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だから、私は、フットプリントをもっとベタベタつけて生きていこうと思う


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ブロムベリひろみ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
みなさんは自分のカーボン・フットプリントを意識しながら暮らしていますか?
 
「カーボン・フットプリント=炭素の足跡」とは、人間や企業の行動に伴って出る温室効果ガス排出量のこと。私達の活動が環境に与える影響を数値化して把握しようとする試みです。例えば、飛行機での移動は二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量が高く、これをやめることで自分のカーボン・フットプリントを減らすことができます。そう、フットプリントは減らすべきものです。
 
私の住んでいるスウェーデンでは、去年、それまで経験したことのない暑い夏となり、今年にはいってもその傾向は続いています。国内で一番高い山の頂上の万年氷が溶けて標高が変わってしまったり、北極圏の氷河がなくなりはじめたりと、気候温暖化、気候変動について多くの人が意識せざるをえない状況となっています。
 
そんな中、飛行機で旅行するのは恥ずかしいことですよ、という意味の「飛び恥」という流行語もでてきたことで、実際に飛行機を使った国内移動が減り、それが国内航空会社の業績に影響を与え、さらにその会社の従業員の大量解雇へつながったりと、カーボン・フットプリントの削減を考えることで人々の行動が変わり、社会のありかたにも影響を与え始めています。
 
また、これをビジネスの契機として捉える北欧の会社も増えてきました。
 
例えばノルウェーのDuckyというスタートアップでは、私達の生活で排出されるカーボン・フットプリントを簡単に測定してくれるソフトウェアを開発していて、それを無料で誰もが使えるように提供しています。
 
Duckyのツールを使えば、今日自分がどれくらい電力を使ったのか? 所有している車のメーカーと型番は何で、今日は何キロ走行したか? ランチにはハンバーガーを食べたのか、それともシュリンプサンドイッチだったのか? などなど、自分の行動をログするだけで、温室効果ガス排出量をリアルタイムで計算してくれ、日々の行動をどう変えれば持続可能な未来へとつなぐことができるのかを、ゲーム感覚で学ぶことができます。
 
また、スウェーデンのDoconomyが開発中の「DO」というクレジットカードは、そのカードで買物をすると、購入した商品の製造と配送に要したカーボン・フットプリントを計算して教えてくれます。
 
そして、このカードにはプレミアム版があって、目標とするカーボン・フットプリントのリミットを超えてしまうと、それ以上買い物できなくなるそうなのです!
 
スウェーデンでは、カーボン・フットプリントに関する考え方だけでなく、キャッシュレスもとても進んでおり、日常の買い物で現金を使わず、ほとんどがクレジットカードでの決済となっている今、カードが使えなくなってしまうサービス(?)は結構インパクトがあります。
 
そしてカード決済や個人間の少額決済まで、キャッシュレスでお金のやり取りのほとんどすべてがデジタル化されているこの国では、すべての経済活動のフットプリント(足跡)情報が残されているということになります。
 
さらには、高等教育や納税情報やら病歴などの情報も、対象エリアごとに国全体で共有されているITシステムで管理されており、日常の行動のすべてのフットプリントが毎日毎日デジタルで記録され続けています。
 
まさに究極の管理社会なのですが、私は今のところスウェーデン政府など、情報を管理する側を信頼しているので、この状態が脅威だとは思っていません。
 
いや、私は委ねるだけでなく、さらに自分から進んでグーグルマップで毎日の自分の位置情報も管理し、さらにグーグルフォトで、撮影した写真に位置情報を関連付けたりとフットプリントを至るところにつけながら暮らしています。
 
特にやましいことがあり身を隠したい犯罪者でもなければ、人気のセレブでもないので、今のところ生活になんの問題もありませんが、たとえ自ら望んだとしてもこのような各種フットプリントをつけないで暮らすことは、もうスウェーデンでは無理でしょう。
 
しかし、そんなスウェーデンでも管理できていないフットプリントがあるとすれば、それは「インプレッション・フットプリント= 印象の足跡)」とでも呼ぶべきものでしょうか? 聞き慣れないこの単語は、今、私が作ったものですが、日々、人とのやり取りの中での自分の言葉や言動が、他の人の心や感情に残したフットプリントのことを指しています。
 
デジタル化が進み、自分の送ったメールは開封されたのか? ブログの記事は何人がどれくらいの時間をかけて読んでくれたのか? ファイスブックにはいくつの「いいね!」がついたのか、などはきっちり計測できる時代になりましたが「インプレション・フットプリント」はちょっと違います。
 
ふと投げかけられた言葉への自分の返事が仮に「はい」であったとしても、その場限りで忘れてしまう「はい」もあれば、なにかある度に思い出し、心に深く刻まれる「はい」もあります。その時の心の弾みや熱量や震えなどは受け取った人のみぞ知る。幸いにして、今のところは。
 
私が「インプレッション・フットプリント」を考えるようになったのは、去年、とても大切に思っていた友人が他界したのがきっかけでした。事ある度に思い出す彼女の笑顔の、わたしの心に占めるフットプリントの大きいこと!
 
そういえば、街で見かけただけの人、なにかのパーティで一言二言、言葉を交わしただけの人であっても印象に残る人はいて、その人達のフットプリントの影響で時には自分の行動も変わっていることにも気が付きました。
 
そんな風に思うと、これまでは僭越だから、余計なことだからと、ちょっと遠慮していたところもあった私ですが、これからは自分の「インプレッション・フットプリント」をいろんなところにつけたくなってきました。
 
街で困っている人がいたら助けるとか、もう言わなくてもわかっているだろうからとこれまではわざわざ口にしてなかったことを言ってみるとか、とても嬉しいときにはありがとうを100回言ってみるとか? そんなことで、フットプリントをもっとつけることはできそうです。
 
これから死ぬまでにどれくらいの「インプレッション・フットプリント」をつけることができるのかは私にも未知数ですが、まずは、カーボン・フットプリントは抑えて、インプレッション・フットプリントはベタベタと。これからは自分のフットプリントを意識して暮らしていこうと思っています。
 
 
 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2019-08-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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