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メディアグランプリ

護身術は非日常に慣れるもの


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:渡邊眞也(ライティング・ゼミ平日)
 
 
「タガを外せ!」
 
護身術クラヴマガのマガジムで一番初めに受ける審査、イエローベルトテストの時のことだった。あまりに聞き慣れない言葉に、一瞬、タガってなんだっけ? と考えてしまった。
 
クラヴマガはイスラエルの軍隊から生まれた護身術で入会してから半年くらいたって、始めてから半年ほど。同じくらいに入会した方達が受けるというので、「じゃあ、自分も受けよう!」と軽い気持ちだった。
 
喉元過ぎれば熱さを忘れる、と言うのは人の常で、半年前に入会したばかりの時には、たった1時間の練習で、「もう死ぬ! 2~3時間どころか4時間連続でクラスに参加する人たちはマジで化物か?!」と思ったものだった。
 
そもそも入会したのが、41歳になる月の初めの事。護身術や格闘技のようなものを始めるには遅い年齢だった。それでも入会を決めたのは、割に年齢層が高い方も体験で参加したクラスにいたからだった。「若い人でも、年配の方でも、運動経験がなくても、いつでも始められますよ。」と説明されてホイホイ入会してしまった。もちろん、それは罠で年配の方で、いい動きをしてるな、と思った人に後になって伺ってみると、「若い時には空手をやっていてね」とか、「合気道やってるんだけど、もう少し運動量の多いのもやりたくて」とか、本気で運動未経験の自分にとっては、本当にバケモノ、みたいな会員の方が多かった。
 
そんな感じで、何とかようやく必死の思いで、3~4ヶ月経つと、クラスにキツさにも慣れてきた。テストに参加するための規定のクラス参加数を超えて、「渡邊さん、そろそろイエローベルトを受けませんか?」という趣旨のメールが届いて、すぐに申し込んだ。
 
テストを取り仕切るのは、マガジムでも一番きついトレーニングをすることで知られる、鬼軍曹タイプの西尾インストラクター。普段のクラスから、50キロくらいのサンドバッグを上げ下げしたり、2人1組になり、おんぶをしてクラスを何周も走らせたりと、ハードな軍隊式トレーニングを取り入れていて、「ちょっと疲れているときは、西尾さんのクラスは取りにくいよね~」なんて、会員同士でも話している方だ。
 
テストには12人参加、うち女性4人。当時、マガジム全体で女性会員が3割ほどと聞いていたから、同じような比率でのテスト参加者構成だった。年齢は20~50代くらいだったか。
 
開始早々、テストを受けたことに後悔し、もう帰ろう、と思った。予め聞いていた、テストの時間は、2時間程度。でも開始20分すでに息は上がり、どんなに吸っても酸素が足りない、と感じだからだ。周りの仲間を見ても同じ表情だった。何しろ、2人1組になって、1方が大きな硬いクッションのようなミットを持ち、1方が全力以上で、連続でパンチを打ち続けるのがスタートだったからだ。
 
2時間もあるなら、ペース配分して少しくらい手を抜こうと思って、スピードとパワーを少し落とした途端に、西尾インストラクターから「それが全力か!? 100%出してるのか?」と怒号が飛んできた。いつも厳しい西尾インストラクターだが、その日は3割増しでリアルに鬼みたいな形相だった。
 
テストは出だしから失敗した。一緒に受ける友人と、「テスト、体力的にキツいらしいよ。保つかなぁ、俺」なんて話してたところ、西尾インストラクターの「集合!!」という声とともに慌てて整列したため、グローブをつけ忘れてしまった。途中の水飲み休憩の時にグローブを付けた時には、すでに拳はボロボロだった。痛みを忘れるため、アドレナリンを出そうと自分を上げて、全力でミットを殴ったせいもあった。
 
後半になり、部屋全体に重い疲労感が漂い始めた時、また西尾インストラクターから、日常生活で聞くことのない言葉が出た。「狂え! 限界を超えろ!」こんな事、言われたことありますか?
 
合間合間のしんどいところで、腕立て伏せなどの筋力トレーニング項目という、シゴキメニューを挟み、心は過去にないレベルで折れた。
 
「とにかくテストは途中で諦めたらアウトだから、やり切りなよ」とテスト前に先輩から聞いていたので、内心では、「狂えないよなぁ」と思ったり、隣を見て「本当にタガ外しちゃってるよ。羨ましいなぁ」なんて思ったりもしながら、なんとか最後の課目にたどり着いた。
 
床、または地面に仰向けに転がされた時に、すばやく立ち上がるというものだ。普段から何回も練習してきた。でも、テストも終盤で足もプルプルして、足がもつれて、立ち上がれず転ぶ人、足がつって顔を歪めてる人がほとんどだった。自分も何回か軽くつって、それでも先輩の最後まであきらめるな、という言葉を思い出し、何とか乗り切った。
 
テストの結果は1週間後だという。それでも無事終える事が出来たことで、充実感に溢れていた。テスト帰りに友人と「一杯だけ」と飲んだビールは最高だった。
 
テスト中の西尾インストラクターのセリフがもう一つ、「このテストの合格基準は、街で襲われた時に生き残れるかどうかだ!」
 
無事生き残れて、一週間後に合格通知をもらった。
 
 
 
 
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2019-07-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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