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メディアグランプリ

恋するように仕事をしたい。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:かとうみのり(ライティング・ゼミ特講)
 
 
顔と表情を思い浮かべる。
あの時どんなことを話したっけ?
喜ぶ顔を想像しながら、思いをはせる。
どんな反応が来るか、ドキドキする。
OKされた時、やったぁ! と嬉しい。
わぁ♪ という顔を想像しながら、先に進む。
 
もしかして、恋してる? と思いましたか?
実は、これは日々のわたしの仕事の過程を表しています。
 
わたしは、消しゴムはんこ屋さん。注文を受け、お客様の用途とイメージに沿ったはんこをひとつずつ手描きでデザインし、専用の消しゴムを手彫りして、持ち手を付けて、納品しています。
 
消しゴムはんことは、文字通り、消しゴムで作ったはんこです。
そう聞くと、年賀状用に作る芋版に毛が生えたようなものかな? と思われることが多いですが、シンプルな図案だけではなく、実際はかなり繊細な、イラスト入りの名前のはんこや情報量の多い住所印なども制作しています。
市販のゴム印とは違い、大きさ・デザインが自由で、何より手作り特有のあたたかみが加わるのが消しゴムはんこの最大の魅力です。
 
わたしが消しゴムはんこに出会ったのは、テレビのハンドメイド講座でした。
子どもの頃から、面白いデザインのはんこを買い集めて手紙に捺したり、図工の授業で石のはんこ作りに夢中になったり、自分の名前のはんこを持つことに憧れたり……と、根っからのはんこ好きだったわたしは、「消しゴムで好きなはんこが作れるなんて!」と、目からうろこが落ちる思いでテレビ画面を凝視したのでした。
すぐに家にある消しゴムとカッターナイフを使い、試しに作ってみました。
なかなかテレビの講座の先生の作品のように思い通りにはならないけど、「これは楽しい!  もっともっと作りたい!」
わたしの胸の中心に、消しゴムはんこという存在が、ストン! と落ちた瞬間でした。
 
いろんな絵を描いては写し取って、消しゴムはんこにしてみる。
まだまだ技術は追い付かないのに、名前にとどまらず、漢字で住所を彫ってみて、笑っちゃうほどガタガタな字に仕上がる。
夢中でインターネットで情報を集め、専用の消しゴムがあること、カッターナイフよりデザインナイフという道具の方が彫りやすいことなどを知っては、すぐに試してみる……というワクワクドキドキした日々を過ごしました。
 
それから十数年経った今、わたしは消しゴムはんこ屋さんをやっています。
本格的に消しゴムはんこを仕事にすると決めて、店を立ち上げてから8年経ちました。
 
注文を受けたはんこを作る時、頭の中はいつもこんな感じ。
 
あの方はどんなお顔でサンプルを見つめて、どんな表情で注文してくださったのだったかな?
できあがった消しゴムはんこを、どんなふうに使いたいって言ってたっけ? わたしが作る消しゴムはんこのどんなところが気に入ったって言ってくれてたっけ?
お手紙に捺すはんこだったらこのぐらいの大きさが使いやすいかな? 領収書に捺す住所のはんこだったら、屋号を大きくした方が見栄えが良いかな? お子さんの持ち物への名前つけ用のはんこだったら、イラストより名前が目立った方が良いかな?
「はんこの下絵を描きました。ご意見お待ちしております」とメールした後、デザインが気に入ってもらえたかどうか、返事が来るまで、少し緊張する。
「これでお願いします!」と、ワクワクした雰囲気でお返事をもらえた時は、心の中で小さくガッツポーズ。
完成したデザインを、忠実に写し取り、お客様の顔を思い浮かべながら、できる限り丁寧にきれいに彫り進める。はんこそのものだけではなく、持ち手の木も、手作業でやすりがけをして優しい手触りになるように。
 
ひとつひとつの過程は、まるでお客様に恋をしているように進みます。
 
これまで、のべ800件超のはんこのオーダーを受けて作ってきました。
全てのはんこを記録帳に残してあり、それを見ると、全てのお客様との制作のやりとりを思い起こすことができます。
笑顔のやりとりだけではなく、たまにチクリと心に残る失敗もありました。
彫り方が甘く、納品後すぐに印面が欠けたと連絡を受けたこと。
図案が決まりすぐに彫り始める意味で「これで進めます」とメールしたが、お客様はまだ決定だと思っていなかったこと。
時間がかかることを伝え漏れていて、催促の連絡をもらったこと……。
でも、ひとつひとつが、自分の糧になり、思い出になり、次へと繋がります。
オーダーはんこの記録帳は、まるで思い出アルバムです。
 
どんなに複雑な注文でも、全力で応えていきたい。
作っている時にわたしがワクワクしたように、使う時にはお客様にワクワクしてもらえたらいいな。
実際にはんこを使ってもらえている場面に遭遇すると、うれしくて仕方ない。
 
これからも、いつまでも、恋をしているように仕事をしていきたい。
消しゴムはんこ屋さんという仕事は、そんなわたしの願いを常に叶え続けてくれています。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2019-07-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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