もう何回見ただろう……。【中毒になる映画3選】
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記事:Mr. Monster(ライティング・ゼミ秋の9日間集中コース)
もう何回見ただろう……。
残念ながら僕は、少なくとも必ずヒットしている映画を見に、映画館に足繁く通うほどの映画マニアではない。むしろ1年間で、映画館に行くことは2回もないだろう。
もっぱら、アマゾンのプライムビデオという動画サイトで、ささやかに家で映画鑑賞する程度である。
そんな僕が、繰り返し見てしまう映画がある。
それは、台詞などを歌で歌いながら、物語が進行していく映画「ミュージカル映画」だ。
昔から、その系統で有名な映画をあげるとすれば、1950~60年代に制作された「雨に唄えば」や「サウンド・オブ・ミュージック」がある。
しかし、長らく、そのようなヒット映画がない中で、2000年に入り、一躍脚光を浴びた映画があった。
それが、「CHICAGO」だ。
もともとブロードウェイで評判だったミュージカルを映画に仕立てたものだ。難しいのは、ミュージカルという生の良さを知っている観客の期待値を超えて、映画として成立させるかどうかであった。
しかし、その期待値を超えて作られたのが「CHICAGO」だった。
ミュージカルという生の舞台という制約を見事に超えて、映画ならではの可変可能な舞台や背景を駆使しながら、まさに映画として成立させているところがすごいところである。
実は私は、先にこのミュージカル映画の「CHICAGO」を見てから、ニューヨークのブロードウェイでミュージカルを後から見たのだが、個人的には、映画のほうが物語の展開など面白く感じられた。もちろん、生の音楽や歌声などの良さはミュージカルに軍配が上がるものの、反対に映画以上の期待値をミュージカルは超えられなかったように感じた。
何しろ、弁護士役で出てくるリチャード・ギアがカッコいいし、女性で殺人の罪を犯してしまう、キャサリン・ゼタ=ジョーンズもカッコいい。しかし何よりも好きな女優、レニー・ゼルウィガーが素敵である。この女優は、トム・クルーズ主演の「ザ・エージェント(邦題ジェリー・マグワイア)」での恋人役で出たところから好きで、「ブリジット・ジョーンズの日記」でも有名であるが、アメリカの女優にありがちなキリッとした感じよりも、柔らかさを兼ね備えた雰囲気がとても好きだ。
そして、「CHIACAGO」の成功を機に、ブロードウェイのミュージカルから次に投入された作品が、「オペラ座の怪人」である。
当然、この「オペラ座の怪人」は、それこそブロードウェイでのミュージカル界の怪人(超ロングラン、大ヒット作という意)であり、日本でも劇団四季が長年、演じてきている作品である。
こちらも、「CHICAGO」以上に、ミュージカルを超えられるミュージカル映画として、耐えうる作品となりえるか、と思われていたが、その期待を明らかに良い意味で裏切られる結果となった。
「CHICAGO」同様に、舞台や背景の制約がなく、かつ秀逸なカメラワークが、その物語の臨場感を文字通り劇的に盛り上げる。
これも先に映画を見てから、劇団四季によるミュージカルを見た。いずれも良かったが、繰り返し繰り返し見て、その良さを堪能できるという点で、やはりミュージカル映画のほうに軍配が上がってしまう。
そして、極めつけは、「ラ・ラ・ランド」だ。
この作品は、実は前述した2つの作品と大きな違いは、ブロードウェイなどでのミュージカルで演じられてきたものではない、という点である。
そのため、この作品の脚本・監督であるデミアン・チャゼルは、当初、映画化できるスタジオを見つけることができなかった。
そこで、ジャズドラマーの映画として、アカデミー賞の助演男優賞などを受賞した「セッション」という映画の脚本・監督としての大成功を先に実現して、ようやくこの「ラ・ラ・ランド」を映画化できたという。
確かに、ミュージカルなどでの実績のない作品をミュージカル映画として映画化することは、それに出資する会社などのリスクから考えれば大きな賭けとなる。
しかし結果としては、「ラ・ラ・ランド」はなんとアカデミー賞での最高の賞、作品賞を含む6部門を受賞した。
これは、なんともいい映画である。
楽しげな音楽もありながら、悲しげな音楽もあり、物語としても、どこかせつない感じのする映画である。
なぜ、これらのミュージカル映画を、何回も見てしまうのだろう。
それは、おそらく何度も聞きたくなるような音楽のメロディーがあり、もちろん、その場面で展開されるべき台詞が音楽に乗って展開されるのであり、そして、映画全体としてのストーリーの完成度が、心に染みてくるからだろう。
またもう1つ。そのストーリーの中で展開されている、恋人役や夫役などを演ずる男性の、女性に届かない、なんとも言えない悲しい恋心にどこか共感してしまうところがあるのだとも思う。
「CICAGO」では、主人公の夫役、ジョン・C・ライリーが演じるエイモス・ハート、「オペラ座の怪人」においては、まさに主人公のジェラルド・バトラーが演ずるオペラ座の怪人、そして、「ラ・ラ・ランド」における、主人公の女性の恋人役である、ライアン・ゴズリングが演ずるところのセブ。
この3つの映画は、僕にとって、なんとも言えないセンチメンタルな気分を、何度も味わう素敵な映画たちなのだ。
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