踊るように書きたい
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:山田裕子(ライティング・ゼミ 日曜コース)
世界各国に、それぞれの土地の歴史のなかで生まれた、「舞踊」とくくられる芸術があります。日本で生まれ育ちながら、なぜか遠く離れたスペインの舞踊、「フラメンコ」にどっぷりとはまってしまい、15年が過ぎました。
プロの踊り手になるわけではないけれど、フラメンコに近付きたいと、素人なりに修行を積み重ねるなかで体得したことは、踊りだけでなく仕事や生き方にも通じること。書くことに挑戦したくて、ライティング・ゼミで学び始めた今。踊るように書きたい、と、強く思います。
「フラメンコを習っています」と聞いてよく言われることは、「バラくわえるの?」「カスタネット使うんでしょ?」「足バタバタやって、すごく激しいやつだよね」など。かつて松坂慶子さんが出演されたCMが、強く影響していると思われます。
実際には、バラは頭に着けても口でくわえることはありません。カスタネットは、使う教室もありますが、私の教室では、先生の踊りのスタイルにより使いません。足を激しく打つのは確かにそうですが、それは1曲踊るなかの一部であり、フラメンコの踊り=足をバタバタではありません。なんなら、ほとんど足をバタバタせず、あまり動かないのに、瞬きを忘れるほど素晴らしい踊りをする方もいます。
私も習い始めは、練習することで技術を身に着けて、いろんな「技」のようなものができるようになるのが、フラメンコが上達することだと思っていました。バラやカスタネットは持たないにしても、足を激しくバタバタできるようになろうと、先生の真似をしながら、自分に何を取り入れたら近づけるのか、自分に何かを入れることが最も大切だと思って練習していました。
しかし、10年以上続けてきてわかったことは、上達することは、いかに捨てるかということだということ。そして、捨てるためには、軸の強さが必要だということ。
軸とは、体幹のことです。腕立て伏せのような格好でじっとしたり、グラグラする円盤の上に立ってボールを投げたり取ったりして鍛える、あれです。フラメンコにおいては、何をやって身体の軸がグラつかないことはもちろん、ここで確固たるイメージを表現できるくらい、軸を自分のものにしていることが必要です。
対して捨てるものは、自分の体の癖、雑味のような、要らない動き。先生の力強い動きを真似しようとして、身体を大きく強く動かそうと頑張るのですが、そういう時は大抵、先生から「手足で動いちゃだめ!」と言われてしまいます。先生は、お腹の奥を指して続けます。「ここで強く感じていなければ、踊りじゃなくてただの動きだ」と。たとえ身体のどこも動かしていなくても、身体の軸だけはリズムを感じ、止まることはありません。
そういうわけで、ここ最近は、手足を動かさずに一曲踊る練習を取り入れました。「気を付け」のまま、その場をもじもじと動き回る不思議な光景は、人様に見せられたものではありませんが、自分の中の軸を見つめ、そこでどう感じ表現するかを研ぎ澄ますのに、とても有効であることがわかりました。そして少しずつ、踊るときに手足に入っていた不要な力が抜けていき、より体の軸を強く感じられるようになりました。
文章を書くとき、つい「うまいことを言おう」と言葉を飾ってしまうのは、軸ではなく手先足先で踊ることと同じなのではないか。そして、たくさんの言葉を並べても、スカスカの文章になっていまうのは、軸の弱さなのではないか。書くうえでの軸の強さとは、「書きたいこと・伝えたいことを、自分が深く理解し、信じていること」。そうあることで、不要な言葉を捨てて、伝えたいことを雑味なくすっきりと表現できるようになる、と考えると、踊るように書きたい、と思うのです。時には、足をバタバタすることも効果的かもしれません。でも、観ている方にエネルギーを届けられるかどうかは、一曲を通じて、自分の軸がどれだけブレずに、強く表現できているかが全てだと思うのです。
「書く」という手段で、自分にどんなことができるのか。まだはっきりとはわかりません。でも、こうして飛び込んでみた今、踊りで得た、軸を強くする感覚をイメージしながら、学んでみようと思います。そして、自分にないものを取り入れることに焦らず、自分の中にあるものを大切に、より深めながら、進んでいきたいと思います。
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