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質問タイムに出てくる「超人」


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:鈴木亮介(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「以上で講義を終了します。何か質問はありますか?」
大学の講義や講演会の後に、よく聞く言葉だ。
僕はこの言葉を投げかけられたとき、しかも話の中で腑に落ちないことがあるとき、ものすごい葛藤が生まれる。
 
手を挙げようかな、、、どうしようかな、、、
 
今、疑問に思っていることは、他の人にとっては「えー、そんなことも分かんないの?」とか、「え? そこ重要?」と言われるようなことかもしれない。もしくは聞き漏らしているところがあって、質問した後に会場が「おまえ話きいてなかったな、さっき言ってたじゃん……」みたいな空気になるかもしれない。実際、周りを見渡すと「全部分かりましたよ」みたいな顔をしているし、そもそも大勢いる前で手を挙げて質問すること自体、正直ちょっと恥ずかしい。。。
よし! あとでGoogleで調べたり、図書館で本を漁ってみるか。そうだ、全体向けの講義が終わった後に直接行って1対1で質問すればよくね……
とそのうち思うようになる。こうして手を挙げないで、質問タイムは終了する。
 
だが、後悔することが本当に多い。
終わった後に質問しに行っても、発表者が多忙で次の予定のために、足早に会場を出て行って、結局質問できず終わってしまう。
またあとで調べようと思っても、Google検索だと個人ブログ程度の信頼度が低いものしか見つからないし、図書館の本は専門的過ぎて該当ページを探すも億劫になる。なかなか自分の疑問に答えてくれるものは簡単には見つからない。調べているうちに、そもそも何が腑に落ちなかったのか忘れてしまう。
 
「あの場で質問したほうが絶対良かったなあ」と後になって本当に思う。
 
でも講演終了後の質問タイムは、わざわざ「質問タイム」と言っているのに、どうしてあれだけ質問しづらいのだろう? 研究室の指導教員が相手だったら、バカ丸出しの質問でも気兼ねなくできるのに。
そう考えると、別に話し手と比べて知識レベルが劣っているから質問しづらいわけではなさそうだ。そもそも発表を聞く側になっている時点で、話す側のほうが発表内容に関して詳しいのは当たり前だ。もし同じくらいの知識なら、わざわざ聞きに行かないだろう。では質問しにくいのは、いったい誰に対して遠慮しているのだろう?
 
そんな疑問を頭の片隅に置いたまま、しばらく経ったのち、自然と質問できたときがあった。
その日は大学の講義を聞いていて、内容はマニアックだったが、前から興味を持っていて、そしてたまたまその前日に同じ内容の本を読んでいたのだ。
初めは単純に関心があったからだと思った。でも、自分で講演やセミナーに足を運んで聞く話も十分興味をもっているはずだ。
よくよく振り返ってみると、質問をする前に少し得意気になっていたことを思い出した。
おそらく、マニアックな講義と同じ内容の本を前日に読んでいたのは、クラスの中で自分だけだと思ったのだろう。進学塾の宣伝マンガにありがちな、「あっ、これ!この前、塾でやったやつだ!!」と、ドヤ顔になる主人公と同じ気持ちだ。
 
そうなると、僕らは質問しようか迷っているときに強く意識するのは、発表者ではなく、一緒に聞いている周りの人だ。
もっと言うと、聞いている人のなかに「優秀なだれか」がいることを想定している。
質問しづらいのは、その「優秀なだれか」に自分が「フッ」と鼻で笑われることを恐れているからかもしれない。今回は、偶然自分が一番詳しいという自信が持てたから、堂々と質問できたのだろう。
「優秀なだれか」仮説を考えれば、少人数だと質問しやすくて、大勢の前だと質問しづらくなるのも納得できる。聴衆が多いほうが、その中に「優秀なだれか」が紛れ込んでいる可能性が高くなるからだ。
 
でも今までの経験からいうと、その頭の中の「超人」は実在しないことのほうが多い。専門的な内容を90分集中を切らさずに、そして一度聞いただけですんなり理解できる人なんてそうそう居るもんじゃない。実際、講義内容で分からなかったところを隣の人に訊いてみると、「実はおれも、同じところ分かんなかったんだよねー」と共感されることが多い。
 
つまり、頭の中の「超人」はただの幻想だ。
よく恋愛ドラマでありがちな「きっとあなたには、私よりもっと素敵な人がいるよ」というセリフと大差ない。どこにいるんだ、そんなやつ!
もちろん発表内容について既にある程度の知識を持った聞き手はいるかもしれない。
だが、その人が他の人の質問に「フッ」とあざ笑ったりするだろうか。そもそも他の人の質問なんて、たとえ少し妙に思えても、いちいち覚えてないだろう。
 
そんなことを考えていると、僕は頭の中の「超人」にいろいろな場面で、大事な機会を奪われている気がしてきた。どこかにいる自分より数段できる奴に笑われたら嫌だなと思って、試しにやってみようと思ったことも、結局やらずに終わってしまった。そんな幻想を取り去れば、自分とってベストな行動ができるかもしれない。
 
 
 
 
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2019-06-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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