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メディアグランプリ

受験勉強を頑張るべき理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:村山 優(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
私は受験勉強を頑張った。
毎日0:00に寝て4:30に起きた。ごはんを食べるときもお風呂に入っている間も予備校への移動時間も勉強していた。最新7年分の過去問を書店で、その前の20年分の過去問をネットで探して買った。他大学のものも含めれば、世界史は、100問は添削してもらったと思う。
 
そして、とにかく京都大学に入りたかった。東京大学でも他の大学の医学部でもなく。
オープンキャンパスで見たあの自由な雰囲気とすぐ近くにすばらしい資料がある高揚感。「到底手の届かない大学に受かったら、そういう環境に行けたら変われるかもしれない。変われる最後のチャンスだ」という自己暗示。
現役時代も他の大学は受けなかったし、浪人したときも、会場に行かなくても合否が出るセンター利用の私立大学を1つ併願しただけだ。
 
 
そして、満を持して京都大学に入った。

ところが、私はどうやら京大に行く必要はなかった。
 
まず、この大学に受かったからといって自信がつくことなど一切なかった。私は平均点をかなり上回って合格したけれど、周りにはそんなに受験勉強をした人がいなかった。他の人だったら1年で合格できる量の勉強をしていたのに、私は2年費やしていた。ただの量で稼ぐお化けだった。

 
そんなわけだから、単位をたくさん落とした。1年の前期に受講していたのは29単位分。とれたのは14単位。「京大は単位が降ってくる」なんて言うが、それはつまり、京大には1日10時間すら勉強したことがない勉強が上手な人たちがいっぱいいるということなのだ。友達のノートもらって1回しか出席していない人も山ほどいるのに、下手な私は無駄に何回も同じ講義をとっていた。自信はむしろなくなるばかり。
 
中学生のころからもっていた研究者になるという夢もなくなった。研究は楽しいけれど、私の求める生活はもっと違うと気付いてしまったから。今やりたいのは、飲食店とフリーライター。こんなに料理を人に食べてもらうのが好きだとは、一人暮らしをするまで知らなかった。「料理専門学校に行けばよかった」と自虐的に言うと、「その方が優は幸せそうだよね」と友人に笑われる。
 
極めつけに、就職活動も失敗した。
院進学をやめると決めてから、知識の乏しさや焦る性格を考慮して、1年留年して就活をすることにした。
でも結局、13社受けて人材系の企業1社しか受からなかった。役員の方にも私に期待する声をかけていただいたし、そこで頑張ろうとは思う。でも、やっぱり志望する業界に行きたかった。
そもそも私は、大企業は1つも受けていないし、2社を除いて京大卒の人はいないような企業を受けていた。「京大」「体育会所属」をもってしても失敗してしまったという事実に打ちのめされている。
 
 
もう、こうなってくると、この大学に来た意味がわからなくなってくる。こんなに自信を失うなら、役にも立たないなら、惨めな思いをするならば、来ない方がよかった。受験勉強頑張らなければよかった。
そう思ってしまう。
浪人させてくれた両親や、応援してくれた友人、それにあのとき頑張った自分に対して、どうしようもなくふがいない気持ちになる。
「落ちこぼれでごめん」「才能がなくてごめん」と。
 
 
それでも、私はいつかカフェを上手に経営することを、ライターになることを、そこで社会に貢献することを、夢見る。これだけしっぱいしても、まだ自分の人生を諦めないでいる。
 
それは、憎いことに受験勉強のおかげなのだ。
あのとき頑張れたんだから、きっと経営の勉強もできる。あのとき頑張れたんだから、1日1000文字ぐらい継続できる。あのとき頑張れたんだから、私は夢のためなら努力できる。
 
それは、きっとこの大学に受からなくても、一緒だった。「落ちた」と思っていた2015年の3月、それでも私は自分に誇りをもっていたから。
 
今年の本屋大賞を受賞した瀬尾まいこさんの『そして、バトンは渡された』の中で、入試前に彼氏と出かけた主人公を義理の父親がいさめるシーンがある。

 
「受験前の最後の日曜日に一日出かけてるってどうかと思う」
「たぶん、いや、絶対大丈夫だと思うから」
「園田短大の倍率1.3倍だし、試験勉強もひととおりやったよ」
「俺もよっぽどのことがない限り、受かると思うよ。でもさ、試験受けるんだから、最後まで必死で勉強して臨むのが当然だろ」
「そうかな」
「試験勉強するのなんて人生において、もう最後に等しいだろう」
……
「そうだね。だけど、十分勉強したよ。普段からやってるし」
「優子ちゃん、勉強に終わりなんかないよ」
「そうだろうけど。でも……」
「息抜いて、肩の力抜いて。そのうち手まで抜いたんじゃ、どうかと思う。受験は、無理せずほどほどにやるっていうようなことじゃないから」
 
そう、合格圏内であれ、E判定であれ、偏差値が低いところであれ、高いところであれ、受験は当日まで「頑張り続ける」という使命を与えてくれる。それが重要なのだ。
模試で成績優秀者として掲載されても、A判定をもらっても、勉強し続けたことが、継続したことが、私を励ましてくれる。
私は森宮さんの言葉に深くうなずいた。
 
 
そして、勉強はいくらしても叱られない。1つのことに集中することが担保されている期間でもある。学生の本業は「勉強」であるから。これがスポーツや芸術や他のものであったら、どれだけ本気であっても、学校を休んでまで活動することはなかなか許されないであろう。
(もちろん勉強すらできない環境にある人がいることは承知の上)
1つの業務に1日17時間費やしても人から後ろ指さされないものは、受験勉強ぐらいだ。
 
 
憎たらしいけれど、頑張ったせいで今の私は苦しんでいるような気もするけれど、それでもあのとき私は受験勉強を頑張ってよかったと思う。
 
受験とは、誰もが平等に手に入れやすい、お守りを手に入れることだったのだ。
 
 
 
 
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2019-06-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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