第2回:販売品より香り高い! 簡単柚子こしょう作り《マンションの1室で簡単にできる! 1時間で仕込む保存食作り》
2021/12/27/公開
記事:赤羽かなえ(READING LIFE編集部公認ライター)
1時間あったら、いつもは何をされますか?
この連載では、マンションの1室で簡単にできる『1時間で仕込む保存食作り』についてご紹介します。日本に昔から伝わってきた美味しい保存食の知恵を、狭いマンションでも手軽に楽しめる工夫も含めてお伝えしますね。
今回は、柚子を使って柚子こしょうを仕込みます。
私が柚子こしょうと出会ったのは、社会人になってからなので20年ほど前でしょうか。九州が本店のラーメン屋さんに置いてあって、関東では、当時、珍しい調味料でした。緑色のペーストはわさびのようですが、柚子の香りと辛味、塩味が絡み合って、クセになる味わいにハマってしまいました。
「こしょう」と言うと、西洋のこしょうを連想しますが、柚子こしょうの「こしょう」は九州では唐辛子のことを指すそうです。
柚子こしょうは、緑色のものと赤い色のものがありますが、これは、唐辛子の色の違いです。生の青唐辛子で作りたい場合には、青唐辛子と青柚子が出回る9月くらいまでに作らないといけません。青唐辛子と青柚子が手に入らなくても、冬の間は生の赤唐辛子と黄色い柚子で赤い柚子こしょうが作れます。
味わいにはあまり差がありませんが、あの色鮮やかな緑色の柚子こしょうが作ってみたい! という方は、ぜひ9月に材料を仕入れて下さい。私は、忘れないように毎年9月にカレンダーの予定に書き込んで生の青唐辛子と青柚子を購入するようにしています。材料の青唐辛子はホールのままだったら冷凍保存が可能なので、材料がそろわない時には冷凍しておくいいでしょう。
今回の仕込みは、生の唐辛子が手に入らない時でも作ることができる方法をお伝えします。
生の唐辛子が手に入らない時には、一味唐辛子を使います。日本の唐辛子は辛味が強いので、甘味と旨味の強い韓国唐辛子の粉がベストです。
仕込んで1週間ほどで使えるので、お鍋の時期にも間に合います。柚子こしょうが嬉しいのは、お鍋を食べるつけダレに直接入れることができるので、家族が辛いものを苦手でも、自分だけ辛い物を楽しめるということ。しかも、クセがないので、どんな料理にも合う万能辛味調味料なのです。
それでは、仕込み開始です!!
<1時間で柚子こしょうを仕込む>
柚子こしょうの出来上がり約100g
仕込みの季節:9月~1月
材料:黄色い柚子の皮15g(テニスボールくらいの大きさ4個分)、柚子果汁20g、韓国産粉末唐辛子15g、塩10g
道具:煮沸消毒した保存瓶、果汁絞り器、菜箸、おろし金、ボウル、スプーン
0:00 ① 柚子の皮の部分だけをおろし金ですりおろす
皮に白いワタが付くと苦みがでるので気をつけながらすりおろします。
0:40 ② 柚子を半分に切り、果汁絞り器などで果汁を絞る
絞り器がない場合には、4分の1に切ると手で絞りやすいです。柚子1~2つ分くらいの果汁を使います。
0:45 ③ ①と②残りの粉末唐辛子、塩をすべて混ぜ、よく練って保存瓶に詰める
これで仕込み完了です! 冷蔵庫で熟成していきます。4~5日から使えますが、密閉して冷蔵庫で1か月以上入れておくと味に深みが出ます。熟成後冷凍庫で保存しておくと、風味が長持ちします。
シンプルな工程ですが、柚子の皮をすりおろすところは一番時間がかかりますし、白いわたの部分が入ると苦くなりますので慎重に作業してください。
ここまでは、一味唐辛子を使った簡単な柚子こしょうをお伝えしました。
もしも、生の唐辛子が手に入るようでしたら一段と本格的な柚子こしょうができますので、ぜひトライしてみてください。ただ、この生唐辛子で作る柚子こしょう作りは、簡単ですがなかなかハードなのです。
これからレシピをお知らせしますが、生唐辛子との格闘はくれぐれも慎重に……。
それでは、本格的な柚子こしょうの仕込み開始です!
