メディアグランプリ

整形は勇者に与えられるエコノミーからファーストクラスへのアップグレードだ。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:こみね(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「芸能人の〇〇って整形でしょう?」
「えーなんだ、整形だったのかぁ。がっかり」
 
よく似たような会話を耳にする。いや、私自身がこんな会話をしていた。
 
天然であることが素晴らしい。偽物は「悪」。整形は「ズルい」そう思っていたからかもしれない。
 
だが、整形は果たして偽物なのか? 悪なのか? ズルいのか?
 
私は整形は偽物でも悪でもズルでもないと思う。
個人の夢の具現化であり、自己満だ。ただ、それだけだ。
より良い理想のためにお金を払って過剰サービスを得るだけだ。
 
だから関係のない外野は影口叩くな!うるさい馬鹿野郎!と最近は思うのだ……。
 
平成から令和に変わるとき、世間がこれから始まる大型連休に浮き足立っている時、私は手術台で両手を握りしめて震えていた——
 
「コミネちゃんは一重だね」
 
小学校2年生の時だった。友達に言われた一言で人間のまぶたには一重と二重があることを知った。好きな女優さん、憧れのモデル、かわいいと思う友人や先輩、全員が二重だということを知った。
 
一重で特段困ったことはなかったし、どちらかというと一重でも目が大きい方で二重と思われていることもあった。
 
けれど、自分のまぶたを折り返してみたときのくっきりした二重バージョンと普段の一重バージョンとの顔立ちの違いに「二重だったらよかったのに」と思いながらしばらく街行く人々のまぶたを見ては「しょんぼり」したことを覚えている。
 
その「しょんぼり」は高校生になっても、大学生になっても、社会人になっても消えてくれなかった。自分で作り上げた劣等感は増していき、化粧やつけまつげで一次的に二重を作っても、天然のものとの違いに更に「しょんぼり」していった。
 
「整形しちゃえばいいじゃん」と母からはよく言われていた。
 
しっかり検討した上での整形ならば、個人的に整形に対して悪い印象はない。
 
でも人から「ズル」と思われることが嫌だった。「あの人整形なんだよ」と後ろ指を刺されるかもと思うと整形はしたくなかった。
 
「しょんぼり」が20年以上消えない中、次のゴールデンウィークは大型連休になると知った。ズルは嫌だと感じながら、バレずに整形するなら今だと思った。(普段は化粧で二重にしているからダウンタイムを見せることなく整形してしまえばバレない!と思ったのだ)
 
天皇樣からいただいたこの機会、令和に「しょんぼり」は持って行きませんと決意した。
 
すぐに6つの病院にカウンセリングに行き、自分に合う先生や施術方法を必死になって探した。
 
参考としてYoutubeで整形経験者の体験談もリサーチした。
コンプレックスは様々あれど、皆、悩み抜いて行き着いた先が整形だなぁと思ったら知らぬ間に涙が出ていた。
 
かつて私がそうしていたようにマッサージやクセ付けなどで一生懸命二重になる方法を模索している人達も沢山いた。
 
そこで私ははっきりと気付いたのだ。日本社会の多くがまだ整形に対して悪い印象を持っているなか、それでも整形に踏み切った人たちはズルなんてしていないと。相当の覚悟のもと整形しているぞと。
 
私だって20年以上悩んで、ズル呼ばわりされるのも覚悟で、親も納得していて、自分が稼いだ金で、痛い思いまでして、長期休暇丸投げで整形するんだぞ?!
 
むしろ生まれた時からくっきり二重のやつの方がズルわ馬鹿野郎!!
 
それに二重にするだけで綺麗になるなんて思ってない!これは自己満だ!
 
大切な体をもっと愛しく大切に思いながら使うためにリノベーションするだけだい!!!しょんぼり人生より健全だーい!
 
私なんで整形隠そうとしてたんだろう?! もっと堂々と整形してやる!
 
完全に気持ちが吹っ切れた結果、次の日私は周りの友人・会社の人全てに「整形します」宣言をした。
 
そして今、手術台の上での武者震いである。いや、単純に針が怖くて震えている(笑)
 
メスも使わない簡単な手術でも恐怖に震えるのである。これが大手術の整形であればどうだろう?
 
やっぱり簡単な気持ちで出来るわけがない。ズルなんて皆してない。相当な代償を払って、コンプレックスに挑んでいる勇者だ。
 
必要がない贅沢をあえてしているように人からは見えるのかもしれない。
けれど、本人は何年もこの時を心待ちにして待っていた。ずっとずっと憧れてお金や気持ちも貯めていた。やっとの思いで手に入れた憧れへの切符。
 
きっとこれは人生で一回は乗ってみたい……と思っていたファーストクラスに乗る瞬間と似ているのかもしれない。気合いで買ったチケットで乗ったフルフラットのシートは乗ってしまえばその快適さに後悔など一切ない。エコノミークラスからの外野の戯言なんて仕切られたカーテンでちっとも気にならない。こんな世界もあったのか……と、いつもとは違った視点で快適な空の旅を楽しめるのだ。
 
 
※ 私は整形をみなさんに薦めているわけではありません。人を騙したりズルする気持ちで整形している人は少ないのではないかな?という推測のもと、整形に対しての多くの人からの扱いや見方がひどくない?という気持ちを書いています。まぁ、何言われてももう気にならないですけどね笑。
 
 
 
 
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2019-06-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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