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メディアグランプリ

私は今、投資詐欺にあっているかもしれない。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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Mami Osawa (ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「年利10%で、元本保証です。手続きは私たちが手伝います。」
 
こんなこと言われて引っかかる人はいるか?
まぁ、いるだろう。いろんな詐欺のニュースが次から次と出てくる。
それだけ騙されている人がいるわけだ。
 
就職超氷河期世代の人間。
自分でお金を稼ぐようになったころにはゼロ金利。
銀行にお金を預けても、1回のATM手数料よりも少ない金利。
 
お金を預けただけで増えて返ってくるなんて、詐欺しかない!
ずっとそう信じてきた。
 
それなのに、私はおいしい話に乗った。
 
ただし、これは日本国内での話ではない。
私には年に1度、1か月弱、知らない土地を旅するという趣味がある。
これは学校を出て、まだ貯金もないぎりぎり生活だったころからやっていること。
つまり、旅にもお金はかけられなかった。必然的に行先は安いアジア諸国である。
ついでに私は英語に自信がない。
英語が母国語の国だとどうも怖気づいてしまう。
かと言って、まったく英語が通じない国もなかなかの冒険だ。
だから英語が公用語、昔どこかの植民地だった国がなんとなく安心する。
 
さすがにもう、激安の安宿に泊まる旅はしていない。
だけど、チャンスがあれば、現地の人のお家にホームスティしてみたり、ボランティア活動に参加して、提供された施設に泊まってみたりということは今でもやる。
というか、むしろそれが楽しくて旅に出る。
一人で豪華なホテルに泊まってエステと買い物を楽しむといったスタイルの旅に楽しさを感じない。
 
ある国で、私は親日家と名乗るお坊さんと出会った。
 
外国を旅行中に日本語を話す人が近づいてきたら、私は一応警戒する。
そこで気を緩めると危ないことも多いと聞くからだ。
 
でも、この時は彼の宗教家という肩書に気を許してしまった。
話し上手もてなし上手な彼と、お寺の人たちと一緒に時間を過ごすのは楽しかった。
私には信仰心がないけれど、それでもお坊さんと一緒にいると心が洗われていくような気がした。
 
気付けば私は、宿泊する部屋とご飯を提供されて、すっかりお世話になっていた。
 
返報性の法則
 
聞いたことがある人も多いだろう。
普通の人間なら、何かをもらったり、してもらったり、相手から何かを受け取ると、お返しをしなくてはいけないという気持ちになるものらしく、それにはちゃんと名前までついているのだ。
 
「これは、最後に寄付をして帰らねば。」
 
私も返報性の法則のとおり、お返しをしなくては申し訳ないという気持ちたっぷりになった。
 
そのタイミングで、冒頭の話になる。
 
「日本は貯金しても金利がつかないそうですねー。私の国では10%です。私、お坊さんだからウソつきません。 私にお金を預けてくれませんか? 毎年、10%お金増えますね」
 
10%も?
世の中にこんなうまい話があるの?
あー、今、私、投資詐欺にあってるよね。
 
頭の中で私が一人何役にもなって相談する。
 
めちゃくちゃオイシイ話じゃないの!
10%なんてありえないでしょ!
ちょっとだけやっちゃう?
いや、だめだめ。
どうやってことわる?
ねぇ、この人って本当にお坊さんなの?
 
私が答えを出す前に、お坊さんは続きの言葉を話し始めた。
 
「その金利で、子供たちを学校に通わせたいです。学校は無料です。でも教科書やカバンが買えなくて学校に行ってない子供たちがたくさんいます。ほかの日本人もお金出してくれました。」
 
なるほど。
そうだ、この国はまだまだ貧しい。小学校にすら通えない子供がいる国だ。
しかし、この話は本当なのだろうか? 私はここの国の言葉がわからない。私が日本に帰ったらもうその後のことはわからない。
 
でも、この話が本当であるならば、疑っている自分が恥ずかしい。
 
私は断ることができなかった。
この度で、ホテルに滞在するために持ってきた費用が丸々余っている。
ホテルの宿泊費だと思えば、たとえ詐欺でもいい。
 
発展途上にある国では一般的かもしれないが、ここの国も格差が激しい。
裕福でない家庭なら、家族全員が1か月、日本円にして1万円前後でなんとか暮らせるらしい。
その反面で、観光客として滞在すると、日本のホテルと大差ない金額だ。
私の貧弱な頭ではもうわけがわからない。
 
持ってきたお金を全部ATMで引き出して置いていこう、そう決意した。
 
日本では大したことのない金額が、この国では大金だった。
なんと、ATMの1日の引き出し制限に引っかかり私のお金は、すべては引き出せなかった。
そうか、私は大金を差し出すのだな。
詐欺とはこうやるものなのか。敵ながらあっぱれ。
助けてくれる人もいないから、ここはあきらめて騙されよう。
 
かくして、わたしの引き出せる限度額いっぱいのお金は彼の手に渡った。
騙されたふりで空港まで見送ってもらって帰国した。
 
それから毎年、このお坊さんから写真や新聞記事を添えたメールが来る。
 
「今年は新たに30人の子供が学校に通えるようになりました。」
 
彼の活動は、現地のメディアに時々取り上げられているそうだ。
いや、ウソかもしれない。
なにせ、わたしはあの国の言葉を読めないのだから。
 
もうしばらく騙されたままでいよう。
 
 
 
 

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2019-06-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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