包丁砥ぎは一石三鳥
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:高岡恵子(ライティング・ゼミ平日コース)
「シャッ、シャッ、シャッ」
隣でリズムよく包丁動かす音が聞こえている。
それは他の参加者の砥ぎの音。
彼は2回目の参加らしい。
そんな音を心地よく感じながら、初心者の私は手を切らないことを1番に願いゆっくりと手を動かす。
「包丁の研ぎ方の講習するけど、どう?」 とご近所さんに声をかけられ即座に「行きます!」 と返事をした私。
包丁が切れるようになることしか考えてなかったが、実はもっとすごいことを体験してしまった。
スパッと切れるときの快感。
包丁は毎日使うものである。
今では、包丁を間に挟んで何回か往復させる研ぎ器もあったりするけれど、私はずっと砥石を使って包丁を砥いでいた。
理由は、ただ単に家にあったから。
といってもなんとなく見よう見まねで、包丁が切りにくいと感じ出したら一回につきほんの5分ほど、ちゃっちゃ と砥いでましになったらまぁいいか くらいの腕であるが、せっかくそんな講習があるのであればと受講したのである。
まず用意するものは包丁と砥石。
砥石にいろんな種類があることも初めて知った。
砥石の種類はその粗さで3種類に分けられる。
荒砥石(#80-400) 中砥石(#700-1200) 仕上げ砥石(#3000-8000)
初心者は、#1000の中砥石だけでいいということである。
誰かが「100均の砥石でもいいですか?」 と質問していたが、へぇ、百均に砥石までも売っているのか? (確かに後日行ってみたら売っていた)
そこは師匠、「腕がないのに百均のは無理」 とのこと。
道具が腕を助けてくれるらしい。
いつもいきなり砥ぎ始めていたが、前準備というのがあるらしい。
最初に、砥石を水につけてしばらく置く。
今まで、すぐに乾いてしまうので、砥石に水道の水を流しながら砥いでいたが、それは間違い。
全体を水につけるとぶくぶくと気泡が上がってくる。
それがおさまるまで、まずはよく水を染み込ませることが大事。
そうすると水などを流しておく必要もなく途中で少し水をかける程度で済む。
(反対に砥いでいるときの出る黒ずんだ水が砥ぐのをスムーズにしてくれるらしいので流さない方がいい)
砥石は砥ぐ。これがびっくり!
砥石の表面に凹凸があるときれいに砥げないらしい。
砥石を研ぐための砥石というのがあり、これでまずは本来の砥石の表面を削る。
これで準備完了。
ここからが本番。 砥ぎに入ります。
刃は手前に向け、握った手の親指で包丁の付け根の角を固定し、反対の手の人差し指と中指を包丁に添える。
刃を砥石に対して直角の半分の半分(22.5度位) に当たる角度で当てる。
押すときに少し力を入れる。返しが出てきたら手を持ち替えて反対の刃を砥ぐ。
最後に新聞紙の上でさっと刃をなでて返しをとる。
とまぁ、文章で書くと簡単そうだが、これはなかなか説明できない。
今時は、動画で見ることもできるのでそれもあり。
ただやはり、学び事は実際に説明を受け、手を取って教えてもらうのが一番わかりやすいかな?
おまけに仕上げしてもらえるし……。
この集中して一つのことをする時間がとても心地よかった。
座禅とか写経の類。
無心である。
数学みたいに答えが明確。
「切れるようにする」 というゴールしかない。
「思考を伴わない明確なゴール」 というのは実に気持ちが楽なものである。
気をつけることは、常に角度を一定にすることと、体に力を入れないこと。
砥ぐこと しか考えない時間。
特に刃物という危険物を扱うから、余計に集中する。
あっという間に時間が過ぎる。
ゴール!
だから、切れるようになったゴールのときは超気持ちいいのである。
修行を積んで? 家に帰って最初に作ったご飯は「冷麺」 だった。
トマトを切った。
うふっ、1mm幅で切れる。
透かしてみると向こうが見える。
スパッ、スパッ、スパッ
今がトマトの旬でよかった! と思えるくらい嬉しくて、調子に乗って切りすぎて具沢山の冷麺の出来上がり。
トマトがキレイに切れると……
他の具材も同じように薄く揃えよう……
その美しさに、せっかくだからキレイに盛り付けねば……
それならば、食卓も片付けて美しく配膳しちゃおう……
と、トマトから派生して、全ての作業が丁寧に行われる。
包丁を使う料理だけでなく、食事をするところまで気配りしたくなった。
あー、たかが包丁砥ぎ。
けれど
・包丁がよく切れるようになる。
・集中して静かな時間を過ごして、精神安定にぴったり。
・ていねいな暮らしをしたくなる。
といいことづくめの経験であった。
忙しいときは、簡単にできる研ぎ器もいいけれど
たまには、しっかり砥石で砥いて気持ちを落ち着け、美味しい料理をゆっくりいただくっていうのもいいと思う。
知らぬ間に切り傷だらけの手になっていたことは、師匠には内緒にしておこう……。
***
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