fbpx
メディアグランプリ

自分が決めた道を正解にするということ〜ここがロードス島だ、ここで飛べ〜


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:前野 友里(ライティング・ゼミ夏休み集中コース)
 
 

中学校まではみんな同じように思える道だったが、高校、大学、社会人、結婚、転勤、転職など、年をとるほど人は選択をして違う道を進む。
どの道を選ぶことが正解か。誰しも一度は考えると思う。
迷いに迷って分からなくなった時に、少し突破口になるかもしれない言葉を紹介したい。
話は、私が大学受験に落ちた春に、さかのぼる。
 
 
2011年3月11日、大変なことが起きた。
 
 
3月10日に一年浪人した末に国立大学の入試に落ちた私は、その翌日テレビでみる凄まじい光景に、自分の悲しみなんてちっぽけで、生きているだけで十分だと思わされた。
前を向いて生きないと、と思った。
第一志望に落ちたものの、幸い第二希望の関東のK大学へ進学を予定していた。
私は早くもK大学で送る華やかな東京生活を楽しもうと切り替えつつあった。
 
 
しかし、震災の影響で関東はゴタゴタしていた。
入学式さえ実施されるのか分からない状況だった。
関東へ一人暮らしの物件を見に行っても、街は節電対策で暗かった。
そんな関東のただならぬ様子を見た両親はK大学への進学に反対した。
結局関西のD大学へ進学することになった。
そこは、私の高校の内部進学先でもあった。
一周回って同級生の後輩になったのだ。
なんのための浪人生活だったのか。
こんなことなら、夢を見て他大学受験なんてしなければよかった。
一気に暗い気持ちになった。
 
 
なんとか気力を振り絞って、同じ浪人生活を共にした友達と出席した入学式。
友達の友達という初対面の人から、心ない言葉を浴びた。
「高校からそのままD大学へ進学できたのに、わざわざ受験してバカじゃないの」
 
 
ドン底の気分だった。
やはり、この道を選ばなければよかった。
この先4年間、私はずっとこんな思いを引きずるのだろうか。
 
 
一刻も早く、この場を立ち去りたい。
そう思った時、学部長が祝辞を述べはじめた。
 
 
「皆さんは、どうしてこのD大学に来られましたか。第一志望で来た人もいれば、付属高校の内部進学先だから来た人もいれば、本当は東京の大学に行きたかった、国立大学に行きたかった人もいるでしょう。」
 
 
何を話し始めるのか、気になった。
ご入学おめでとうございます、という祝辞には飽き飽きしていた。
 
 
「理由はどうあれ、最終的には皆さんの責任で、この大学を選んだのです。イソップ寓話で、ほら吹きの男の話があります。彼は『ロードス島で行われた大会で自分は走り幅跳びの記録を出した。ロードスの人間に聞いてもらえればわかる』と自慢をしていました。これは嘘なのですが、その話を聞いた一人の男が言ったのです。『ここがロードス島だ。ここで飛べ』と。この大学は皆さんが選ばれたロードス島です。ここで飛べない人間が、別の島に行って大きく飛べるとは、私にはとても思えません。自らが選んだロードス島という自覚をもって、この島で大きく飛んでいただきたいというのが私のお願いです」
 
 

頭をガツンと殴られたような気持ちになった。
そうだ、私は言い訳をしていた。
行きたかった大学にいければ、理想の自分になれると思っていた。
でも、大事なのは、どう頑張るか。選んだ道を正解にすることだった!
 
 
腐っている時間が、もったいない。
そこからの私は、いろんな人に出会った。
 
 
奇しくも同じく国立大学に落ちてD大学へきた先輩と出会い、ファッションショーや農作業体験など興味の赴くままに挑戦した。
大手ITベンチャー企業のインターン面接でも、同じくK大学ではなくD大学を選んだ先輩と意気投合し、インターンで貴重な経験をさせてもらえた。
D大学が提携している大学で、ある大企業の役員の講義を聞き、感銘を受けて就職することになった。その会社は私に合っていたようで5年続けている。
 
 
D大学のゼミで出会った友達は、今も付き合う一生の友達だ。
 
 

D大学を選ばなければ、そこで前向きに飛ばなければ、今の私はなかった。
 
 
もはや終身雇用の時代ではなく、私が勤める会社でも人の入れ替わりは多い。
どのような働き方をしたいのかも多様な選択肢がある。
仕事だけではなく、誰と結婚するか、どこで暮らすか等、選択しなけければならないことはたくさんある。
どの道を選ぶことが正解か。
どこか別の理想的な環境があって、そこに行きさえすれば自分はもっと自分の力を発揮できるのだと思ってしまう。
でも正しい道を選択することに気を取られすぎるのではなく、選んだ道を正解にしていくことの方が重要なのだろう。
「ここがロードス島だ。ここで飛べ」

 
 
 
 
 

***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜《8/11(日)開講!!》

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


2019-08-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事