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コロナの時代におすすめな旅


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コロナの時代におすすめな旅
 
記事:猪瀬雅子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
今年の夏は、新型コロナウイルスの影響で、旅行もせず、引きこもり状態で毎日を過ごしている。涼しいところにも行きたいし、あるいはいっそ沖縄の海にでも行きたいが、それも難しい。
そんな中、ノンフィクションライター、高野秀幸氏の本を通じて、久しぶりに旅行気分を味わった。
 
それは、突然の出会いだった。
 
新型コロナウイルス感染拡大に伴う非常事態宣言が発令後、私は朝から晩までパソコンに向かう毎日を過ごしていた。2か月ほどリモートワークが続いていたある晴れた土曜日の朝、娘とキッチンのカウンター越しに話をしながら、グリルでこんがりとトーストを焼いていた。軽く焼いた後にオリーブオイルを少しかけてさらに焼くと、カリカリのおいしいトーストになる。
かがんでトーストを出そうとした瞬間、突然、腰に帯状の痛みが走った。腰一帯を大量の針で一度に刺された感じで、驚きと痛みで声を上げた。
 
訳も分からずヨロヨロと後ろに下がり、リビングのコルクマットに横になった。もちろん、トーストは食べ損ねた。起き上がれないので、食べる気にもならない。結局週末は、お気に入りのスポーツドリンクを小脇に抱え、何とかたどり着いたベッドで寝てすごした。ぎっくり腰で寝込んでしまったのだ。(整体の先生によると、「ミニ」ぎっくり腰らしい)
 
月曜日はおそるおそる起きだして、仕事を開始したものの、1時間とたたずに腰が痛い。その日は早めに切り上げた。毎日やっていたDVDの運動も、お蔵入りとなった。1週間後、椅子に片膝を立てて座っていると、再び腰痛に襲われた。その2週間後、おそるおそる少し運動をしてみたら、最初の5分で腰痛になった。
 
腰が痛くなるたびに凹む私を見かねた夫が、一冊の本をくれた。高野秀行著『腰痛探検家』 である。赤い表紙のその文庫本を、私は3回くらいむさぼるように読んだ。私も以前は肩こりに悩まされ、治すべく色々なところへ通ったことがある。そんな経験を思い出しながら、面白エピソード満載の本を読んだ。娘は、私の様子を見て、さぞかしおもしろい本だと思ったのだろう。いつの間にかこっそり読んでいて、腰痛になったことなどないのに、すっかり気に入っていた。
 
高野秀行氏は、辺境の地を自ら訪れ、その旅を書くノンフィクションライターだ。『謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア』 で第35回講談社ノンフィクション賞を受賞ししており、すでにご存知の方も多いかもしれない。
 
この夏初めて彼の本を手にした私は、『腰痛探検家』 を皮切りに、『幻の怪獣・ムベンベを追え』 、『西南シルクロードは密林に消える』 、『謎の独立国家ソマリランド』 、『愛するソマリア』 と、何冊か立て続けに読んでみた。
 
文章は軽快で無駄がなく、ボリュームのある本も、ノンフィクションにもかかわらずまるで小説のようで、あっという間に読んでしまう。いつの間にか、沼地で足を取られたり、ジャングルを象にのって旅をしたり、砂漠の道なき道を通過したり、地元の女性に料理を習ったりしている。
 
私は、旅の途中に立ち寄るスーパーが好きで、その地域の生活を覗き見るようで、楽しいと思う。あるいは、旅先で、まったくバックグラウンドの異なる人々と、話をして、現地の人たちの価値観を、少しずつ理解するのも、おもしろい。
 
そんな旅の醍醐味を、高野氏の本から感じるのだ。1週間のパリ旅行というよりは、1年間のフランス滞在、くらいの旅だ。その土地の人たちと仲良くなり、話し合いをして、交渉をしたり、時にはだまされたり、だましたりする。「常識」 とお互いが考えているものがかけ離れていて、旅人であり訪問者である高野氏は、相手の常識を理解し、背景を紐解いていく。本のページをめくっていると、新型コロナウイルスの感染拡大を心配し、周りにも迷惑をかけないよう最大限の引きこもり生活をしている日常は、遠くかなたに飛んでいく。
 
本当はここでもみなさんと、高野氏の冒険について語りたい。たくさんある、捧腹絶倒なエピソードの感想を書いて、のぞき見させてもらった旅について考えたい。でも、中にはつい先日の私のように、まだ高野氏の著書と出会っていない人もいるだろう。
 
出会いも旅立ちも突然やってくる。是非みなさんが、高野氏の著書と旧交を温め、あるいは出会ってくれればと思う。このライティング・ゼミの4か月間のうち、一回くらいは、高野氏を題材に、本で語られる彼ならではの旅や、あるいはそれ以外の旅についても、語れる機会があってもよいのではないか。こんな時代だからこそ、そう願ったりもする。
 
 
 
 
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2020-08-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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