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当たり前と言う前に過去に思いを馳せよう


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:松熊利明(ライティング・ゼミ平日)
 
 
「皆さんは電車の時刻表って持っていますか?」
 
スマホではなく紙の時刻表のことである。
今では紙の時刻表を使っている人はほとんどいないだろう。
 
私が子供の頃は、電車に乗る時には必ず持参していた。
いつも乗り慣れている電車ならまだしも、普段乗らない路線に乗る時はなおさらだ。
 
電車の乗り換えの時などは乗り換え時間をなるべく少なくするために、どの電車に何時何分に乗って、どの駅で何時何分に乗り換えるのが最適なのかなどを真剣に考えていた。
 
一種のパズルのようなものである。
子供の頭では正しい答えに到達する事は難しく、最終的には親が決めていたのだが。
 
当時はそれが当たり前だった。
 
地図だってそうだ。
 
今でも紙の地図を使っている人もいるとは思うが、当時はそれしかなかった。
どこか遠くに出かける時は必ず持参していた。
そうしないと、知らない土地では目的地までたどり着けないからだ。
 
その地図自体も縮尺が大きくて見にくかったり、目的地が思っていたページにはなく、目的地を見つける前にそれが載ったページがどこにあるのかから探す羽目になる事も度々あった。
とにかく、事あるごとに地図と格闘していたのを思い出す。
いわば、知らない土地に行くのは一種の冒険ゲームの様になっていたのだ。
 
でも、当時はそれも当たり前だった。
 
先日、私は生まれてから一度も行ったことがない場所に旅行に行った。
 
観るものや食べるものが私の地元とは随分と違っていて、とても刺激的で旅行自体は楽しかったのだが、ことさら移動に苦労した。
 
なんせ初めての場所なのだ。
どこに駅があり、どんな電車が走っていて、どこに行けるのか。
バス停は近くにあるのかなど、さっぱりわからない。
 
そんなときに役に立ったのが「Googleマップ」だ。
 
出発地と目的地だけ入力すれば、いつ、どこに、どのような手段で行けば、何時何分に目的地に着けるのかなど、最適のルートを瞬時に教えてくれる。
人間はただ、Googleマップが教えてくれた通りに進めばいいだけだ。
きっと、昔の人からすれば魔法の様なアイテムだろう。
 
でも、いつしかその便利さが自分の中で当たり前になっていると感じた。
一瞬で答えがわかる事が普通になっている。
 
オススメのお店を探す時もそうだ。
GoogleやYahoo!の検索で店名を入力すれば、そのお店の場所や営業時間、評判まですぐに調べられてしまう。
 
これが当たり前になっている現実に、ふと恐ろしくなる時がある。
でも、現代に生きる一般的な人たちの感覚は、おおよそみんな同じなのではないだろうか。
 
一昔前までは、紙の時刻表や地図をかばんから出して、それを真剣な眼差しで
眺めている光景を、町のあちらこちらで見ていた記憶がある。
 
その場合、目的地に着くまでに時間もかかるし、頭も使わざるを得なかった。
当時はそれしか手段がなかったから、その事自体、別段誰も何も思わなかった。
 
もし、今その当時の手段しか使えないとしたらどうだろう。
みんな、文句も言わず紙の時刻表や地図を見ながら旅行ができるだろうか。
おそらく難しいだろう。途中でイライラして旅行自体を楽しめなくなるかもしれない。
 
便利さは自然にもたらされるものではない。
便利さの恩恵を受けているのは、「誰か」のおかげなのだ。
 
Googleマップを使えているのは、それを開発した人がいたから。
Googleマップを見れるのは、それを見るための媒体(スマホやタブレット)を開発した人がいたから。
スマホやタブレットが使えるのは、その内部を構成しているCPUやバッテリーを開発した人がいたから。
 
そんな風に考えていくと、既にこの世には存在しないご先祖様も含めた自分たちの先人たち一人一人が、自分たちが知らないところで日々努力を積み重ねてきた結果によって、今の便利な世の中が形作られている事を知ることになる。
 
今を生きる私たちの足元には、何百年、何千年も前から続く人々の人智が、まるでピラミッドのように積み上げられていて、今を生きる人たちを支えてくれているのだ。
 
考えてみてほしい。
 
あなたがいつも通勤や通学で通っている道路は、100年前には荒れ果てた砂利道だったかもしれない。
それが、今ではアスファルトで舗装されて快適に通れる道路に変わっている。
 
食べ物だってそう。
今は美味しいご飯が食べれている。何もせずに勝手に美味しいお米ができるはずがない。
美味しいお米を作るために、何世代も前から品種改良を重ねるなどして努力をしてきた人たちがいるから今がある。
 
何事も当たり前ではない。
 
そう思って生きていこう。
 
 
 
 
***
 
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2019-09-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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