メディアグランプリ

家事をしても、6時


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記事:野村明子(ライティング・ゼミ 平日コース)
 
 
「3時半か……」
 
ハッと起きて、じっと時計をみる。また、やってしまった。ここのところ、リビングのビーズクッションで寝てしまうことが多い。電気もテレビも控えめとはいえ、つけっぱなし。やれやれ。
 
不思議なことなのだけれど、リビングで寝てしまうことが増える以前、どうやって区切りをつけて、寝室に移動していたのかが思い出せない。
 
10月の資格試験まで半年を切り、そろそろ始めるだけ始めておかないと、と思い、4月に各社が発売すると同時に買った過去問題集をようやっと開く。仕事から疲れて帰って、お夕飯でお腹が満たされた後に、勉強ができるはずもなく。といって、ゴールデンウィークに計画した、熊野旅行が頓挫してしまい、まるっと暇になったからといって、急に勉強に身が入る訳でもなく、連休の夜を持て余していたのが始まりだった。変な時間に寝て、変な時間に起きる。
 
セットするだけして、一向に始まらない、早起きのきっかけをつかむ。お、リビングで寝ると、変な時間でも起き出すのが億劫じゃないな。最初は、夜中に目が覚めて、起き出してすることは、テレビと電気を消し、寝室に移動して寝直すことだった。それが、続くうち、このままあとちょっと寝て、「ほんとは起きたい時間」に起きてみるのはどうだろう、ということになる。試した結果、意外と、うまくいった。
 
ほんとうに起きたい時間、それは、朝5時だった。
 
特に、意味はないのだけれど、5時に起きれば、コーヒーを淹れて、目覚めてから出かける準備を始める時間までに1時間ある。勉強も少しはできるだろうというのが、朝5時だった。
 
起きることは、できるようになった。
 
しかし。勉強は、一向にはかどらず。コーヒーを淹れる前に、昨夕の食器を片付け、朝の光に晒され、あちらこちらに光る、油汚れやほこりたちをついでに掃除する。出勤までに干せるぎりぎりの時間から逆算して、洗濯機を回す。干すということは、干してあるものをしまわなくてはならない。
 
意外にも、一番充実を感じたのは、家事であった。
でも、何か違う。早起きをして、私がしたかった「朝活」は家事ではなかった。勉強ではなかったのか?
 
もやもやを抱えつつも、家事を済ませて出勤する朝の清々しさに魅了された私は、毎日ではないとはいえ、早起きが板についてきた。そんなある休日のことだった。予定のない休日は、アラームをかけず、好きなだけ寝ようと思っているのだけれど、アラームが鳴らずとも、朝4時57分頃自然と目覚めることが多くなっていた私は、その日もふと目を覚ました。
 
いつもと、同じく、ひととおり家事をこなす。家事をしても、6時。
 
約束は、ランチの予約が12時だから、鎌倉駅に11時45分、というものだった。10時半に家を出れば、十分だから、9時過ぎから準備すれば、余裕。まだ3時間もある。コーヒーを淹れて、机に向かう。これまで、なかなか集中できるタイミングがみつからなかったのだけれど、ここだった。休日の早起きこそ、早起きの醍醐味だったのだ。
 
そこからは、もう、毎週末が楽しみになった。朝、やるべきことを十分やって、9時。気が向けば、朝ごはんを食べて、そのまま机に向かい続ける。午後は、少し出かけるか、昼寝をするか。これまでは、山積みだった「休みにしたい、あれやこれや」に翻弄されていたのだけれど、平日の朝に、ついで家事として済ませているので、休日は、平日の穴埋めではない、真の休日となり得る。
 
いつの間にか始まった、私の早起きサイクルであるが、ひとつだけコツがある。早起きしようとして、早く寝ても、起きられないということだ。急に、早く寝ても、なかなか寝付けない。結局、早起きは始まらない。早起きの習慣がない人が、明日の早起きに望みを託して、やるべきことをやらずに寝るのは、ちょっと待った! まずは、何も要件のない3日ほどが確保できたら、起きられたらラッキーくらいの気持ちで、早起きに挑戦してほしい。元本保証、一週間満期の投資とでもいおうか。
 
早く起きるから、早く眠くなるのだ。早く寝るから、早く起きられるのではないのだ。そこを、勘違いすると、なかなか早起きサイクルには入れない。一度でも、起きられたら、そこが始まりだ。
 
かくして、ついに、早起きの価値を実感するに至った。残る課題は、寝室で寝ても、早起きができるかどうかである。
 
毎朝、起きるのが楽しみ。
毎週末は、もっと楽しみ。
なんと幸せな日々よ。
 
 
 
 
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2019-08-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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