<1時間で生唐辛子を使った柚子こしょうを仕込む>
柚子こしょうの出来上がり約35g
仕込みの季節:9月
材料:柚子の皮15g(中ぐらいの大きさ5個分)、生唐辛子15g(種を抜く場合、抜いた後の重量)、塩6g
道具:煮沸消毒した保存瓶、ビニール手袋2組(二重にして使います)、フードプロセッサー、ピーラー、キッチンバサミ
0:00 ① 柚子の皮の部分だけをピーラーでむく
皮に白いワタが付くと苦みがでるので気を付けてむきます。白いワタがついてしまった場合には包丁やナイフでこそげ取っておきましょう。
0:40 ② 唐辛子のヘタを取る。辛いのが苦手ならば、さやを開いて種を取る
種を取る場合は必ずビニール手袋を二重にします(ヘタを切るだけなら大丈夫)。青唐辛子の汁は、粘膜につくとかなりの刺激があるので、慎重に作業してください。辛いのが苦手な場合、出来上がりをなめらかな食感にしたい場合には、さやを開いて種をとってください。こだわらない場合には、種は取らない方が楽だし、安全です。キッチンバサミで切っておくとフードプロセッサーにかけるときに作業がしやすいです。
0:55 ③ ①を先にフードプロセッサーにかけ、続いて②を入れてさらに細かくする
柚子の皮は固いので先にフードプロセッサーにかけます。この作業も青唐辛子の汁が手につかないように気を付けて作業をします。細かくなったら、瓶に詰めて完成です。市販のものに比べてペースト状にならない場合もありますが、ゴロゴロしていても大丈夫です。
本格バージョンの柚子こしょうも、1時間で完成です!
柚子の皮と唐辛子の分量がレシピ通り同量にならない場合には、両方を足した重量の20%の塩を入れます。柚子の皮と唐辛子の分量は1:1くらいがちょうどいいですが、きっちりとそろっている必要はありません。
柚子は、最初の作り方で紹介したように、すりおろしても大丈夫です。フードプロセッサーがない場合には、生唐辛子を包丁でごく細かく刻み、全てをすり鉢に入れて、すりこぎでするように混ぜ合わせます。
色々な柑橘で柑橘こしょうに挑戦!
2021年現在、なかなか旅行はできませんが、旅先で柑橘栽培がさかんな地域に行くと出会えるのが、「柑橘こしょう」。シークアーサーやすだち、かぼす、レモン、みかんなど、様々な「柑橘こしょう」があり、それぞれの柑橘の味わいが楽しめます。色々な柑橘類でつくってみるのもいいかもしれませんね。
自宅用に作る柑橘こしょうの果実は、皮が使える安全な柑橘を選んで作ってください。
丸ごと使える柚子
柚子はヘタ以外捨てるところがないと言われるくらいの万能果実です。柚子を無駄なく使うために、下処理の順番に工夫が必要です。
① 柚子は果汁をしぼる前に、柚子の皮をピーラーで薄くむいておくと、柚子の皮を無駄なく使いこなしやすくなります。この時にポイントは皮に白いワタがつかないように薄くむくこと。今回は、柚子こしょうで使ってしまいますが、皮を細切りにして冷凍庫に保存しておくと、お吸い物や漬物などの上に香り付けとして使うことができます。果汁を絞ってしまうと、皮がむきづらくなるので注意してくださいね。
② 柚子は、果汁絞り器で絞った後にでる柚子の種は、洗って良く乾かします。その乾かしたタネは、ホワイトリカーや焼酎に漬け込んでおくとトロトロの化粧水になります。
③ 柑橘類のワタや中袋、種にはペクチンが含まれているので、ジャムを作る時のとろみづけとして使えます。また、茨城県には柚子のワタ煮という郷土料理があり、お正月のおせちにも添えられる一品なのだとか。もしもワタの部分は使えないな、という方は、お茶パックにいれてお風呂にうかべて柚子風呂を楽しんでください。また、ワタの部分は、お掃除にも使えますので、シンクをこするときれいになります。
スーパーなどで手に入れようとすると、単価が高いので道の駅などで沢山売っている柚子やかんきつ類を探してみてください。
Let‘s try 柚子仕事!
柚子こしょうの使い道
お鍋のつけ汁に、オリーブオイルを足してドレッシングに、炒め物の調味料に少し混ぜて、冷ややっこに、餃子のタレ、お刺身、ラーメンの味変に……など、色々試してください。
(写真キャプション:シンプルに豆腐と柚子こしょうだけでも箸が止まらない味わいです)
(文:赤羽かなえ、写真:たけださなえ)
□ライターズプロフィール
赤羽かなえ(READING LIFE編集部公認ライター)
広島県在住。横浜から広島に移住した当初はほぼ外食暮らしをしていたが、産直などで手に入る自然の恵みに魅せられて保存食作りを始める。今では味噌や沢庵などの発酵食品から梅干し、栗の渋皮煮などを手作りしながら、発酵仕掛人として発酵の魅力を伝えている。また、子供達が自分達の力で一汁二菜を作るキッズキッチンのインストラクターをしていた経験から、単に料理を作るということにとどまらない食文化を伝える食育の必要性を感じている。
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