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やったよ、ヘアドネーション!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:浅倉史歩(ライティング・ゼミ夏休み集中コース)
 
 
やった! やったよー!!
念願のヘアドネーション、ついにやりました!
 
ヘアドネーション、それは文字通り「髪の毛を寄付する」こと。
寄付された髪の毛からは子供用のウィッグ(かつら)が作られて、小児がんや先天性の脱毛症、不慮の事故などで髪の毛を失った子供たちに無償で届けられる。
「自分の髪が抜け落ちる過程での精神的ショックや、頭髪が無いことで受ける大きなストレスのせいで、心を閉ざしてしまったり家の中に閉じこもったりしてしまった子供たちが、少しでも前向きな気持ちになる手助けなればいいですね」というコンセプトで行われている一種のボランティア活動である。
アメリカが発祥だがこの数年、何人もの芸能人が活動に参加したこともあり、日本でも認知度が高まってきた。
 
私がこの活動を知ったのは、今から3,4年間のこと。
髪の毛を伸ばしていた友人が、ざっくりカットしていたことがきっかけだった。
「世間の役に立てるのはとてもありがたく幸せなこと。子を持つ親としては、辛い思いをするよその子供たちのためにも力になりたい」と、淡々と語っていた。
 
その時の私のヘアスタイルといえば、肩を少し過ぎたあたり。
適当に伸ばしてはイメチェンのために短くし、また伸ばしてはカットするというサイクルを何年も続けていた。
ヘアスタイルに特にこだわりはなかったが、結べるほうが楽ちんなのと、仕事柄ヘアアレンジしやすいほうがいいという理由で、カットしたとしてもすぐに伸ばせるスタイルをキープしていた。
が、「髪の毛伸ばすだけでそんな人助けができるなら、私もやってみよう」と軽い気持ちで、そこからは意図的に伸ばし始めたのである。
 
だからといって特別に何かするわけではない。
「伸び放題でこんなに長くなりました」ではなく、毛先そろえる程度でカットもしていた。
「髪の毛伸びたねー」と言われるたびに、伸びたことを実感できるのがうれしかった。
 
ちなみに髪の毛を寄付するに当たり、最低限必要とされているのは30センチである。
それがフルウィッグを作製するために必要なぎりぎりの長さらしい。
ただ、一人分の髪の毛で一つのウィッグができるわけではないし、寄付したから終わりでもない。
一つ作るためには約30人分の髪の毛が、そして作製は手作業のため完成までに約3年を要するというのだ。
 
なお寄付が子供用ウィッグのためというのも理由がある。それは、子供はひとつのウィッグでは済まないから。
体の成長に合わせて洋服のようにウィッグのサイズも変わってくる。しかしそれなりのクオリティのウィッグは決して安くなく、ただでさえ治療費がかさむ家庭には大きな負担になる。だから、そういう家庭、子供たちに寄付するのだ。
 
しかし、25センチを過ぎたあたりから、だんだんしんどくなってきた。
これまでのペースで髪の毛が伸びないのである。
年を取ってくると毛根が弱ってきて、髪の毛の成長も滞ってくるという現実に直面。
「加齢」といううれしくない現実が目の前に突き付けられたのも、精神的にちょっとショックだったし。
 
しかも一定の長さになると、髪の毛も結構重たい。
頭皮がひっぱられてアタマが疲れてくるし、肩こりの一因にもなる。
もともと頭痛持ち、慢性肩こり性の身には、これが正直辛かった。
肉体的にも精神的にも自分の髪の毛ながら持て余すようになっていて、「自分がしんどい思いをしてまでヘアドネやる意味あるのかなー」と弱気キャラも出てきたりして、心が折れそうになったのは事実である。
 
それでもヘアドネーションにこだわったのは、自分なりの小さな理由がある。
それは「世界に自分の足跡を残したかった」という願いをかなえたかったから。
なんだか大げさに聞こえるが、決してそういうわけではない。
私には子供がいない。自分が死んだら、生きた証が何も残らない。
そんな私が残せるもののとして……
軽い気持ちで「やってみよう」と思ったヘアドネーションだが、人生の節目の年齢が近づくにつれ、こんな願いを込めるようになっていた。
 
そしてついにその日はやってきた。
ヘアドネーションの協賛美容室を検索して予約をする。
(どこの美容院でもドネーション用のカットをしてくれるわけではない)
お店の方は手慣れたもので手際よく長さを測り、「まずは伸ばしてくださったあなたの優しさを写真に残しましょう」と、後ろ姿を撮影してくださる。
カットしたあとのヘアスタイルも雑誌を見ながら決め、いざブロッキングスタート。
「ではいきますよ」という声ではさみが入る。
一つの束がカットされるごとに、アタマが軽くなっていく。
同時に何かが誕生するようなわくわく感が何とも言えない。
そして全部の束をカットした後の髪の毛は……
 
「手にしてみると、軽いじゃん!」
「束にしてみたら、こんなに小さいの?」
というのが率直な感想。でもなんだかとっても感慨深い。
(なお、カットした髪の毛をNPO法人に送るための送料は美容院負担と聞き、これまた驚いた。)
 
ざっくりカットしてもらった後のヘアスタイルは、結構気に入っている。
当初雑誌で見たイメージとは違い、カリメロ(1970年代のアニメキャラクター)みたいになってしまっているが(笑)、周囲からもなかなか評判いい。
カットした理由を話すことで、ヘアドネーションを知ったという人も少なくないし。
 
軽い気持ちで始めた活動だが、「自分の生きた証は、ウィッグという形で残るだけでなく、活動を知ってもらえるということでも残っていく」ということもわかった。
またウィッグを使っていた子が成長してサイズが合わなくなると、それは次に必要としている小さな子供たちへと受け継がれていくということも知り、さらに喜びが深まる。
 
結局幸せと感動をもらったのは自分じゃん!と気づいた2019年の夏は、最高の夏。
ヘアドネーションを教えてくれた友達に感謝! 活動してくださっているすべての関係者に感謝!
なお2回目は、気力があれば……かなぁ。
2022年ごろの自分が楽しみ。
 
 
 
 
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2019-08-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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