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生物学は自由をくれる


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記事:西野 洋史(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
私は予備校に通っている。もはや一年以上になる。
これにはいささか込み入った理由がある。私が医学部を受験した名残なのである。
 
ことの発端は1年半前にさかのぼる。私は大学受験の真っ最中であった。
毎日きちんと勉強していたし、目標とする大学に手の届くところには来ていたと思う。
ただし、きちんと詰め切れていないところがあった。志望校を詰め切れていなかったことだ。
 
志望校決定には親や先生の意見も影響力を持つ。
普段から気を付けていたことではあったが、それでも不十分であった。
行きたい学部や立地、学校の雰囲気など、大学を評価する基準についてそれぞれの思惑は少しずつ異なっていた。
この差は思っていたよりも大きなものであったが、私はそこに気づけなかった。
 
その違いがあらわになったのは、自分が東京の某私大を受けた時である。
合格したはいいのだが、入るかどうかで意見がまとまらず収拾がつかなくなってしまったのだ。
結局自分が取ろうとした行動は、「大学入試そのものを放棄する」ことであった。
 
親戚には医師がいて跡継ぎを探していることは知っていた。
自分は文系で受験している。今までやってきたことと真逆の理系受験をするためには時間が必要だ。
跡継ぎになるという大義名分さえこしらえれば、一年はなんとか暮らせるという算段もあった。こうなったのは自分のせいではないとも思っていた。
 
しかし結局、自分はそうしなかった。
ギリギリのタイミングで京都の大学に進学することを決め、現在は文系の学部に在籍している。
しかし医学部受験に関してはすでに向こうに伝えてしまったのである。
なし崩し的に、文系学部に通いながら医学部も受けることになっていた。
 
しかし大学に通いながら理系科目をやり直すのは容易ではない。
調べてみると私立ではあるが、少ない科目で受験ができる大学があることは分かった。
理系の中でも、生物ならある程度の点が取れるかもしれない。
 
とにかく通っていた予備校に相談し、生物だけでも学ぶことにした。
こうして夏前から大学生が予備校に通うことになった。
個別指導なので、講師も同じ大学生である。もはやカオスそのものではないか。
 
通い始めても最初は要領が分からず、高校で習ってきたことを辿るばかりであった。
予習・復習はしていたが、内容もあまり理解していなかったと思う。
 
救いだったのは、講師の方が生物関係の学部で専門知識を学んだ人であったことだ。
一つ質問すれば十の答えを返してくださり、分かりにくいことでも大まかな流れから豆知識まで丁寧に説明してくださる。
 
これは教え方のうまさもあるが、単なる受験用の「知識」ではなく生物学という「学問」を学んできた人だからこそだと思う。
多くの知識が体系になっており、その網は受験の知識から日常生活や世界の環境問題にまで及んでいる。だからどこから聞かれても説明できるのである。
 
授業を受けていく中で、生物の活動や生命にかかわる現象を知り、さらにその仕組みを分子レベルで理解して、時には実験で検証することが高校生物の極意なのだとわかると、急に視界が開けてきた気がした。
気づけば遺伝や植物についてなど、受験に関する内容以外にも生物学に関する本を読むようになった。
 
実は高校の勉強は文系でも理系でも奥に分け入ると受験はもちろん、大学レベルの教養にまで入り込めるようになっているのだが、その道筋を見つけるにはガイドが必要なのである。
予備校で丁寧に学ぶことで、その道筋の入り口くらいには到達できたのだと思う。
 
また、「学生」に教えてもらうという関係性がプラスに作用したことも救いであった。
学ぶということは知識だけでなく相手の「生き方」を学ぶことでもある。
年齢も住むところも近い、しかし違う生き方を選んだ人を理解するということはそれだけで自身の見方を広げることにもなった。
 
結局センター試験ではそこそこ得点できたものの、志望校には不合格であった。
私大医学部の学費を考えれば、実際に行くことも難しかっただろう。
しかしここで得た学びには大きなものがあったと思う。
 
最近は「リベラル・アーツ」という学びの形が日本でも知られるようになってきた。
要するに、さまざまな学問を学ぶことで思考の自由を高める学びのことである。
自分が生物学を学んだきっかけは「不自由」な状況ではあったが、結果としてそこで得た知識やものの見方は、自分自身に新たな「自由」をもたらしてくれたと思う。
 
学び続けることで、人は「自由」を作りだすことができる。
これもまた一つの「学び」だとはいえないだろうか。
 
 
 
 
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2019-07-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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