メディアグランプリ

2人の男性に教わった、占いの意外な信じ方


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:谷津智里(ライティング・ゼミ7月開講通信限定コース)
 
 
出版社で営業をしていたころ、「占い」は売れ筋のジャンルの一つだった。
自分で売っておいてナンだけれど、当時20代前半だった私は「こんなもの信じる人がこんなにたくさんいるのか」などと思っていた。仕事をするにはそれが「売れる」ことを知っていれば十分で、自分自身は全く興味が無かったのだ。
 
それから10数年経ってそれが変わったかというとそんなに変わっていなくて、たまに女性誌を買えば後ろの方に載っている占いを一応読んだりはするけれど、その時に「ふーん」と思う程度ですぐに忘れてしまう。お正月の初詣にはおみくじを引いて、良い運勢なら財布の中に入れておいたりはするけれど、一度入れたらこれまた内容はすっかり忘れてしまい、次に出すまでもう思い出すことも無い。
占いや運勢というものには、そんな、ごく一般的(だと思う)な感覚を持っていた。
それが最近になって、占いに対するイメージがちょっと変わる出来事があったのだ。
 
最初は、最近買った女性誌の占いの特集ページだった。
夏に出た雑誌で、「2020年の今までとこれから」というタイトルで、「今年は星回りから見てどんな年なのか」を一年の中盤で確認してみよう、という趣旨。そこには3人の占い師の方が記事を書いていたのだけれど、3つの記事に全く同じ言葉が出てきたのだ。
 
それは「グレートコンジャクション」という言葉で、木星と土星の接近を表すらしい。20年に一度起こるらしく、3人の占いはさらに、「今回のは200年に一度の変化も重なる」とか「山羊座で起こるのは4000年ぶり」とか、それぞれ言葉は違えど、とにかくこれがいかにレアなことかを伝え、「時代が変わる」ことを強調していた。
 
世はまさにコロナ禍真っただ中。ビフォアコロナとアフターコロナでどう変わるか、なんて話題が、あちこちでされている。
「後付けでそんな風に書いたのだろう」と意地悪な見方をすることもできるけれど、3人が3人とも同じ現象を挙げていて、星の動きそのものには嘘は無いだろうことを考えると、偶然とも思えないな、とその時思ったのだ。
 
……が、そこまでなら、今までと同じように忘れていたと思う。
それがさらに私の脳に定着することになったのは、ある男友達の口から同じ話題が出たから。
 
彼は占い師ではないし、普段から占いの話をしているわけでもない。
仕事は不動産業で、副業でたまに映像制作をしているちょっとスマートな30代男子だ。
彼とコロナ禍に絡めて「今後どうなるんだろうねえ」なんて話をしていた時に、不意に「グレートコンジャクション」という言葉が彼の口から出たのだ。
 
彼は歴史にも詳しくて、身の回りのことを歴史的な出来事や人物と重ねて語ったりするので、常々「頭のいい人だな」と思っていたのだけれど、その彼の口からその言葉が出たので、私は驚いてしまった。雑誌のことを伝えると「占いは統計だから」と彼は言い、ピタゴラスの「万物は数である」という言葉を教えてくれた。あらゆる自然現象は突き詰めると数字で表すことができる。現在はまだ、それが解明されていないだけで、本当は数字で証明できるような関連性があるはず。だから天体の動きが人間の活動に影響を与えている可能性は大いに考えられるのだと。
そういえば、満月になると出産が増えるという話がある。まだ科学的には立証されていないようだけれど、出産に携わる現場ではよく知られた話で、私も2度の出産の時にそれぞれ聞いた。やっぱり、天体の動きは人間に影響を及ぼしているのかもしれない。
 
さらにそれからもう一度、男性から占いについて聞く機会があった。
この人は40代後半の男性で、中小企業の2枚目営業部長。仕事ができる爽やかな人で、やはり占いなんて信じていなさそうなイメージだったのだが、ある占星術を日頃から参考にしていると言うので、またまた驚いてしまった。
 
その占星術では、対象者の生まれ年によって、日ごと、月ごと、年ごとに運気の波が繰り返すと説いていて、「良い日」「良い月」「良い年」、同様に「悪い日」「悪い月」「悪い年」があらかじめ分かる。だから、それを手帳に書いておくのだという。すると、「悪い日」には確かにいろいろとうまくいかないのだが、「今日は悪い日だから仕方がない」と諦めがつくのだそうだ。人生の大きな転機やチャレンジを考える時も、これを参考にして決めるのだという。この人もまた、「占いは統計だ」と、先ほどの彼と同じことを言った。
さらに、「人生にはいい時も悪い時もある。これはそういうもんだからしょうがない。最初からその波が分かっていれば、心の準備ができるでしょ」とその人は言うのだ。
 
「なるほど、そういう考え方があるのか」と思った。
なぜだか私たちは、いい時をスタンダードとして、うまくいかないことや嫌なことがあると「どうしてうまくいかないんだろう」「どうしてこんなことが起こるんだろう」と思ってしまいがちだけれど、最初から「よい時も悪い時もあって当然。順番に巡っている」と思っていれば、ジタバタと悩むこともないのかもしれない。
 
こうして偶然にも、近いタイミングで2人の男性から「占い」の受け止め方を教わった。
女性が盲目的に占いを信じているのを見るとつい、残念な感じがしてしまうのだけれど、「知的だな」と感じている2人の男性からそれぞれ似たような話を聞いて、私の「占い」への見方がちょっと変化した。
 
星の動きは私の成功や幸せまでは約束してくれないだろう。そんなものは、個人の価値観に大きく左右されてしまうものだし、自分の行動がどんな未来を連れてくるかは、その時は誰にもわからない。そういう意味では、あんまり具体的なことが書かれた占いを信じる気にならないことに変わりはない。けれど、はるか頭上の天体の動きが人間社会に影響をおよぼすかもしれないことは、今ではちょっと信じている。そう思った方が、大きな世界の流れに身を委ねる感覚を持つことができて、日頃の小さな浮き沈みを気にしないでいられる気がするのだ。
占星術と天文学は、スタートした時には区別が無かったという。ちっぽけなこの私の一生も、宇宙の大きな流れの中にある。そう思って占いを読み、星空を見上げれば、これまでよりももっと上手に占いを信じ、使っていける気がする。ちっぽけな私の、ささやかな人生と、ささやかな幸せのために、これからはそんな大きな気持ちで、占いをのぞいてみようと思う。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2020-09-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事