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メディアグランプリ

【 開業医の日常  仕事とは? 】


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:谷やん(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「白い巨塔」というテレビドラマが最近リバイバルされた。
 
テレビの中ではⅤ6の岡田准一さんが主演の外科医を演じていた。
 
昭和40年代、はじめてドラマ化された頃は田宮二郎さんが主演の財前教授を演じていた。
 
かっこよかった。
 
私はその姿に憧れて、外科医になった。単純な動機だ。
 
研修医になって、初期研修の修行をしたのも舞台になった阪大病院だった。
 
颯爽と手術場に入って、テレビの主人公のように手洗いをして、
 
「手術を始めます。 メスください」というセリフを発して、
患者さんの開腹手術をしていた。
 
一般外科の手術は何でもこなした。
 
胃がん、大腸がん、肝臓がん、乳がん、膵臓がん、自分のメスで患者さんを治したいと考えていた。
 
その頃の仕事の対象は病気、それも人類の敵であるガン細胞だったかもしれない。
 
でも、今は違う。
 
今の仕事の対象は患者さんのお困りごとだ。
 
今年でクリニックを開業して15年目になる。
 
開業医だから、そのお困りごとの中には病気の事も当然多い。
 
でも、それ以外のどんなお困りごとにも真剣に向き合っている。
 
例えば、ある日の仕事は、80代前半の常連の患者さんの魚の目を削ることだった。
 
「先生、足の裏の魚の目削って〜!」
 
「仕方ないなぁ〜、でもちょっと待ってや、診察が途切れたらやるから 」
 
「わかった、いつまででも待っている」
 
お年寄りになると、みんな体が硬くなり自分の足のケアーができなくなる。
 
だから、足の爪の処置や魚の目処置も自分で出来なくなり本当に困っておられる。
 
ということで、
 
東急ハンズで買った市販の魚の目削りで、彼女の足の裏の魚の目をゴシゴシ、
 
そういえば、5年前に亡くなった母親の魚の目を削ってあげたこともなかった。
 
自分のお袋にもしたことのない魚の目削りを今は患者さんのためにしている。
 
「せんせ、ありがとう。魚の目もきれいになって、痛くなくなったわ」
 
診察が一段落して、往診に行こうとクリニックの廊下を歩いていた時だった。
 
前を見ると、トイレから出てきた80代後半の男性の患者さんが歩いていた。
 
ふと見ると、その男の患者さんのズボンの後ろが、何か茶色いもので汚れている。
 
まさか!
 
と思ったが、ぷ〜んと臭ってくる。
 
「Hさん、ちょっと待って。」と呼び止めて、トイレを覗いてみると、一面ウンチの海だった。
 
なんでこんなことになるの? 呆然としてしまった。
 
その人は少し認知症のあるご老人だった。
 
でもクリニックには普通に通われていたので、まさか、ここまでひどいとは思ってもみなかった。
 
聞いてみると、Hさんの家は、和式トイレで洋式トイレに座ったことがない。
 
それで、洋式トイレの上に座って、いつものように用を足していたらしい。
 
それで便器から便がはみ出して床に散乱してしまった。
 
それを自ら踏んで床を汚していた。
 
というわけだ。
 
それに気がついた後で、スタッフ一同、床の大掃除をした。
 
正直、私もスタッフも凹んでしまった。
 
しかし、こういう現実は、医療や介護の世界では日常茶飯事の起こる事だ。
 
その、おもらししたHさんが、
 
「せんせい、5日間便が出てなかったので、すっきりしたわ。ありがとう」
という言葉にちょっと救われた気がした。
 
どこの業界でも大変なことはあると思う。
 
でも、医療や介護の仕事は、その方の日常生活が身体や心の状態に直接かかわってくる仕事だ。
 
だから、食べること、寝ること、歩くこと、着ること、入浴すること、排便すること
 
そんな、その人の基本的な行動が、生活に、そして心や身体に直接関わることが多くなる。
 
人は年齢を重ねると、そういった当たり前の行動ができなくなり、日常生活が困難になる。
 
それを支えるのが、医療や介護の現場なのです。
 
基本的な生活や身体のことに関わるから、人との繋がりが深くなるが、逆に嫌なことも多く経験する。
 
それでは、なんでそれを仕事にするのか?
 
それは嫌なことも経験するが、それ以上にいいことの方が多いからです。
 
そのひとつは、患者さんからの
 
「ありがとう」のひとこと
 
その一言をいただけるから、救われるし、何とかやっていける。
 
それはどの業界でも同じだと思う。
 
人のお困り事を解決し、少しでもその人の役に立つこと
 
それが、仕事ではないだろうか?
 
仕事とは、頼まれ事。
 
そして、
 
仕事とは試され事。
 
そして、
 
仕事とは自分のお役目を果たすこと。
 
自分の選んだ仕事を通して、人のお役立ちをし、人を喜ばすこと。
 
人のお困りごとを解決し、お役に立てることが大きければ大きいほど、社会からのニーズが高まり、社会からも必要とされ信頼が広がっていく。
 
喜んでくれる人がいる限り、この仕事を続けていく。
 
だから、どんなことも拒否せずに、私ができることをただ淡々とやっていく。
 
開業医の仕事は世の中のお困りごとの解決、
 
いや、開業医の仕事だけじゃない、
 
世の中の全ての仕事は、
 
人のお困りごとの解決だと思う。
 
「白い巨塔」のような、華やかな外科医の世界ではないけれど、
 
開業医の仕事は、私の天職。
 
これが、私の選んだ仕事、
 
これが、私の選んだ道。
 
 
 
 
***
 
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2019-08-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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