“とびきりいい靴”で小さな成功体験を積み重ねる
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“とびきりいい靴”で小さな成功体験を積み重ねる
記事:いいだれいこ(ライティング・ゼミ平日コース)
「書留の荷物をお届けに参りました」自宅のインターホン越しに郵便局の人が立っていた。
何だろうと思いながら荷物を受け取る。送り主も宛先も英語で表記されている。
うん? 考えること数秒。
あ! 思い出した。 来た来た来た!
2週間ほど前に“とびきりいい靴”を取り寄せていたことをすっかり忘れていた。
無我夢中で箱を開ける。頑丈にテープで巻かれているため中々開けられない。そりゃそうだ、イタリアから空輸してやってきたのだから。
早く実物を見たい! 興奮が収まらない!
何を隠そう、私は靴が大好きだ。
靴のためなら時間とお金をかけてもいいと思えるくらい大好きだ。
なぜ、そこまでして靴に入れ込むのか。
靴にこだわりを持って履いていると、自分に自信が持てることを知ったからである。
靴は生活に必要な存在、何かのタイミングで必ず買い替えるものだ。
今回は、そんな身近な靴で自分に自信が持てるようになった経緯を書きたいと思う。
なぜ靴にこだわったのか、その理由は2つある。
1つ目は、外反母趾になったからだ。
事が起きたのは小学生の頃だったと思う。靴を脱いでも足に痛みが続くため病院へ行ったところ、医師から外反母趾と言われた。原因は小さくなった靴をずっと履いていたからで、靴が当たる刺激で親指の付け根の骨が大きく出っ張っていた。大してお気に入りの靴でもなかったのに、体の成長に追いつけずあっという間にサイズが小さくなった靴を履き続けた結果、気づけば痛みだけが残ってしまったというわけだ。
その痛みは、それからしばらくの間、私のことを悩ませることになる。
年を重ね、次第に痛む頻度は減ったが、社会人になってからも時折痛むのは変わらなかった。合わない靴を履いたり、長時間歩いたりすると痛む親指の付け根。
だから私は、履きやすさを重視して、靴に機能性を求めるようになった。
2つ目は、漫画に出てくるあるフレーズに魅了されたからだ。
『花より男子』をご存じだろうか。アニメ化もされた人気漫画で、私が中学高校生の頃に大流行していいた。青春のバイブルと言っても過言ではないこの漫画の1シーンに靴の話しが出てくる。
「とびきりいい靴をはくの。いい靴をはいているとその靴がいい所へ連れて行ってくれる」
主人公が、憧れている女性から靴とともに贈られた言葉だ。
学生の頃にこの言葉にビビっとして以来、深く心に刻まれている。
漫画ではどういう意味で“とびきりいい靴”と言っているのかは分からない。けれども、高級な靴ばかりを買うのではなく、今の自分にとってお気に入りの靴こそが、“とびきりいい靴”なのだろう。
そう解釈してから靴への視点が変わっていった。
外反母趾でどんな靴を履いても痛いとしか思えず靴選びにはとにかく絶望しかなかった私は、このフレーズに勇気をもらった。
それからの私は、靴にファッション性も求めるようになった。
こうして靴に対して前向きになれた私は、機能性とファッション性を兼ね備えた靴こそが私にとって“とびきりいい靴”なのだと考え、靴にこだわるようになった。
そして、靴が好きになった。
それからというもの、靴選びの果て無きチャレンジが続いている。
見た目はよいけれど長時間歩くには不向きの靴というのは腐るほど経験し、最初は失敗してばかりだった。
トライ&エラーを繰り返す中、長時間履いても疲れないおしゃれな靴に出会えると、これだよ、これ! と言わんばかりにテンションがあがり、その靴を選んだ自分を褒めたくなるのだ。これを繰り返していると、不思議なことに自分に自信がついてくるというわけだ。
いわゆる、小さな成功体験の積み重ねが自信に繋がることに近い感覚だろう。
お気に入りの靴を履いて出かけるのが楽しくなり、外の世界が明るく見えてくるのだ。
そして、靴が大好きになっていった。
実は、「これだ!」という見た目も履きやすさも抜群な名品にはそう簡単に出会えない。私の人生の半分以上を費やした靴人生の中で、強烈に印象に残っている“とびきりいい靴”は、今のところ4足だけだ。簡単に出会えないからこそ選び甲斐があり、そしてやめられない。
先ほどイタリアから届いた靴は“とびきりいい靴”の4足のうちの1足と同じデザインで柄違いのものだ。あまりの履きやすさに感動して個人輸入したというわけだ。
箱を開け、包み紙をめくると、待ちわびていたサンダルが入っていた。まだまだ続く熱い夏に映えるラメが施されたデザイン。思わずその場で試着してみる。足になじむ軽い履き心地。よい。
そうそう、これだよ、これ!
また一つ自信が持てた私は、妄想する。
この靴は私たちをどんな場所に連れていってくれるのだろう。
履くのがものすごく楽しみだ。
<<終わり>>
***
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