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自分の頭で考える前に乗った方がいいケーブルカー


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:のぐちまりゑ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「まーちゃんさ、何も考えてないように見えるよ」
 
大学生のころ母から言われた言葉である。一瞬、頭が真っ白になった。
 
勉学も人間関係も、将来のことも考えすぎて胃が痛くなるくらいなのに?
なぜそう見えたのだろう?
 
そして大学を卒業し、働きはじめたころに母から言われた言葉がさらなる混乱を招く。
 
「まーちゃんはね、考えすぎだよ。これ、本屋で見つけたから気が向いたら読んでね」
 
と母から渡された本は『考えない練習』。
 
いやいやいや、どっちだよ。
 
「自分の頭で考えろ」というフレーズがある。
 
職場の先輩から言われたとか、最近入ってきた新人が自分の頭で考えなさすぎて困るとか、主に愚痴のかたちで耳に入ってくる。
 
確かに言いたくなる気持ちはわかる。
噛み砕いてみると「過去のデータを集めたり、周りを観察して、最適な行動をしろ」という意味だったり、「他人の言うことだけを真に受けず、自分の気持ちに正直に決断してごらん」という意味だったりする。
 
一方で「十分すぎるほどに考えてるよ」という反論もある。過去の私がそうだった。心の中であれこれ考えていても、周りからはそう見えない。もしくは過剰に考えすぎているように見えるらしい。「自分の頭で考えろ」と言われたときには、すでに頭がパンクしそうなほど思い悩んだあとだ。
 
この行き違いは一体何だろう?
原因は、考えた形跡が見えていないことにある。
 
「この業務はこうした方がいいかなって思ったので、こうしたんですけど……」
 
もし職場の後輩からこう言われたら「もっとちゃんと考えて~」と返したくなるだろう。主観だらけの感覚的な判断で、考えた形跡がまったく見当たらないからだ。それよりは、
 
「前任者の引き継ぎ資料にこう書いてあって、先輩に借りた業務メモも見てみたらこういう前例があったので、こうしました!」
 
と言われた方が、考えた形跡がちょっと見えるので「そっか、OK!」と言えるだろう。
 
つまり「客観的な情報を調べて比較検討し、納得のいく判断をしたか」が「考えた形跡」なわけだ。
 
なるほど、母から「何も考えてないように見える」と言われたのは、私が将来やりたいことの情報を調べもしないで反射的に動いているように見えたからだ。一方で「考えすぎ」と言われたのは、比較検討したのに私が納得せず、判断を決めかねているように見えたからだ。
 
「考えた形跡が見えていない」と「自分の頭で考えろ」というフレーズが出てくる……。
 
ちょっと待ってほしい。
生まれて十数年の若者がそこまで察するのは難易度高すぎでは……?
 
ところで、歌舞伎や落語の世界には「型」というものがある。師匠の動きを徹底的になぞって個性をなくす稽古だ。決まった型ができるまで何度も繰り返し、ようやく完成されたときにどうしてもにじみ出るものが個性と呼ばれる。
 
実は「考える」についても同じなのだ。
 
「情報を調べて比較検討」は頭の中だけではできない。主観的にぐるぐる思い悩むのではなく、客観的な情報を徹底して集めなければならない。
 
ということは、「自分の頭で考える」の8合目くらいまでは「自分の頭で考えてはいけない」道のりなのである!
 
なんてややこしい……!
 
しかし幸運なことに、職場の先輩たちはあらゆる業務の履歴を保管してくれている。さらなる朗報として、この「情報を調べて比較検討」は仕事に限らず、あらゆる悩みに応用できるスキルなのだ。思いっきりプライベートなことでも、調べてから悩んだ方が圧倒的に良い。
 
一人の人間が考えをこねくり回すと、狭い視野に阻まれて堂々巡りになっていく。そんな悩める未来人のために、古今東西の先人たちはあらゆる「型」を残してくれた。
 
それは学問というかたちだったり、書籍やインターネット上の情報だったりする。百科事典、図鑑、伝記、芸術、娯楽に至るまで、あらゆる情報が助けになってくれるのだ。それらをごっそりまとめて待ち構えているのが図書館や博物館で、企業の研究所や資料室も同じ役割を果たす。
 
先人たちの研究成果をありがたくお借りして、つまり8合目までケーブルカーでスイスイ運んでもらって、そこから自力で歩けばいいのである。
 
難易度が一気に下がったではないか……!
 
同じ問題を抱えた人は、時代が違っても世界のどこかに必ずいる。自分の悩みなんてほとんどが悩み尽くされているものだからだ。ただし、見つかるのはヒントだけだと心得よう。最後の最後に本当の意味で「自分の頭で考える」必要がある。
 
でも今より確実に、前には進めるのだ。
 
あなたが今、先輩のポジションにいて「自分の頭で考えろ」と言いたくなったら、「まずは情報を集めて調べてみよう」と伝えてみてはどうだろう?
 
あなたが後輩のポジションにいて「自分の頭で考えろ」と言われたら、「まずは自分の頭で考えないで調べまくろう」と決意してみては?
 
わからないことがたくさんあっても大丈夫。悩むならケーブルカーで8合目まで行ってからだ。
 
そこからようやく、正しく悩めるのである。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2019-06-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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