犬派の人にも猫との暮らしを勧めたい
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:池田和秀(ライティング・ゼミ平日コース)
私は元々犬派だった。
中学生の頃から家で犬を飼い始め、最初の子があの世に旅立った後も、2頭目の子を迎え入れた。家に帰ると尻尾をブンブン振り回して飛びついてくる様子や、とにかく感情を全面に出して愛情を示してくる姿が、可愛くて仕方なかった。
一方で、猫に対しては、好感を持っていなかった。
猫のいる家に遊びに行っても、なついてこない、何を考えているかわからない、素っ気ない、といった印象で、「飼うなら犬!」と強く思っていたのだ。
その私が、今では、猫との暮らしを満喫している。
猫との暮らしは19年目になる。その間、4頭の猫と生活を共にした。
いまこの文章を書いているパソコンの横には、今年18歳になるジョジョというオス猫がいる。
猫との暮らしを始めたきっかけは、妻の強い願いだった。
それは結婚して1年もたたない春のこと。
元々動物好きだった妻が、「猫を飼いたい」と言い出した。
私にとっては想定外の出来事だ。
気乗りがせず、あいまいな態度をとっていたら、妻が、野良猫を保護しているボランティア団体から「家族探し中の仔猫がいる」との情報をもらってきてしまった。
そうして我が家にやってきたのが、ノンという6か月の女の子だった。
このノンとの生活で、犬派だった私が、すっかり猫派になってしまった。
ノンと暮らすまで、私は、猫がこれほどまでに愛情深くて細やかなものだとは知らなかった。
「何を考えているかわからない」なんて、まったくの先入観だった。
ノンは、私が家に帰ると、かならず玄関に出迎えに来る。
妻によると、座布団の上で寝ていても、私の足音が聞こえる前からムクッと起き上がって玄関に向かうらしい。そうして私の足元にまとわりつきながら、部屋まで一緒についてくる。
疲れて帰ってきて、そのまま床でぐったりしているときには、何も言わずにそっと寄り添ってくれる。
夫婦げんかすると、ノンが二人の間に入りこみ、目をつぶってじっと耳を立てている。
その姿を見ていると「ノンちゃん、心配かけてごめんね」という気持ちになって、けんかも収まってしまう。
不思議だったのは、ノンと暮らし始めて、初めて海外旅行に出かけたときのことだ。
出発の日の朝、目が覚めると右の手首に、ノンが爪で引っかいた傷がついていた。赤くなっているのだが、不思議と痛くなかった。
「私のことを忘れないでね」と言われているようだった。
実際に、旅行先で手首の傷を見るたびにノンのことを思い出した。
そして帰国して家に帰ってきた日のことだ。
いつもなら迎えに出てくるノンの姿が玄関にない。
「ノンちゃーん、帰ってきたよー! どこにいるのー!」
大きな声をかけながら、家の中を探した。
そうすると、一番奥の部屋の窓辺に、カーテン越しにノンのシルエットが見えた。
カーテンを開きながら「ノンちゃん! 帰ってきたよ!」と声をかけた。
ノンは背中を向いて動かない。
「ノンちゃん! 帰ってきたよ! ただいま!」
ノンは背中を向けたまま顔だけふり返り、一声、「ミャァ」と返事をした。
そして、それをきっかけに窓辺から飛び降り、「ミャァミャァ」と鳴きながら体をすり寄せてきた。
ずっと不在にしていたので、すねていたのだ。
ノンと一緒にいると、尻尾をバタバタ振って「おかえり! おかえり!」、「遊んで! 遊んで!」と大騒ぎする犬が単細胞に思えてくる。
さらに猫の良さをあげてみよう。それは暮らしやすさだ。
まず、散歩の必要がない。
犬だと、毎日の散歩が必須だ。けれども、猫はそんな日課は必要ない。
だから旅行に行くときも、1泊程度なら安心して留守番をしてもらえる。
散歩の心配はないし、たっぷりのご飯と新鮮なお水を用意しておいてあげればいい。
さらに猫はにおいがしない。
犬は自分の存在を誇示する生き物だから、においもそれ相応のものがある。
けれど猫は自分の身を守るために、こまめに自分の体をなめながら身づくろいをし、においがしないようにと気をつかう。
だから、来客を迎える時に、「部屋が臭くないかな?」といった心配をする必要がない。
あえて残念なところがあるとすると、犬とは違って、一緒に旅行に行けないことだ。
猫は、環境が変わることを嫌がる生き物だ。だから旅行の移動や宿での時間はストレスになる。
車に愛犬を乗せて旅行をしている人の姿を見ると羨ましく思うし、きれいな風景を見ると「ああ、ノンちゃんにも見せてあげたいなぁ」と思う。
この点は、犬に軍配が上がる。
だが旅行という非日常を除けば、猫との毎日は最高だ。
その感性の細やかさが心を和ませてくれる。あなたの感情に寄り添う存在になってくれる。きっとあなたの人生を豊かに彩ってくれるだろう。
飼わず嫌いはもったいない。
ぜひ人生の中に、猫との暮らしを取り入れてみてはいかがだろうか。
*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
http://tenro-in.com/zemi/97290
天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら
天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
【天狼院書店へのお問い合わせ】
【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。