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メディアグランプリ

サービスはまんじゅうだ!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:CHACO(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「では、ここには置いてないということですね?」
 
地下街のあるお店で、私は半ばイライラしながらこんな言葉を発していた。
 
ある年の12月、お正月用にと和食器を探していたとき。ふと入ったお店で、イメージに近いものを見つけたのだが、ぴったりのものではなかったので、もっとこういったものはないかと店員さんに尋ねたのだった。
 
「ああ、えっと、そうですね……」
 
店員はこう言いながら、店内を見まわして、
 
「こういうものじゃないですよね?」
 
と私にしてみれば、全然違うじゃないか!と言いたくなるような別の商品を指し示した。
 
「いえ、そういうのではなくて、もっと、こういった感じのものを探しているんです。」
 
と、私は自分のイメージを伝えた。
 
「こういうのも、違いますよね?」
 
「ええ、違いますね。」
 
その後も、なんだかはっきりしないやり取りがあって、違うものばかり見せられる。結局、このお店には私が探しているようなものは、在庫にも、取り寄せでも、そもそもないのだなということがはっきりするまでかなりの時間を要したと思う。
 
もしここに、いきなり(出てくるはずはないのだが)まんじゅうが出てきたならば、私はその外側の皮を引っ剥がしていただろう。その理由は、単に、私はあんこが大好きで、皮ではなくさっさとあんこにたどり着きたいからだ。
 
私が受けたこのお店のサービスは、まんじゅうで言えば外側の皮のようなものだ。見た目の印象もよく、耳に心地よい、柔らかな穏やかなトーンで、親切に対応してくれた。ただ、肝心のあんこに到達するまでが長い。いや、この時は到達しなかった。
 
そのような商品は置いてないと最初から言ってくれれば、こんなに無駄に時間をとることもなかったのに、分厚い皮を食べるのにどんだけ時間がかかったんだと、私の感じた違和感はどんどん膨らんでいた。かと言って、良かれと思って時間をかけて対応してくれた店員さんの立場がわからないわけではなく、結局は、私が立ち去るタイミングがつかめずに無意味に疲れてしまっただけの出来事だった。
 
そこで、日独のはざまで生きている私がこの時に思い出したのは、以前住んでいたミュンヘンにある、大きなデパートのあの店員だ。
 
そこでも私は何かを探していた。日本へのお土産か何かだったかもしれない。
ドイツのデパートにも、1階にインフォメーションがある。ただ、そこに座っているのは若くてきれいなお姉さんではなく、おばさんだったり、おじさんだったりする。しかも、彼らは、暇なときは本当に、心から「ヒマ」そうに座っている。暇なのは自分のせいじゃないといわんばかりだ。(確かに彼らのせいではない)
 
そんなインフォメーションの女性に、これこれを探しているんですけど、と言うと、間髪入れずに
 
「ああ、それはね、うちには置いてませんよ。でもね、カールシュタットに行ってごらんなさい。あそこならあるから」
 
という答えが返ってきたのだ。しかも、カールシュタットというのは、100メートルくらい先のライバルのデパートだ。そこに行けとアドバイスすらしている。三越の店員さんが「大丸に行ったらあるわよ」と言ってるようなものだ。
 
これはもう、いきなり、まんじゅうを口に突っ込まれた、そんな姿を想像していただきたい。
しかも、このドイツのまんじゅうは薄皮どころか、やぶれ饅頭なみに皮が薄い!
 
そして、そのインフォメーションの女性が言った通り、私はライバル店で、買いたかったものをおそらく最短で無事買うことができた。これこそ、私が求めていたサービスだった! 最初の店に私は1分も滞在しなかったはず。じつに清々しい気分だった。
 
私は習慣として、物事を考え判断するのに日本とドイツを比較する。なので、私の話にはほぼドイツが登場するが、そもそも文化の比較が大好きなのと、8年ドイツに暮らし、日本でもドイツ人夫と暮らしているのとで、もう運命的に日独両方のスタンダードで生きている。なので、しつこいかと思われるかもしれないがお許しいただきたい。
 
そして、両方の国のいいところはぜひ取り入れたいとも思うのだ。お互いの国から学ぶことは多々ある。学んで、日本の社会が、あるいはドイツの社会が変わる(もちろん良い方へ)きっかけにもなるかと思っている。
 
このサービスの一件にしても、私個人としては断然ドイツ風の「いきなりあんこ」なサービスのほうが好みだ。最短であんこにたどり着き、最大限の満足を得たい。日本のサービスももっと、あんこがデカくなってもいいと思う。見た目や態度を必要以上に重視するのは、サービスを提供する側にも受け取る側にも、無駄な労力と時間を使わせてしまい、仕事の効率を下げている。そして何より、満足感が少ない。
 
皮が厚いまんじゅうしか知らない人々に、やぶれ饅頭というものもあるんだということをまずは知ってほしい。私はいつも、そんな思いで2つの文化とメンタリティーの間を行ったり来たりしている。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2019-07-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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