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メディアグランプリ

無駄を求めてメイク講座を受けたら、無駄が省けちゃった話。


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
記事:坂元沙也可(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「あー! 無駄なことしたい」
ここ最近、仕事で数字やデータを追ったり、優先度を見極めたり、合理的な判断ばかりを迫られる期間が続いていたためか、仕事とは一切関係がなく、合理的ではない何かを求めていた。
 
そんな時、目をつけたのが「メイクを習うこと」だった。
 
毎朝のルーティンのなかでも、メイクは優先度がダントツに低く、いかに効率よく済ませるかという対象だ。メイクを始めてから、およそ20年。技術を磨くよりも、効率を上げることに専念した結果、メイクに割く時間は、いまや5分。BBクリーム(日焼け止め、下地、ファンデーションが一緒になったもの)を指でペペペッと塗り、粉をパッとはたいて、マスカラをシャッと塗る。たまに眉毛を書き忘れて出勤してしまうのだが、前髪があるので、問題ない。
いわゆる「女子力」が低いのは子供の頃からで、母のメイク道具を見てもときめくことはなく、おままごとをして遊ぶよりも、秘密基地を作ったり、裏山を探検するほうが好きだった。
 
私にとって「メイクをする」ことは「パンツを履く」のと同じだ。
 
履いていなかったら恥ずかしいし、履かずに会社へ行くことはできない。履かざるを得ないから履く。つまり「メイクを習うこと」は、お金を払って「パンツの履き方を学ぶ」ようなものだ。これぞ無駄。早速、講座を見つけて申し込んだ。
 
私が受けた講座は、全3回のコース。「似合うカラーとテイスト」を分析した上で、その人にあったメイクを、プロのメイクアップアーティストの方が教えてくれるというもの。
 
初めに行われたのが、自分に似合う「色」を知ること。
120色の布を顔のあたりに置いて、肌がきれいに見えるか、くすんで見えるかなどを基準に、似合う・似合わないを判断していく。好きな色と、似合う色は違う。それは、これまでに何度となく服で失敗をしているので、薄々わかっていた。「青」と一口に言っても、緑寄りの青、赤寄りの青、深い青、明るい青、くすんだ青と、幅は限りなく広い。微妙な色味のズレがあるだけで、同じ青でもびっくりするほど似合わないのだ。
 
診断の結果、私は「濁色よりも清色」で、明るさで言うと「暗め(濃いもの)」が似合うそうで、つまりは、柔らかくて淡い色味が似合わない。似合うと言われた色味は、手持ちの服に当てはまるものも多かったので「よし、そんなズレていなかったな」と、答え合わせができたような感じだ。
 
次に行われたのが、似合うテイストを知るというもの。
縦軸に「女性的か男性的か」、横軸に「静的か動的か」という指標がある表の中に、22種類のテイストが散りばめられている。先に行った「色」の診断結果と、顔のつくりなどをベースに似合うテイストを分析するというものらしい。その表を見ただけでは、自分がどこに位置するのか判断できなかった。
 
診断の結果は、男性的で、少し静的寄りにある「ハードモダン(宇宙系)」をベースに、ちょうど中央に位置する「ナチュラル(オーガニック)」の要素が入っている、というものだった。
診断結果だけ聞いても、なんのこっちゃわからなかったが、「芸能人で言うと、夏木マリさんや、椎名林檎さん、深田恭子さん」という例えで、少しだけイメージが湧いた。けれど、まだ自分には置き換えられない。ハードモダンの下に小さくカッコ書きで書かれた「宇宙系」の文字が気になった。アルミホイルみたいな素材感の服が似合います! 眉毛は全剃りがおすすめ! とか言われたらどうしようと思っていたけれど、要約すると「突拍子も無い格好でも、着こなせちゃう人」みたいな感じらしい。シャープで、癖のあるスタイルが似合うとか。「イッセイミヤケとか、似合うと思いますよ」と言われたので、とりあえずメモを取った。
テイストがもつ内面性についての説明で、「ハードモダンは、合理的な考え方をする方が多いです。職業だとデザイナーさんが多かったりしますね」と、職業まであたっていて、「うわ、こわっ!」と思った。
 
最後はいよいよ「似合うメイク」。
その人のテイストに合ったメイクを、先生が提案してくれるというものだ。メイクで気になることがあるかと聞かれたので、「まん丸顔がコンプレックスで、メイクすると血色のいい大福みたいになるんです」と答えると、凹凸のあるシャープな感じに仕上げることに決まった。
 
手持ちの化粧品の中から「あー、これとかいいですね」と言いながら、先生が必要なものをピックアップしていく。
私は口紅を一本も持っていなかった。アイシャドウ以上に自分に似合う色がわからないからだ。「ぴったりなの、ありますから」といって、太めの鉛筆のような口紅を取り出した。色味は、ほぼ茶色だ。今まで一度も試したことのない色だった。
 
仕上がった顔を見て、驚いた。おお、なんかかっこいい! ひょうきんベースの自分の顔が、まさかかっこいい方面に動くとは。プロって、やっぱりすごい。初めて見る顔なのに違和感がないという、不思議な感覚だった。
 
鉄は熱いうちに叩くべし! と、早速講座の帰りに使用したものを買いに行った。開催場所が新宿だったこともあり、高島屋の化粧品売り場に寄ってみる。すると、これまで苦手意識を持っていた売り場が、怖くなくなっていた。自分に必要なものがわかったことで「これ人気ですよ」「新色なんです」などの声に、惑わされなくて済むのだ。自分に似合う色味を多く出しているブランドも、ある程度目星がついた。こんなにも無駄買いと無駄足が省けるとは。なんとも合理的。
 
あれ、合理的? そう、無駄なことしたいと受講したメイク講座は、大変合理的だった。自分の思考が合理的なので、なんでもそう捉えてしまうだけかも知れないけれど。
それにしても、似合う色やメイクの基本を知るのは、汎用性のある知識だと思う。社会に出てからのメイクの使用頻度を考えたら、授業科目のひとつに入れてもいいんじゃないかとさえ思えてきた。
義務教育課程でなくて良いし、女子校限定でもいいかも知れない。国語・算数・理科・社会・英語の5教科に並ぶとまでは言わないけれど、家庭科や書道、美術などの選択科目に「メイク」があってもいいんじゃないだろうか。「彫刻刀セットよりも、メイクブラシ一式の方が、あとあと役に立つんじゃないかな」そんなことまで思うようになっていた。
 
 
 
 
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2019-09-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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