引き受けたり、祭りの手伝いをしたりと、地元に馴染んで受け入れられるようにやっていた。
 
母は他人のことを悪く言わないので、しゃべるより人の話をよく聞いている。だから話しやすいのだろう、イベントや趣味のお誘いを受けることもあり、気の合う人と長く良いお付き合いができている。
 
お菓子作りが好きな母は、パンやケーキ、クッキー、コーヒーゼリー、他にも桜餅、柏餅まで季節ごとのスイーツを作っては自分の周りの人に配っていた。そして、また何か野菜をもらったり、教えてもらったりという循環が起こっている。
こうやって振り返ってみると、母は人づきあいの達人だったのかもしれない。
 
有名人の講演会や本などでも、「応援される人は先に出す人」と言われる。
 
まずは、自分から先に出していく、相手に何かしてあげる。そとうすると、次に自分にもサポートがあり、応援される人になる。
 
それは、1回だけで終わらない。応援された人は、また人を応援する。そして応援しあっていく、応援の循環が起こってくるのだ。
 
もはや、どっちが先だったのか分からなくなる。
 
母が話を聞いていたのか、隣のおばあちゃんが教えてくれたのが先かは、定かではないけれど、この人と仲良くなりたいという思いが、どちらか(又は双方)にあり、そしてお互いにある。
この人のために何かしたい、喜ぶ顔がみたい、助けになりたい。そういう気持ちが双方にあるとそのサイクルは止まらない。
 
だから、野菜をもらったら、母は「お隣さんは甘いものが好きだから今度チョコレートケーキを作ろう」と、ワクワクしながらレシピを考えている。そら豆をもらったから、そのお返しをしなきゃとは考えていない。自分が食べたいもの、好きなモノのお裾分けなのである。
 
モノとしては、ギブ・アンド・テイクで、お隣から母へ、母からお隣へなのだが、気持ちは双方が「したい」「してあげたい」という思いがある。
 
嬉しい循環は、その思いの上に成り立っているのではないか。
 
私は、尊敬するメンターの講座のサポートをしていた時に、
「午後から参加者が疲れるだろうから、あのタッピングやってみて」と頼まれた。
 
喜んで引き受けた。私のしているタッピングをリラックス法として紹介し、みんなでやってみた。
 
その後で、メンターから言われた。
「ぼくは、あなたのために何かしてあげられること、あるかな?」
 
めちゃくちゃ感激したし、こんな風に思ってくれているのかと嬉しかった。
 
受け取った時には感謝があり、今度は自分がまた与えたくなっていく。その循環が起これば、なんと素敵な世界になるだろう。
 
この美しい循環を、まず自分の身近なところから始めてみよう。
まずは、友達がしているスピリットダンスの応援だ。教えている友人は心が自由で行動も自由。踊っていると心が解放される素晴らしさがある。それを地元広島の人たちに体験してもらいたい。
身体を動かしていると、子どもの頃の無邪気で純粋な心を思い出してくる。みんなでダンスをしたらどんなに楽しいだろう。今からワクワクする。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 
http://tenro-in.com/zemi/82065
 

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


2019-06-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事