犬を飼えば、毎日コントみたいな生活を送れる件
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事: 岩根かな子(ライティング・ゼミ日曜コース)
我が家には愛犬が2匹いる。
それはそれは可愛らしいトイプードルの「リン」と「モモ」だ。
「今日も2匹とも可愛いねー! お散歩でも行くかー?」
いつも強面の父が、2匹といる時は顔をデレデレさせながら2匹の身体を撫で繰り回している。
「お父さん! 今日は予定があるんだから、お散歩はほどほどにして、早く準備してよ!」
そう声を荒げているのは母だ。
キツイ口調で父に注意しているが、2匹を一番甘やかしている存在だ。
毎日自分の朝ごはんの残りをあげたり、おやつをあげたりと、懐かせることに力を注いでいる。
父は母に注意されてムッとしながらも散歩の準備を始めていたが、ふと思い出したかのように母に言った。
「そういえば昨日、リンちゃんがお母さんの下着を僕のベッドまで持ってきてたけど・・・・・・」
その言葉を聞いた瞬間母は、
「えー!? いつの間にそんな所に持っていったん!? 高い下着やねんからやめてよー!」
と言いながら慌てて、父のベッドに自分の下着を探しに行った。
その後ろ姿に向かって父は、
「きっと美味しかったんちゃう? 嬉しそうに齧ってたで?」
と笑いながら追い打ちをかけていた。
母に注意されたときはムッとしてた父だったが、その会話の後は上機嫌で2匹の散歩に向かったのだった。
今でこそ、笑いながら毎日を過ごしている2人だが、犬を飼うまではそれはそれは険悪な関係だった。
正直、何故離婚しないのだろうか?と思えるくらい、家庭内はギスギスしていたのだ。
共通の話題もなく、口を開けば、注意や愚痴が母の口からは漏れ出ていた。
父はそれに辟易して、常に自分の部屋に引きこもり、子供たちも外に出かけることが多い様な状況だった。
それが一変したのは犬を飼い始めてからだったのだ。
そもそも事の発端は、私が急に犬を飼いたくなったからだった。
家の中がギスギスしていることに耐えられなかった私は、とにかく癒しが欲しかった。
丁度友人が犬を飼い始めて、その愛らしさと面白さに触れてから、どうしても犬を飼いたくなったのだ。
そこで父や母に相談してみたが猛反対をされた。
父と母曰く
「あんたは絶対に世話をしなくなるし、私たちもしない」
「そもそも犬はそんなに好きじゃない」
「というかいきなりそんなことを言い出してどうした? いい加減にしなさい」
そんなことを言われ、めちゃくちゃ反対されたのだ。
しかし私はそんなことでは諦めなかった。
両親の許可を得ず、無理やり犬を引き取ってきたのだ。
ドキドキしながら「犬を連れて帰った」と報告した私に父や母は
「なんで勝手にそんなことをするの!? とりあえず見せなさい!!」
と物凄く怒りながら、犬が待つ部屋に向かった。
(これはやばいかも……。 めちゃくちゃ怒られて、犬にもあたられるかも……)
と心配した私だったが、部屋に入った瞬間、
「あらー! 何よこの子!! おいでー」
と今まで聞いたことない声と、デレデレした顔で、犬を可愛がる両親がいたのだった。
さっきまでの怒りはなんだったのか……・。コントか!と突っ込んでしまうような変わりように思わず笑ってしまった。
そこからは犬を膝に乗せながらお説教を受けることになったのだが、犬を膝に乗せて可愛がりながら言われる言葉には、全く迫力がなかった。
今になって思えば、当時強硬手段をとってでも犬を連れてきて本当に良かったと感じている。
この日を境に我が家の雰囲気は一変したのだ。
可愛らしく愛嬌を振りまく犬に両親はメロメロになり、家庭内のギスギスした空気は無くなった。
会話がなかった家では常に犬の話題で持ちきりだ。
さながらネタ帳のごとく、犬の話題を出せばみんなが笑い、喧嘩をしていても犬が間に入ればすぐに収まるようになったのだ。
父が犬に顔を舐められているのをジーっと母が見ているなーと思っていたら、おもむろに
「そういえばさっきリンちゃん、ウンチを食べていたよ」
とボソッと母が言えば、私は爆笑し、父は
「えー!! なんでそんなこと舐められてから言うんや!」
と顔をのけ反らせ、笑いながら顔を洗いに行く。
そんな毎日が送れるようになったのだ。
もし今でも犬が家に来ていなければ、家庭内は暗く冷え切り、会話がないままだっただろう。
今では愛犬は2匹に増え、前よりもさらに騒がしくも、楽しい家庭になっている。
日々ネタは増え、会話に困ることは全くなくなったのだ。
愛犬の話で盛り上がれば、誰かが突っ込み、誰かが落ちをつけて笑いを取る。そんなコントのような毎日を送っている。
もし友人に「家庭内が暗くて、会話がない」という相談を受けたら、私はきっとこう返すだろう。
「犬を飼ってみたら? 毎日コントみたいな生活を送れるよ」
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