改めて気付いた。何故、LEICA(ライカ)を持ちたいのか
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:山田THX将治(天狼院・リーディング倶楽部)
今回紹介したい本は、先日入手した文庫本だ。しかし、価格は1,400円+消費税とやや高額だ。
何故ならその文庫本は、ICP(国際写真センター:International Center of Photography, NY) ロバート・キャパ・アーカイブ編『ロバート・キャパ写真集』だからだ。1,400円+消費税は、文庫本としては高価過ぎるかもしれないが、写真集、それも、ロバート・キャパ程の有名人なら、納得の甲斐が在るというものだ。
ロバート・キャパという、世界でもっとも著名な報道写真家は、日本に於いて、特に若者が共感を示した。1954(昭和29)年に占領国フランスとの独立戦争が激しく為っていたベトナムで、キャパは取材中に地雷を踏んで亡くなった。享年40歳。20世紀半ばまで、報道写真家といえば戦地で取材するのが常だった。
多分、戦闘部隊と行動を共にするのだから、戦地で散ることにキャパ自身は、プロカメラマンとしての矜持が在ったのだろう。
私が手にした写真集にも、1930年代前半のナチス・ドイツ勃興時からの写真が納められている。ハンガリー生まれのロバート・キャパ(本名・エンドレ・フリードマン)は、その後、スペイン内戦を取材し、後に彼の名を一躍世界の舞台に立たせることとなるピューリッツアー賞受賞作『崩れ落ちる兵士』を発表する。
そしてその頃から、想像上のアメリカ人としてロバート・キャパを名乗り始める。この写真集には、『崩れ落ちる兵士』を始め、戦争の連続だった1930・40・50年代に撮られたロバート・キャパの写真が、時代を追って掲載されている。
私は当初、この文庫本を写真集と思い購入した。何故なら、ロバート・キャパの様な有名写真家の作品集(写真集)となると、高価なばかりではなく大型で蔵書しておく場所に困るからだ。文庫サイズなら、収納場所に困ることは無い。
丁度、長編小説を文庫化されるまで待つのと同じことだ。
しかし、この写真集は良作の長編小説と同じで、文庫化され収納には便利でも読書時間に短縮にはならなかった。勿論、写真集なので、読む文字数はタカが知れている。しかし、この『ロバート・キャパ写真集』は、時代を追って整理されている為、一枚一枚の写真に時代背景と物語が有るのだった。そうしたことを夢想しながら観ていると、ついついページをめくる手が遅くなってしまうのだ。
丁度、良作の長編小説を読みつぶそうとすれば、想定以上の読書時間が掛かってしまうのと同じだ。
ロバート・キャパの報道写真には、時間を費やして読み解きたくなる。多分それは、フレームの外でも語られているであろう時代という空間なのだと考えさせられる。
最近の若い人では不明だが、昭和生まれの者の多くがロバート・キャパの名を認知している。それは、ロバート・キャパに憧れ報道写真家の道に進み、彼と同じくベトナムの地で散った二人の日本人の名を覚えて居るからだ。
その名は、澤田教一(さわだきょうち)と一ノ瀬泰三(いちのせたいぞう)。
活躍した時代は、澤田教一の方が少し前だが、二人共世界的な報道写真家として知られている。
この三人に共通しているのが、戦場に持ち込んだカメラがドイツ製のLEICA(ライカ)というフィルムカメラなのだ。
LEICAは元々、軍事用に開発されていたことも有り、過酷な状況でも的確に動作することでも知られている。NikonやCannon、そしてPENTAXといった日本製が世界に多く出回った1960年代後半までは、カメラ業界で唯一の世界的メーカーと言っても過言ではなかった。
実際、私に知り合いの昭和一桁生まれの方は、子供(私と同世代)が生まれると、いの一番でLEICAを買いに走ったそうだ。
『ロバート・キャパ写真集』でも、数回LEICAが写り込んでいる。フィルムカメラなので、ロバート・キャパも一度に複数台持ち歩いたのだろう。
頑丈堅固なLEICAのこと、さしたるメンテナンスも出来ない戦場でも、彼の大事な相棒だったことだろう。そんな、相棒に対するロバート・キャパの信頼が、この写真集から感じられるから不思議だ。
そして、その信頼を探し感じることも、この写真集のページをめくる楽しみの一つだ。
少し高価だが、十分そのコストに見合う内容の『ロバート・キャパ写真集』。
蔵書に加える判断は、各自まちまちと思うが、一度手に取ってみる価値は十分にあると思う。
そして今回、私個人的には、これまで何故かLEICAが展示してあると、思わず足を止めてしまうのかが解った。そして、いつかはLEICAを我が物にしたいと考えているかも理解出来た。
それ総て、ロバート・キャパがLEICAを使っていたからに他ならない。
澤田教一・一ノ瀬泰三と同じく、ロバート・キャパへの憧れから来るものなのだろう。
『ロバート・キャパ写真集』によって、長年の疑問が一つ解けた。
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